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塔の主人に恋してる! 魔法学院最強の特待生は冒険部に入部しました  作者: 長野文三郎


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魔力測定

 入学試験に合わせて、僕は王都カンタベルへやってきた。

試験は筆記と実技の二種類があり、すでに筆記の方は問題なく通過できている。

成績上位者ということで特待生候補にもなれた。

あとは実技試験を待つばかりだ。


 実技試験の日、僕は他の人とは違う部屋に通された。

部屋の中には90名ほどの受験生が集められている。

どうやらペーパー試験の成績上位者はここで実技を行うようだ。

みんながみんなきらびやかな服を着ているところをみると、貴族の子弟子女ばかりなのだろう。

中には僕と同じような平服の子もいるけど、そんなのはほんの数人だった。


「おはようございまーす!」


 ドアが開いて一人の女性が入ってきた。

集められた受験生はその迫力に気圧けおされる。

顔や声に気迫があったわけじゃない。

むしろ先生の声はかわいらしく、顔は童顔といってもさしつかえない。

ただ圧倒的だったのは、そういったフワフワな雰囲気に似つかわしくないダイナマイトボディーであった。


 先生の登場に受験生は息を呑んで静まり返ってしまった。

特に男子生徒は全員が先生に釘付けだ。


「ア、アンバランスアタックが直撃。煩悩値180%上昇。危険域だ……」


 隣に座っている眉毛の太い少年が先生を見ながらブツブツとつぶやいている。

おかしな奴だと思うけど、気持ちはわからんでもない。

幼い顔立ちに成熟した大人の女性の体つき。

服はきっちりしたドレスシャツを着ているのだけど、サイズがあっていないせいか第二ボタンから第四ボタンまでがパツンパツンになっているのだ。


 でも先生はそんなことをまったく気にしていないようで、おっとりとした感じで喋り始めた。


「私がみなさんの試験を受け持つノエラ・ルピックです。気軽にノエラ先生って呼んでくださいね」


 ノエラ先生は少し甘えた感じの声をしている。


「くっ、声だけで誘いやがって。お前はセイレーンか……」


 ああ、船乗りを歌声で魅了して海中に引きずり込む海の妖魔ね。

てか、この子はさっきから何なんだ? 

ブツブツと独り言をしゃべりながら、スケベな視線を隠そうともしないで先生の胸に注いでいるし……。

体格は小柄なのに、やけに堂々としたエロガキだ。


「それでは名前を読み上げますので、呼ばれた人は先生のお顔を見て手を上げてくださいねー」


 ノエラ先生は生徒の顔と名前を一致させるよう、丁寧に確認していく。


「ロウリー・アスター君」

「はい!」


 声は少し震えてしまったけど、内面の緊張は悟られない程度の返事はできたと思う。


「えーと、次は……タオ・リングイム君!」

「はい!」


 隣の席でさっきからブツブツ言っていた少年はタオ・リングイムという名前か。

先生に呼ばれてうっとりした顔で返事をしている。

僕もこれくらい正直に生きられたらいいのに、そう思った。



 点呼が終わると僕たちは魔力測定器で保有魔力量を測ることになった。


「名前を呼ばれた人から、この水色に光るオーブに手を置いてください。痛くないので心配はいりませんよ。それから、この魔道具は魔力量を測るだけではなく、その人の魔力特性も見極めます。みなさんの今後の参考にしてくださいね」


 測定器は5台あったので、僕の番もすぐに回ってきた。


「ロウリー・アスター君」


 ノエラ先生が僕を呼んでいる。


「よろしくお願いします」


僕はしかめっ面をして、内面の動揺を隠す。


「緊張しなくても大丈夫よ。リラックスして」


 自分の魔力量を心配しているわけじゃない。

ラッセルによると僕の魔力量は普通の人の36倍はあるそうだ。

試験には余裕でパスできると思う。

ただ、ノエラ先生の前に座るのが恥ずかしいだけである。

シャツの隙間から水色のブラが見えちゃってるし……。


「あらあら、そんなに汗をかいて……、こればっかりは今さらどうしようもないから落ち着いた気持ちで測定を……え? すごっ!」


 ノエラ先生は何度も測定器の数値を見返しながら、ノートに値を書き留めている。


「アスター君はとんでもない魔力の持ち主ね。こんなの見たことないわ」


 とんでもないのは先生の胸の方だと思う。

僕もこんなの見たことない。


「貴方の得意な魔法は土系と防御系ね。自覚はあるの?」

「はい、そればかり修行してきましたので」

「かなり優秀な先生に師事したようね」


 自称、世界一の魔法使いです。

世界一のスケベでもありますが。


「はい、測定は終了です。次の試験も頑張って」


 ノエラ先生が小声でそっと励ましてくれた。

そのあとのウィンクが可愛すぎてキュン死しそうになる……。

僕はなんとか平静をとりつくろいながら一礼して、席を立った。


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