第三話 Land Healer?
Merry~…
「なろうよ!あなた、向いてるわ!」
ハレルヤは俺を目で、地面に縫い止める。
実際足が動かねえ。
なんてゆー目で俺を見てるんだ。きらきらでうるうる。
その目は俺を見ているけれど、顔を見ているわけではなさそうだった。
この人は俺のどこを見てるんだろう……。
「ランドヒーラーって、知っているわよね?」
と聞かれて、俺は言葉を探す。
ランド。国とか土地。で、ヒーラーは治癒する人、だから……。
「お祓いですか?地鎮祭とかの 」と聞いてみた。
ハレルヤの目力は途端に失せた。
「そおかあ…。まだ認知、あがってないのねえ」
ハレルヤは明らかに弱ってる。逃げるなら今だ。
右足を一歩、後退させた。
家に帰るんだ。そう。いつものようになる。いつも通りに。
今なら間に合う。
くるりと向きを変えてダッシュしようと思ったときの、ハレルヤの言葉。叫びだろうか。
それを今でも覚えている。
「使ってよ!レイタロウさんの繊細は、パワーなの!」
ハレルヤは、泣きそうだった。
「レイタロウさんは繊細で、強いの」
俺が繊細?そのことにも驚いたけれど、ー 繊細で、強い ー その対比が新鮮で、俺はハッ、とか、ドキッ、とした。
新しい価値観、新しい世界が開ける気がした。
ハレルヤは静かに俺を見て、言葉を続ける。
「繊細さは、この世への宝物よ。繊細さの使い途がわからないとき、ほとんどの人は、その宝物を忘れることで自分を守る」
ハレルヤ、悲しそうだ。
「宝物の存在を忘れてしまった方が、楽ですもの。厄介な、この世に馴染まないものは、価値などないように見えるもの。だけど、忘れてしまえば楽になるけれど、欠けたものを何かで埋める生き方をすることが多いわ……」
滝の落ちる音が聞こえる。
俺は、なぜこんなに毎日ダルいのだ。その答えがハレルヤの言葉に隠れていると思った。
言葉に乗せられてるのか?俺は。
「レイタロウさん」
そう呼ばれて俺はハレルヤの目を見た。逃げ腰だったけど、しっかり見ることができた気がする。
「レイタロウさん。ランドヒーラーってね、繊細な感覚を最大に展開していって、土地に残った“想い達”を案内するの。魂は瞬時に源へ還るから成仏していないものなどない。だけど、想いは残ることがある。想いだけは残れる。鉱物の分子配列に想いが宿り同じ音を奏で続け、植物の遺伝子に想いが記録されて花が咲く度に同一パターンの現象を生む。想いが残った石に寄る風がある。想いが記録された花や木に寄る鳥がいる。石、花、木、風、鳥、それらがつくる現象が、その土地の本来の姿を隠すことがある。土地の本来の姿が現れないことで、そこに住む人が、子供が、本来の姿になれないことが、ある。そういう土地が増えると街が国が世界が星が本来を生きられない。」
ハレルヤの、不思議な話しに聞き入った。
俺の日常に何が起きたんだろうか。
「本来を生きられない、生来のものを隠す。その時期はあまりにも長く、隠しておける時はもう残り少ない。土地に残った想いを癒し、土地本来の力を発揮させること、これをするのがランドヒーラー!」
ー 祓わない!癒すの! ー
そう言って、ハレルヤは太陽のように笑った。
「おもしろそうだな」俺はボソッと呟いた。
Christma~s !