平和を守る惨劇
最近、仕事とプライベートに時間を使い、更新が遅くなっています。
このままでいいとは思っていませんので、頑張ります!!
ゴウマの温かな心の言葉によって、自分達の罪と向き合い、出頭することを決意したビンズ達。
ビンズ達は出頭する前に、リッシュ村の人達への手紙を書き、自らの手で届けに行った。
ゴウマを含めた全員が、ビンズ達の再出発を信じ切っていた。
・・・しかし、そんな彼らの希望も、突如起きた爆発によって、絶望への変わっていった・・・
時間をさかのぼること10分・・・
ビンズ達がリッシュ村に向かっていた道中でのこと・・・
自分達が書いた手紙を手に、どこかほがらかな顔を浮かべるビンズ。
その手紙には、自分達が影として強盗殺人を犯していたことと、その罪を償うために出頭し、また一から人生をやり直すという、ビンズ達の決意が書かれていた。
「みなさん、本当に申し訳ありませんでした。 私なんかについて来て頂いただめに・・・」
歩きながら、思わずそう呟くビンズ。
ビンズは出頭することに迷いはなかった。
だが、従業員達を巻き込んでしまったことに関しては、まだ強い後悔が残っていた。
「ビンズさん、どうか謝らないでください。 私達は自分の意志であなたについてきたんです。
罪を償う覚悟なんて、最初からできていますよ?」
ハロは歩みを止めず、ビンズの後悔を取り除こうと言葉を発する。
それに続いて、コトルも「そうですよ! ビンズさん!」と明るい声を掛ける。
「・・・ところで、ビンズさん。 こんな時に聞くのもなんなのですが、我々が集めたお金はどうするんですか?」
ハロとコトルが優しい言葉を投げかける中、なぜか金に関する質問を投げかけるパーク。
「パーク。 こんな時にお金のことなんてよしなさい!」
不謹慎な質問を投げかけたパークを叱るハロを、ビンズは「いいんですよ」となだめ、パークの質問にこう返す。
「・・・パーク。 お金はゴウマ様に任せることにします。 あの方ならきっと、良い判断を下してくれるでしょう」
「しかし! あの金の中には、犯罪によって集められた金も入っています!
そう言った金は大抵、国が所有することになります!
そうなれば、リッシュ村のような貧しい村は貧困に苦しんだまま、大臣や王族のような高貴な人間達が、より贅沢な生活をすることになるんですよ!?」
「・・・そうかもしれませんね。 ですが、そんな高貴な人間の中にも、ゴウマ国王のように人を思う心を持っている方もいるのです。 彼のような男がいれば、貧困という苦しみから大勢と人達を救ってくれると、私は信じています」
”ゴウマを信じる”。 それはビンズ自身の本音であり、出頭という決意は変わらないということ。
「・・・そうですか・・・”残念です”」
「えっ?」
パークの最後の言葉が気になり、ビンズが思わず聞き返した時であった。
突然の銃声と共に、ビンズは脇腹を撃ち抜かれた。
「うっ!!」
その場に倒れ込んだビンズ。
急所は外れているため致命傷にはなっていないが、痛みで身動きが取れなくなった。
「「ビンズさん!!」」
慌ててビンズを介抱するハロと、状況が飲み込めずにパニックを起こすコトル。
「やっと見つけたぞ・・・スコーダー」
そう言いながら彼らの前に現れたのは、機械の鎧に身を包んだ集団【新生アスト】であった。
その中で、拳銃を握りしめている蒼雪を見て、先ほどの銃撃は彼らの仕業だと、ビンズ達は感づいた。
「いきなり何しやがる!!」
激情したコトルが、新生アスト達に喰って掛かる。
その質問に答えたのは、リーダーである闇鬼(夜光のアスト)であった。
「我々は新生アストである。 この心界の平和を脅かす邪悪な存在である影の1人、スコーダー。
貴様をこの場で討伐する!!」
闇鬼の言葉を聞き、脇腹を抑えて止血していたビンズが質問を投げつけた。
「なっなぜあなた達がそれを!?」
ビンズの質問に返答したのは、思いもよらぬ人物であった。
「私がお呼びしたんですよ・・・ビンズさん」
そう返したのは、先ほどまでビンズと肩を並べて歩いていた男【パーク】であった。
パークは新生アストに歩み寄り、まるで裏切りを示すかのように、闇鬼と肩を並べた。
それには、ビンズ・コトル・ハロの3人は、言葉を失うほどのショックを与えられてた。
「な・・・なぜ君が・・・」
振り絞るような声で、パークに問いかけるビンズ。
「あなたが悪いんですよ?ビンズさん。 あれだけの金を集めたにも関わらず、それを貧乏くさいリッシュ村の連中の生活費にあてるあなたがね」
リッシュ村を侮辱する発言に、ハロは怒りを露わにする。
「何を言っているの!? 私達がお金を集めてきたのは、全部リッシュ村のためだったじゃない!!」
「冗談じゃない。 私があなた方と共に強盗団をしていたのは、金のためです。
強盗団に入ったのも、楽に大金が手に入るからですよ。
でなければ、あんな薄汚いギルドに何年も務めたりしませんよ」
「パーク、テメェ・・・ふざけるな!!」
怒りに我を忘れたコトルは、拳を固めてパークに向かって走り出した。
「ごふっ!!」
パークに近づく前に、旋舞がすばやくコトルの腹部に蹴りを入れた。
コトルは腹部を抑えたまま、その場に膝を付いた。
あばらの何本かが折れたようで、腹部に激しい痛みを感じるコトル。
その顔には、悔しさと怒りがにじみ出ていた。
「ふざけているのはどっちですか? 強盗殺人なんて犯罪を犯しておきながら、奪った金を貧乏人共に分け与えるなんて、正義の味方にでもなったつもりですか?」
まるで嘲笑うかのような目で、ビンズを批判するパーク。
大抵の人間は強盗を行う場合、自分の利益だけを考えて金を奪うのが普通だ。
ビンズのように、他人の支えにするために金を奪おうとする人間は、いたとしてもわずかだろう。
それを考えたら、パークの考えは強盗犯としては普通なのかもしれない。
「・・・私は金を奪い、人を殺した。それがリッシュ村のためだと思ったからだ。
だけどそれは、自分1人の力でどうにかしようと考えてしまった私の過ちだ。
その結果、ゴウマ様を傷付け、君は金という強大な力に惑わされてしまった。
・・・申し訳ない。 私がふがいないばかりに・・・」
ビンズは裏切ったパークに怒るどころか、自分のせいでこんなことになってしまったと、謝罪した。
「なんで謝るんですか!?ビンズさん!! 悪いのは裏切ったパークの奴でしょう!?」
ビンズの謝罪に納得できないコトルは腹部の痛みを忘れ、怒りに身を任せて声を上げた。
「・・・ビンズさん?」
木々の暗闇から現れた人物に、ビンズ達は驚きを隠せなかった。
その声は、長年リッシュ村を共に支えてきたリッシュ村の村長であった。
「村長・・・なぜここに」
驚きのあまり、止血している手から力を抜きそうになってしまったビンズ。
「先ほど、銃声のような音がしたので、様子を見に来たんです・・・それより、これはどういうことなんですか? なぜビンズさんが血を流しているのですか?」
状況が飲み込めず、動揺する村長に、闇鬼がこう説明する。
「そのビンズと言う男は、影のメンバーの1人、スコーダーです。
奴は、あなた方の村を救いたいなどと言う理由から、あちこちから金品を強奪し、尊い国民の命を奪ってきた極悪人です」
「ビンズさんが・・・影?」
村長は驚きのあまり腰を抜かしてしまった。
それはこの場にいる誰もが当然の反応だろうと思っていた。
自分の近くに、強盗殺人犯がいれば、誰でも驚き、拒絶する。
どんな理由があれど、それは避けては通れないことだと、ビンズは悲しみを押し殺して理解しようとしていた。
「・・・申し訳ありませんでした。 村長」
リッシュ村のためとはいえ、親友とも言える村長を欺いたことに対し、謝罪の言葉を述べるしかないビンズは、自分がみじめで仕方なかった。
・・・しかし、村長の口から思いもよらぬ言葉が出てきた。
「・・・いいえ、謝るのはこちらです」
そういうと、村長はゆっくりと立ち上がり、ビンズの元へゆっくりと歩み寄る。
「あなたが私達の村のために、そこまでしてくださっていたなんて、知りませんでした。
思えば・・・私達はいつもあなた方に甘えてばかりで、あなた方の苦労を知ろうとしたことがなかった。
いつも自分達のことばかり考えて、心のどこかで、あなた方がいることが当たり前とさえ、思ってしまっていました」
村長は、ハロに介抱されているビンズと目線が合うように、膝を曲げる。
「村を思って頂き、ありがとうございました。 ビンズさん。 そして、申し訳ありませんでした」
「村長・・・」
ビンズは思わず涙を流した。
こんな自分を受け入れ、感謝と謝罪を述べてくれた村長。
彼の温かな言葉で理解した。
自分達の行動は間違っていたが、村を救いたいと思う気持ちは間違ってはいなかったのだと・・・
村長は再び立ち上がると、新生アストに頭を下げて懇願する。
「どうか、ビンズさん達にやり直すチャンスをください。 お願いいたします」
「村長、自分が言っていることがおわかりか? あの男は影です。
このまま放っておけば、また多くの命が危険にさらされてしまうかもしれません。
この場で葬った方が賢明だと思いますが?」
闇鬼はこの場での処刑をやめようとはしない。
だが、村長は食い下がる。
「お願いいたします! ビンズさん達が罪を犯した原因は、私達にもあります!
だからどうか命だけは、勘弁してください!!」
ついには、土下座までしてビンズ達の命乞いをする村長。
その姿に、ビンズ達は涙を流しながら、村長に感謝した。
「・・・仕方ありませんね」
闇鬼はやれやれと首を横に振り、そう呟く。
「あっありがとうございます!!」
村長は、ビンズ達が許してもらったのだと喜んだ・・・が。
「えっ?・・・」
闇鬼は、すばやく右足に装備していたシェアガンを手に取ると、村長の額を撃ち抜いた。
村長の額から血が噴き出し、体はそのままあおむけに倒れた。
ビンズ達は一瞬何が起きたのかわからず、思考が停止してしまった。
「そ・・・村長ぉぉぉ!!」
村長を大声で呼び、脇腹の痛みを忘れて、村長の元に駆け寄るビンズ。
「村長!! 村長!!」
どれだけ呼んでも、村長が目覚めることはない。
「おっお前・・・何してんだぁぁぁ!!」
村長の死に激情したコトルが、そばにあった木の棒を手に取り、闇鬼に向かって走り出した。
「コトル!! やめなさい!!」
ハロの静止も聞かず、コトルは闇鬼に殴りかかろうとする。
・・・しかし、闇鬼の元にたどりつく前に、旋舞の放った風の刃によって、あっけなく首を切断された。
コトルの首からは、噴水のように血が引き出し、首が地面に落ちると同時に、体もその場で力尽きた。
「心界の平和を守る我々アストに、武器を向けた報いだ」
コトルの首に、旋舞は冷たくそう言い放つと、コトルの首を踏み潰した。
「コトル?・・・いやぁぁぁ!!」
その悲惨さに、ハロは目を覆った。
「なぜ・・・なぜ、殺したぁ!?」
新生アストに向かって、怒りのまま質問を投げかけるビンズ。
「その男は、影と知ってなお、貴様を庇おうとした。
それはこの心界に住む者たちにとっては、許しがたい裏切り行為である。
心界の平和を守る我々にとっては、当然のことだ」
闇鬼はそう言うと、炎尾に向かって、恐ろしい命令を下す。
「炎尾・・・連帯責任だ。 村を焼け」
「了解」
その言葉に、ビンズは「やめろぉぉぉ!!」と止めに入るが、すばやく闇鬼が左手でビンズの首を掴み、捕えた。
「やめろ! 村の人達は関係ない!!」
「彼らは盗んだ金品によって、生活をしていたのだろう?
そんな寄生虫のような人間など、この国には必要ない」
「彼らも国が守るべき国民ではないのか!?」
「ふっ・・・愚かな。 善良な国民と薄汚い貧乏人を一緒にされては困る」
「メテオ!!」
エクスティブモードとなった炎尾が爆炎杖を振りかざすと、上空に巨大な火球が現れ、リッシュ村へと落ちた。
リッシュ村は炎と煙に包まれ、火の海となって、焼失した。
闇鬼達のあまりにも、冷酷な言葉に、ビンズ以上に温厚であったハロも怒りに立ち上がる。
「何が平和を守るよ!! あんた達がやったことは、ただの人殺しじゃない!!
あんた達に比べたら、ビンズさんの方がずっと立派よ!!」
ハロが怒りの言葉を口にした瞬間、いつの間にかハロの後ろにいた剛角が右腕でハロの首を絞めた。
「ハロさん!!」
助けに行きたいが、ビンズ自身も闇鬼に捕まっているため、動けない。
「老いぼれが・・・我々アストを侮辱した報いを受けるがいい」
剛角は右腕に力を入れ、ハロの首を絞め続ける。
「お・・・お前達は・・・悪魔よ・・・」
その言葉を最後に、ハロは二度と動かなくなった。
そして、闇鬼はシェアガンの銃口を首を掴んでいるビンズの心臓に向ける。
「スコーダーよ。 これまでの悪行を悔いて、地獄に落ちるがいい」
闇鬼はシェアガンの引き金に掛けてある指に力を入れる。
「・・・許さない・・・お前達だけは絶対に!!」
怒りと憎しみによって、鬼のような形相となったビンズは、ランを殺したマッド以上の殺意を新生アストに抱いた。
そして銃声と共に、ビンズの命は尽きた・・・
笑騎「なんか、正義のヒーローが完全に悪役になってもうたな」
夜光「アストが正義のヒーローと言った覚えはないがな」
笑騎「でも、それっぽい恰好してるやんけ」
夜光「まあな。 でもアストと言えば、作者なりのルールが2つあるみたいだぜ?」
笑騎「ルール?」
夜光「まず『名乗らない』。 これから戦う敵に、わざわざ名乗る義理はないから」
笑騎「そうやけど、特撮ヒーローの醍醐味やろ?」
夜光「次に『いちいち技名を叫ばない』。 技名を言う暇があるならさっさ戦えと思うし、何より技名を考える荷が面倒」
笑騎「絶対、後者が本音やろ!?」
夜光「以上、ちょっとした裏話でした」
笑騎「俺ら何を聞かされてん・・・」




