月夜の思い
最近忙しく、あまり話が進まなくなってきました。
もう少し気合いを入れて書いてみます。
ルドと見合いをするため、ケンタウロス族の住むドープの森を訪れた夜光。
自分の特性を理解してもらえず、その心情を変えようと躍起になる両親に、ルドは口を閉ざす。
その上、セリア達マイコミメンバーまでも、それぞれの不安を胸に、ドープの森を訪れていた。
「腹減った……」
日が傾き、緑一面だった森がが夕日の紅に彩られた。
夜光達は今晩の食事を確保するため、ルドとスノーラと一緒に森で獲物を探していた。
ケンタウロス族の食事は、基本的にその日の狩りで入手した動物や魚、または木の実などをその日に食べている。
冷蔵庫のような食料をそのまま長期間保存できるものがないため、狩りで得た獲物は大抵、干物にするか、その日のうちに食べてしまうかの2択しかない。
「こんなボロボロの槍1本で狩りなんてどう考えても無理だろ!? っていうか、お前の両親から飯をもらっちまえばいい話だろ?」
先導するルドとスノーラに、借り物のボロ槍を振り回して文句を垂れる夜光。
すでに獲物を探して1時間は経過しているため、短気な夜光のいら立ちは限界を迎え始めていた。
「ダメだ。 自分の飯は自分で取る! それがケンタウロス族の鉄則だ!」
「なんで招待された身で、飯すら用意されないんだよ……」
「仕方ありませんよ。 ケンタウロス族が同族以外を森に招くことはほとんどありませんから」
「客をもてなす経験がほとんどないんだ。 勘弁してくれ」
「(来るんじゃなかった……)」
自然豊かなこの森では、イノシシやシカといった動物のほか、魚も多くいる。
だが、魚を取るための道具がないため、それは断念せざる終えなかった。
ケンタウロス族は素手で魚を取るのだが、ルドは子供の頃から取れたためしがない。
体力や森の知識に乏しい残りの4名は、セリアが持っていた図鑑を片手に果物を探すことにした。
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「グォォォ!!」
3人の前に、待望の獲物が現れた。
「くっ熊ぁぁぁ!!」
それは目視で見ても2メートル以上はある大熊。
鋭い爪と牙が沈みゆく太陽の赤い光で照らされ、血に染まった獣のように錯覚する。
「この時期に熊とは珍しいな。しかもこいつの肉はケンタウロス族でも滅多に食えねぇんだぜ?」
「・・・」
腰を抜かす夜光とは対照的に、ルドはごちそうを前にした子供のようにはしゃぎ、
スノーラは動揺すら見せず、腰を少し低くして臨戦態勢を取る。
「グォォォ!!」
しびれを切らした大熊が3人に向かって突進する。
巨大な体に似合わず身のこなしは素早い。
「遅いっ!!」
スノーラは銃をホルスターから抜くと同時に、数発の弾丸で大熊の体をを打ち抜いた。
そのどれもが急所となる場所で、大熊は撃たれた瞬間、その場で大きくひるんだ。
「おらぁぁぁ!!」
その好機を見逃さなかったルドが、熊の大木のような腕を掴み、背負い投げの要領で投げ飛ばした。
「うわっ!」
大熊を投げ飛ばした衝撃で地面が軽く揺れ、夜光は尻餅までついてしまった。
「仕留めたようだな……」
「後方支援ありがとな!」
大熊の死を確認したルドとスノーラは、青春を謳歌する学生のようなハイタッチで互いの労をねぎらった。
「(……俺、何しについてきたんだ?)」
己の価値を見出せず、途方に暮れる夜光であった。
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夜になり、夜光達はルドの家で本日の成果で食事の準備をすることにした。
ルドの両親は見合いの準備があるからと、姿を見せなかった。
熊肉は火で丸焼きに、野草はサラダにすることになった。
丸焼きはケンタウロスの手慣れているのでルドが担当し、
他のメンバーは果物を井戸水で水洗いして皮をむき、食べやすい大きさに切ることになった。
「なんでこんな山奥で俺がこんなことしないといけないんだよ……」
「ぶつくさ言ってないで手を動してください」
夜光の隣で果物を切るスノーラに恨み言すら許されずに、黙々と手を進める夜光。
1度脱走を試みたのだが、スノーラに威嚇射撃を喰らって以降、それは諦めた。
※※※
「・・・ねぇ、ルドちゃん。 ここってお風呂とかないの?」
食事が終わり、みんなで使った食器等を井戸水で洗っていた時、セリナがルドに問い掛けた。
「そんなのねぇな。 ケンタウロスは基本、川で水浴びで済ませてるから」
「水浴び!? あのすごく冷たい川で?」
「そうだ。 今の時期だとちょっと冷たいかもな。 まあ無理に入らなくても、1日くらいどうってことないと思うぜ?」
「やだ! 私、1日1回は必ずお風呂に入るって決めてるもん!!」
選手宣誓のように胸を張って立ち上がるセリナ。
『……』
そんな彼女の子供じみたしぐさに周囲の女性達は頬を緩ませがるがふと自分達の服や肌を確認する。
食料探しで散々、森の中を歩き回った体が汚れぬはずもない。
そうでなくとも、1日の終わりに体を清めないのは、乙女としてあるまじきことである。
「・・・確かにこれでは清潔とは言い固いですね」
スノーラのその言葉に女性達(ルド以外)は深く頷いた。
食器洗いが終わり、夜光達は各自が持ってきていた着替えとタオルを持って、再び昼間の川へと向かった。
セリア達は昼間遊んでいた場所に、夜光とゴウマはそこから離れた少し離れた下流で水浴びすることにした。
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「・・・ちょっと。本当にここには誰も来ないのよね?」
ライカは辺りを注意深く見渡しながらルドに尋ねた。
いくらケンタウロスの森だからと言っても、外で衣服を脱ぐのは抵抗がある。それが年頃の少女ならなおさら。
「心配ねぇよ。 この川に足を運ぶケンタウロスなんてまずいない」
「なんで? こんなにきれいな川なのに」
茂みで体を隠しながら服を脱いでいるセリナが驚きながら人②会話に割り込んできた。
ルドに至っては体を隠そうともせずに堂々と服を脱ぐ始末。
その羞恥心のなさに女性達はうらやましさを感じていた。
「この川にはいつも魚がほとんどいない上、水浴びするにはケンタウロスじゃ浅過ぎるからな」
それを聞き、多少の安心感は湧いてくるものの、外での脱衣に対する羞恥心はなかなか消えない。
だが羞恥心と不衛生を天秤にかけると、羞恥心が勝ってしまうのも事実。
女性達は覚悟を決めて脱衣を試みたのであった。
※※※
「冷たっ!……」
ライカが川に足を突っ込んで水温を確認すると、冷え切った水がライカの体温少しを奪った。
他のマイコミメンバー達も後に続き、足で水温を測りつつ、徐々に体を慣れさせていく。
※※※
「うわっ! ライカちゃんでっか!」
冷たい川の水で体を洗う中、ふいに見たライカの巨乳にセリナは驚愕する。
そして、吸い寄せられるように、セリナの10本の指がライカの巨乳に埋まっていく。
「ちょ!! あんたどこ触ってんのよ!!」
「だって、ライカちゃんのおっぱい大きいんだもん!」
「もん!じゃない!! だいたいセリアだって大きいじゃない!!」
「!!!」
名指しで指名されたセリアは、我が身可愛さから2人から視線をそらす。
「セリアちゃんのは見たことあるけど、ライカちゃんのは初めて見るから」
「だからって、なんであたしなのよ!ってどさくさに紛れて揉むなっ!!」
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その様子を少し離れた所で眺めているスノーラとルド・・・
「・・・あいかわらずだな。あの方は」
「・・・そうだな」
スノーラはルドのどこか元気のない様子に思わず尋ねた。
「ルド。何か気になることがあるのか?」
「なんだよ。急に」
「長い付き合いだからな。お前の様子の変化くらいわかる」
スノーラとルドはほぼ同時期にホームに来た。いわば同期のようなものだ。性格は違うが、とても意気が合うので自然に一緒にいる時間が多くなった。
「・・・お前にいは隠せないな ・・・両親のことでちょっとな」
「両親?」
「・・・両親はオレを病人として扱うことがすごく嫌なんだ・・・・」
「病人・・・」
人間と違ってケンタウロスのような異種族は障害に関して認識がほとんどない。そのため、異種族にとって障害はただの病気なのだ。
特に精神障害のような目に見えない障害は、異種族にとってはざれ言にしか思えない。
「ホームに通っていて、オレなりに障害のことは理解しているつもりだ。 両親は本気でオレを心配しているのも理解している・・・だけど両親に{お前は病気だ}って言われるたびに自分がすごく惨めに感じるんだ。オレはただ頭がおかしいだけなのかって錯覚することもある」
「・・・ルド」
同じ障害者であるスノーラにはその気持ちが、痛いほどよくわかる。
どんなに悪意のない言葉でも、知らず知らずの内に相手を刺す言葉のナイフになってしまう。
両親にとっては病気やざれ言でも、ルドにとって障害は自分の一部のようなものだ。
「・・・悪い。楽しく水浴びしている時にこんな話なんかして」
「・・・いや、私も同じ立場だったら、きっとお前と同じことを考えていただろうからな」
「本音を話したら少し楽になったよ。ありがとうな、スノーラ」
ルドの表情に少し明るさが戻った。
「・・・そうか。それなら何よりだ」
そこへ突然、セリナの叫び声が辺りに響く。
「うわぁぁぁん!! たーすけてぇぇぇ!!」
視線を向けると、セリナはライカに追いかけられていた。
「待ちなさい!セリナ! 本気で1回ヤキを入れないと気が収まらないわ!」
「ごめんなさぁぁぁい!!」
2人は互いの顔を見てフッと笑い、呆れつつも止めに入ったのだった。
一方セリア達とは離れた場所で水浴びしている夜光とゴウマ。
2人はさっさと水浴びを終え、川原で寝そべっていた。
「何が悲しくて中年のおっさんと水浴びしなけりゃならないんだ・・・」
夜光でなくても、おっさんと水浴びして喜ぶ男はいないだろう。
「それは悪かったな。嫌ならセリア達の所に行ったらどうだ?」
ゴウマが冗談で言うと、夜光は鼻で笑った。
「俺に死ねって言ってるぞ。それ」
水浴びしているセリア達の所へ行けば、どうなるかなど想像するまでもない。夜光とて命は惜しい。
夜光とゴウマが星空を眺めながら、セリア達の水浴びが終わるのを待っていた時、ゴウマがふとこんな質問をしてきた。
「夜光君。君は元の世界に帰ろうと思わないか?」
「なんだよ。急に」
「君と誠児君がこの世界に来て、もう1ヶ月になる。
だから寂しくなったのでは?と思ってな」
夜光と誠児の家族はすでにこの世にいない。
そして、心配している友人も特にいない。
だから、2人元の世界に帰ることにあまり積極的ではないのだ。
「別に。誠児の奴はどう思っているか知らねぇが、俺には家族もいないし、友人も誠児しかいない。だから急いで戻る必要がない・・・それだけだ」
「・・・そうか。寂しくないならそれでいい」
ゴウマがそう言って話を終えると、今度は夜光がこんな質問をした。
「・・・俺も気になることがあるだが」
「なんだ?」
「なんでホームなんて作ったんだ? あんなの完全にボランティアじゃねぇか」
夜光は以前笑騎に聞いたことがあるのだが、ホームで働くスタッフの給料や経費などはすべて国が負担しているらしい。
就労の訓練生やデイケアメンバーからは金は一切取っていない。経済的に余裕があったり、バイトなどで稼ぎがある者は除く。
「・・・ホームは妻の夢なんだ」
「妻の夢?」
「あぁ。ワシの妻は生まれつき目に障害をもっていて、
目が全く見えなかったんだ」
ゴウマは少し寂しげな表情を浮かべていた。
それを隠すように星空を眺めた。
「妻は子供の頃、よくそのことでからかわれていたんだ。
昔は今より、障害者に対する偏見がひどくてな。
障害者に対するいじめが多発していた」
「(どこの世界でもいじめってあるんだな)」
「ワシがこの国の王になり、妻が王妃になった時、
妻は障害者達への偏見を無くすために、なにかしようと考えた。
そんな時に、きな子先生から一冊の本を渡されたんだ」
「本?」
「君らの世界にいる障害者についての本だ。
そこには就労支援、デイケアなどの障害者のための施設や
カウンセリング、特例子会社などワシらが全く知らないことがたくさん書かれていた」
「(あのウサギがそんな気のきくことをするとは思えない・・・)」
とある温泉・・・
「は・・・はっくしょん!! あれ? 風邪引いたんかな?」
噂されたウサギがいた。
話を戻します。
「ワシと妻はその本を元に、障害者のための施設を作ることにした。
だが、建物や設備を作ることができても、ワシと妻だけでは障害者達を支えることはできなかった。
だから、ワシ達は障害者の力になりたいと思う者達に協力を申し出た」
「・・・集まったのか?」
「協力を申し出たのはワシの弟とラジオパーソナリティーのトーンの2人だけだった」
「トーン? あのラジオ局のおっさんのことか?」
トーンとは以前、セリナの実習先のラジオ局で会った人気ナンバー1のラジオパーソナリティーのことだ。
「そうだ。トーンには障害を持つ娘がいてな?
その子もよくいじめられていたらしい」
「(あのおっさんにそんな過去があったのか・・・)」
「ワシらは各自でホーム建設のための努力をした。
ワシと妻はホームの建設に携わり、トーンはラジオで障害者の入所やホームスタッフの呼びかけ、弟は現実世界の書物で精神医学を学んだ
・・・それから5年ほど経ち、就労支援とデイケアを兼ね備えた施設が誕生したと言う訳だ」
「なるほどな・・・じゃあ、他の創立メンバーはどうしたんだ?」
夜光の何気ない質問に少しゴウマがうつむいた。
そして、少し考え込んだあと、ゆっくり口を開いた。
「・・・弟は精神医学を広めるために各地を放浪する旅に出た。
妻は・・・死んだ」
「死んだ?」
「・・・ある日、ワシと妻は馬車でホームに向かっていた。
その時に、外を見ていた妻が集団で暴力を振るわれている少年を見つけたんだ。彼らが少年に向かって吐く暴言で、すぐに少年は障害者だとわかった。そして、集団の中の1人がナイフを取り出し、少年を刺そうとした。それを見た妻はすぐに馬車から降り、少年の盾となって、そのままナイフで刺された」
ゴウマの目にうっすらと涙が浮かび上がった。
「一瞬、何が起きたかわからなかった。ワシはすぐに妻を病院につれていった・・・だが出血がひどく、病院に着いた時にはほとんど瀕死の状態で手の施しようがなかった。
死期を悟った妻は、最後に『みんなを守ってあげて』とだけ口にして、この世を去った。
そして、ワシは妻が描けなかった夢を叶えるためにホームを作り、障害達が安心して暮らせる世界にしたいと決意したんだ」
「・・・」
夜光には言葉が見からなかった。
妻とはいえ、他人のためにそんな巨大な夢を実現しようとするゴウマの決意の強さに、夜光はただ黙っているしかなかった。
「・・・すまんな。せっかくに美しい景色なのに、こんな話をしてしまって」
ゴウマは涙を吹き、明るく振る舞った。
「・・・いや、質問したのは俺だ。 悪かったな」
2人の間に静かな風が吹き始めた時
「2人共!お待たせ!」
セリナの元気な声とともに、マイコミメンバーが2人の元に現れた。
どうやらセリア達も水浴びが終わったようだ。
夜光とゴウマはゆっくりと立ち上がり、セリア達と共にルドの家へと戻っていった。
ルドの家に戻ると、フォーレが出迎えてきた。
「皆様、宿泊するお部屋のご用意ができましたので、ご案内します」
フォーレに案内された先にあったのは、古い小さな小屋が数個。
「・・・(外で寝るよりはマシか)」
別にホテルを期待していた訳ではないが、物置のような小屋に宿泊することには抵抗があった。
「このような場所を用意していただき、ありがとうございます」
律儀に感謝するゴウマにフォーレも頭を下げ
「いえ、お気になさらず。 では、明日はよろしくお願いします」
「こちらこそ」
フォーレはルドに視線を向け
「では、ルド。帰りましょう」
「・・・はい」
元気のない返事をしたルドはフォーレと共に、家に戻っていった。
2人を見送った後、夜光達は適当な小屋に入り、数時間後に全員就寝した・・・
家に戻り、自室で横になっていたルドは、明日の見合いのことを考えていた。
「(明日のお見合い、夜光はどうするつもりなんだろ?
まあ、夜光のことだし適当にお見合いをして帰るつもりだろうけど・・・オレはどうしよう)」
ルドも夜光と結婚するつもりはない。だが、自分のために見合いをセッティングした両親のことも気がかり。
ルドはその板挟みに悩んでいた。
「・・・水でも飲んで少し落ち着くか」
ルドが起き上がり、水を飲むために自室から出た時だった・・・
「(・・・ん? 誰かの話し声が聞こえてくる・・・来客部屋か?)」
それは、昼間にゴウマとストーンが話していた部屋から聞こえてきた。
その部屋は主に、来客との応対で使われている。
「こんな時間に誰だ?」
ルドは気になり、静かに来客部屋に向かった。
物陰に隠れて来客部屋に近付くルドの目に入ってきたのは・・・
「(・・・あれは父さんと母さん? それに話しているのは・・・!! リーフ!)」
リーフとは、かつてルドが好意を寄せていたケンタウロスの少女だ。
ルドはリーフに告白したが、その気持ちを受け入れてはくれなかった。
「(なんでこんな時間にリーフが?)」
ルドが聞き耳を立てると・・・
「リーフ、何度も言っているがルドは病気なんだ。許せとは言わんが、わかってやってほしい」
「病気なのはわかってる。でも、ルドには森に帰ってきてほしくなかった」
「!!!」
リーフの言葉に、ルドは衝撃を受けた。
「ルドに告白された時、正直私は気持ち悪いと思ったわ。
何よりライバルと思っていた女がそんな言葉を私に掛けるなんて・・・はっきり言って裏切られた気分だったわ」
「・・・」
障害の認知が低いケンタウロスがそう思うのは無理もないとルドは強く自分のつらさを押し殺した。
「でも、つらかったのはその後よ・・・」
ルドがホームに通い始めるために森を離れた後、森ではリーフがルドに告白された話で持ちきりになり、
ケンタウロス達はリーフを笑いものにし、次第にその話に根拠もない噂が混じり、《リーフは実はルドと付き合っていた》や《ルドとリーフは肉体関係を持っていた》という話に変わり、リーフはどんどん孤立していった。
だがそれよりも、彼女を最も傷付いたのは《闘技大会の出場永久停止》だった。
その理由は、『汚らわしい女を伝統ある武闘大会に出すな!』と言う声が森中のケンタウロスからよせられたため。
リーフは事実無根と何度も訴えたが、すでに噂が広範囲に広まっていたため、誰も耳を貸さなかった。
闘技大会で優勝し、誇り高いケンタウロスとして名を馳せるリーフの夢は儚く崩れ去った。
リーフはそれ以降、家にずっと引き籠るようになり、家族とも会話がぎこちないと言う……。
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「私の人生はルドに壊されたも同然よ!!」
「……すまない。 "ルドは私達が必ず更生させる"。 だから……許してほしい」
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「(オレのせいで……)」
人生も夢もぶち壊され、涙ながらに怒りをぶつけるリーフ。
そんな彼女の怒りを鎮めるために、尊敬する父であり誇り高い戦士でもある父、ストーンが我が子の代わりに頭を下げる。
ルドは堪えていた涙を開放し、己の身勝手が多くの不幸を呼んだと悟る。
「オレは……オレは……」
泣き叫びたい衝動を抑え、ルドはその場から離れた。
夜光「初のサービスシーンが出たと思ったら、後半はずいぶん暗すぎるな」
ライカ「別に好きでそんなサービスしている訳じゃないけどね」
夜光「そう言えばセリナの奴、水浴びの後は、やけにおとなしかったな」
ライカ「本編には出なかったけど、たっぷり説教しておいてやったわ」
夜光「お前は乳を揉まれたくらいで大げさなんだよ。なんだよこれくらい」
ライカ「きゃぁぁぁ!! 何、人の胸触ってんのよ! この変態!! 痴漢!!」
夜光「ちょっと、手が触れただけだろ?
それくらいおおめに見れないから、お前はガキなんだよ」
ライカ「・・・もしもし? 騎士団ですか?
今、男に襲われたんですけど・・・」
夜光「ちょっと待てぇぇぇ!!」