最強の男
すみません。 まだ半分しかできていませんが、また更新日をずらすのも何なので、一旦出して、明日以降に続きを書こうと思います。
ゼロンに対抗すべく、ルドとスノーラはキバを呼び、ナイトフォームとなった。
その圧倒的な防御力によって、ゼロンの吸収能力を無効化し、最大の強みである攻撃力によって、ゼロンに致命傷を与えることに成功する。
決着がついたかと思ったその時、ゼロンはエクスティブモードを起動して、自らのダメージを全回復してしまった。
「かっ回復なんて冗談でしょ!?」
回復の事実を受け止められないライカの声がこわばっていた。
だが実際、ボロボロになっていた妖雅の装甲は完全に直っている。
装甲でアスト達には見えていないが、先ほどまでゼロンが負っていた傷も血の跡だけを残して完全に塞がっていた。
多少息が上がっているものの、戦闘を続行させる分には十分なコンディションだ。
「ちっちくしょう! そんなのありかよ・・・」
悔しさを噛みしめ、立ち上がろうとするルドだが、キバの反動による疲労が体に重くのしかかる。
「くっ!」
同じくルドの横で倒れているスノーラも、抵抗の意志を見せようとエモーションを試みるが、精神力が極限まで下がっている今の状態では、マインドブレスレットからはエラー音が鳴るだけで、全く動作しなかった。
「ふっ2人もどうしよう!?」
「どうもこうも、あたし達だけでなんとかするしかないでしょ!!」
「そっそんな・・・キバもなしでどうやって!?」
「とにかくやるしかないわ! 今動けるのはわたくし達だけなのだから!」
3人は再び武器を構え、立ちふさがるゼロンの前に立つのであった。
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「ゴフッ!」
「夜光!」
「一旦船に戻るッス!」
背負っていた夜光が突如吐血し、誠児はカイトとゴウマと共に、慌てて船の中に戻り、設置されている簡易ベッドに夜光を寝かせることにした。
「夜光、しっかりしろ! 絶対助かるからな」
口元についている血をタオルで拭いながら、苦しむ夜光の顔に心をえぐられるような痛みを感じる誠児。
カイトとゴウマもそんな2人を見て、歯がゆく思っていた。
「このままのんびりしていたらヤバいっス・・・」
「わかっている・・・だが、ゼロンをなんとかしなければ、出港できない・・・」
「でもあの状況じゃ、みんなが勝つなんて無理っスよ」
「一体どうすれば・・・」
打開策が思いつかず、両手で頭を抱えてうなだれるゴウマ。
「夜光・・・」
祈るような思いで夜光の手を握りしめる誠児。
手を伝わるぬくもりはほんのり温かく、そして震えていた。
「(俺に何かできることはないのかよ!)・・・!!」
誠児の目にあるものが映った。
それは、夜光の枕元に置いてあるマインドブレスレットだった。
誠児は以前、ミュウスアイランドにて、闇鬼を装着したことがある。
ゴウマによると、誠児には潜在的に強い精神力があり、マインドブレスレットがその力に呼び寄せられたことがきっかけだと言う。
その力は、闇鬼の主である夜光を遥かに上回るのだが、かなり不安定なようで、夜光の身に危険が迫った時に、一時的に覚醒したに過ぎない。
「・・・」
アスト達が窮地に追いやられている中、このマインドブレスレットは唯一の希望だが、確実に状況が覆るとは限らない。
「(夜光、少し借りるぞ!)」
しかし、誠児の心に迷いはなかった。
たとえ可能性が低くても、かけがえのない家族である夜光を救う唯一の希望であることに違いはない。
「誠児! お前まさか!」
マインドブレスレットを掴む誠児を見た瞬間、彼の考えが一瞬で頭によぎるゴウマ。
「自信はないけれど、こんなことしか思いつかないんです」
「危険だ! ゼロンはアストを身に纏っているんだぞ!
疲労しているとはいえ、お前の不安定な力でかなう相手じゃない!!」
「・・・それでも、夜光が死ぬかもしれない時に、くすぶっていることなんて俺にはできません!
それに・・・偶然でも、俺は闇鬼になれたんだ。 可能性が全くない訳じゃない!!」
「しかし、偶然が何度も起きるとは限らない!」
「起きないなら起こします! いや、起こして見せる!!」
「誠児・・・」
「親父だって偶然を起こすために鬼ヶ島に行くんじゃないんですか!?」
誠児はそう吐き捨てると、船から飛び出していった。
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「はっ!」
戦闘を続行させているアスト達は、セリナのシールドで身を守り、反撃のチャンスを伺う作戦に出た。
「シールドを展開したくらいで僕から逃げたつもりか?」
ゼロンは嘲笑うかのような口調でそう告げると、セリナの張ったシールドに軽く触れた。
すると突然、シールドがガラスのように砕け散り、跡形もなく消えてなくなった。
「嘘っ!」
「シールドだろうが、弾丸だろうが、精神力でできたものは全て吸収し、無効化する。
それが僕の能力だ」
『・・・』
完全に対抗手段を失ったアスト達だが、武器を構える勇気だけは捨てなかった。
ゼロンはそれを鼻で笑い、シェアガンを向ける。
「やめてっ!」
叫び声を上げ、アストとゼロンの間に割り込んだのは、仲間達が次々と倒れていく姿を見て、居ても立っても居られなくなったセリアであった。
「ゼロンお願い! あなたの言うことなんでも聞くから・・・もうこれ以上、みんなを傷つけないで!」
「セリア! バカなことはやめなさい!」
「そうだよ!セリアちゃん! そんなの絶対だめだよ!」
「でっですが、これ以上みなさんが傷つくところなんて見たくありません!」
「くだらないこと言う暇があるなら、さっさと後ろに引っ込んでなさい!!」
3人はセリアの提案を却下し、強引に自分達の後ろに下がらせる。
「セリア。 こいつらはどうあっても、僕達の愛を邪魔したいようだ。
心苦しいが、君の提案を否定せざる終えない。 ふがいない僕を許してくれ」
ゼロンがアスト達にシェアガンの引き金に掛けている指に力を入れようとした時だった。
「やめろっ!」
勇ましい声が夜の闇に響いた。
声の方向に全員の視線が集中する。
「貴様・・・」
『誠児(君)!!』
そこに立っていたのは、マインドブレスレットを左手に付けた誠児であった。
「1度だけ言う・・・そのマインドブレスレットを渡してくれないか? できることなら争うようなことはしたくない」
「・・・」
両手に拳を作り、勇気を振り絞る誠児の言葉だったが、ゼロンはそれを無下にするかのように、誠児にシェアガンを向ける。
「それが君の答えか・・・だったら仕方ない」
そう言うと、誠児は左腕に付けたマインドブレスレットに右手を添える。
「(・・・頼む。 夜光を助けたいんだ)」
祈るような思いを胸に、誠児はマインドブレスレットのダイヤルをエモーションに合わせる。
『リンク!!』
マインドブレスレットから音声が鳴り響く。
もしも誠児の精神力が低いままならば、カバーをスライドさせた瞬間、エラー音が鳴り響く。
そうなれば、誠児はゼロンに撃ち殺されてしまう。
「消えろ・・・」
結果は見えていると言わんばかりに、ゼロンは引き金を引く。
『!!!』
非情な弾丸が誠児目掛けて放たれる。
アスト達がフォローに向かおうにもとても間に合わない。
そこにいる者全てが誠児の死を強く予感した。
「(夜光!!)」
大切な家族の名を心で叫び、誠児はカバーをスライドする。
『エモーション!!』
奇跡の音声が鳴り響くとともに、希望の光が誠児の体を包み込んだ。
ゼロンが放った弾丸は光によって弾き消され、やがて光が止むと共に、黒い鬼が姿を現す。
「ばっバカな・・・」
驚きのあまりゼロンは2、3歩後方に下がる。
だが彼をそうさせたのは、誠児が闇鬼を装着したという奇跡のような現象ではなかった。
「(なっなんだ? 奴の体から漏れ出ている精神力は・・・)」
誠児の体には、黒と白のオーラのようなものがまとわりついていた。
そのオーラからは、圧倒的と呼んで良いほどのプレッシャーを放たれており、一瞬でも気を緩ませれば、蛇に睨まれた蛙のように、震えながら膝をついてしまいかねない。
それはゼロンだけでなく、セリア、セリナ、ライカ、ミヤも感じており、4人は震えながら指1本も動かせなくなっていた。
「君が自分で選択したんだ。 それなりの覚悟はしてもらうよ?」
「だっ黙れ! 害虫がぁぁぁ!!」
ゼロンは数発の弾丸を誠児に向けて放つ。
「・・・」
弾丸は胸や顔に命中するも、誠児は微動だにせず、命中した際の金属音だけが空しく響く。
「・・・いくよ?」
そう言った瞬間、誠児はゼロンやセリア達の前から姿を消してしまった。
「どっどこへ・・・ゴブッ!!」
次の瞬間、ゼロンの腹部に強い衝撃と激痛が走る。
何が起きたのかわからないまま、ゼロンの体は後方に飛び、灯台でできた瓦礫の山に叩きつけられてしまった。
だが幸運にも、瓦礫の山は衝撃を抑えるクッションとなってくれていた。
この瓦礫の山がなければ、ゼロンは遥か彼方に吹き飛ばされていただろう。
だが、致命的なダメージを負ったことに変わりはない。
妖雅の装甲は今の衝撃によって、再び電流や火花と言った悲鳴を上げていた。
「いっ一体何が・・・!!」
腹部の痛みに耐えながら前方に視線を向けると、先ほどまでゼロンがいた地点に、拳を突き出した誠児が立っていた。
この時初めて、ゼロンは誠児に殴られたと認識することができた。
そのあまりにも速い動きは、アストの中でもトップレベルの俊敏さを持つライカでさえ、気配を感じる暇もなかった。
「(まっまさか・・・ただの拳だけで、僕にこれだけのダメージを負わせたというのか?
じょっ冗談じゃない!! 防御面に特化がない妖雅だからといって、拳1発でここまでなる訳が・・・)」
あれこれ考えながらゼロンは立ち上がろうとするが、腹部から伝わる痛みで足に上手く力を入れることができなかった。
「・・・さあ、マインドブレスレットを渡してくれ」
見た目だけでも、ゼロンが致命傷を負ったことは明白だ。
誠児がゼロンに歩み寄ると、手を差し出し、マインドブレスレットを要求する。
「ばっバカめっ!」
これ幸いと、ゼロンはエクスティブモードを起動し、残った力を振り絞り、誠児の差し出した腕を掴んだ。
誠児の体を桃色の光が包み込みんでいき、それがゼロンの方に流れていく。
「貴様の精神力を根こそぎ奪い取ってやる!!・・・なっなんだ!? この体を締め付けられるような感覚は!!」
誠児の精神力を吸収すればするほど、その感覚は強くなっていき、呼吸すら正常にできなくなり始めていた。
「(吸収できていないのか!?・・・いや違う!! 吸収した奴の精神力が強すぎて、僕が制御しきれていないんだ!!」
誠児のあまりに強い精神力は、本人以外の者にとっては毒と同じ。
しかも、精神力を吸収されているにも関わらず、誠児はゼロンの手を払おうともせず、ただただ様子を見ているだけ。
「(つっ強すぎる!! ばっ化け物だ・・・)」
誠児の精神力に耐えきれなくなったゼロンは、とうとう誠児の腕から手を離してしまった。
それと同時に、ゼロンのマインドブレスレットが小さく爆発し、その衝撃でベルトが切れて地面に落ちてしまった。
「クソッ!!」
ゼロンは悪態をつき、ポケットからゴルフボールサイズの閃光弾を取り出し、地面に向けて力強く叩きつけた。
「うっ!!」
まばゆい光に一瞬全員の目が奪われ、光が止むと、そこにゼロンの姿はなかった。
「逃げたか・・・!」
幸いにもゼロンのマインドブレスレットはそのまま放置されていた。
誠児はマインドブレスレットを手に取ると、役目を終えたかのように、エモーションが自動的に解除された。
きな子「作者の奴、みっともないことするわ」
ハナナ「でも、ずらすよりはまだいいんじゃないですか?」
きな子「自分で更新日決めたんやったら責任もって書き上げんかい!!」
ハナナ「まあ、いつも仕事終わりに書いていますからね。 仕方ない部分もあるんじゃないですか?
きな子「ハナナ様、やけに作者を庇うやん」
ハナナ「そそ、そんなことないです。 私は常に平等な女神ですよ?」
きな子「んっ? ハナナ様、 ポケットから紙落ちたで?」
ハナナ「どぉわぁぁぁ!! 見ないでください!!」
きな子「『今回の件を擁護してくたら、設定バストを1カップ上げます by作者』って、何買収されとんねん!!」
ハナナ「せっせめて取引って言ってください!!」




