炎の中の戦い
今回は戦闘をメインにしようと思って書きましたが「戦ってるのか?これ」と自分でも思うくらい単純な描写ですが、できるだけ気にせずにどうぞ。
あと、書いてて面白いなと思ったので後書きの小話も続けて書いてみました。
デイケアプログラムの1つマインドコミュニケーションの専属スタッフとなった夜光。メンバーは全員美少女。まさにハーレム状態。しかしプログラム中、突然ゴウマから緊急連絡が入った。とある広場で火災が発生した。夜光はマインドコミュニケーションのメンバー達と共に影の存在を確認するために広場へ向かった。
ホームから出撃してから10分弱、広場上空に到着した。
辺り一面は火の海。
広場にはまだ多くの人が騎士団の指示に従って避難している。
広場は西と東に分かれており、西側は8割近く炎に飲み込まれている。
それに引き換え、東側の被害はそれほど大きくない。
その要因となっているのは、東側で流れている大きな川である。
西から広がる炎の波は風の影響で東側に流れてはいるが、その川が炎の足を速い段階で食い止めている。
「とにかく1度降りましょう」
スノーラは慣れていないイーグルでの偵察は厳しいと判断し、足で行うことにした。
広場から離れた場所に着地したアスト達は、[夜光・セリア・セリナ]、[スノーラ・ルド・ライカ]の2チームに別れて偵察を開始する。
炎の勢いに圧倒されつつ、アスト達は燃え盛る広場に足を踏み入れる。
「すっごーい! 全然熱くないよ!」
水溜まりを長靴で踏み荒らす子供のようにセリナは
炎の中でワシャワシャとはしゃぐ。
「おっお姉様・・・」
場違いな行動を取る姉に恥を感じたのか、妹のセリアは目を反らす。
「アホか!」
「んぎぁ!」
ルドがすかさずセリナの頭を叩き、動きを制止させる。
「では、我々は炎の勢いが強い西側に参ります。
夜光さん達は東側をお願いします」
まだ自分達に比べて、アストの経験が浅い夜光達を気遣い、彼らに東側を任せたのだった。
「任せといて!!」
胸を叩くセリナをしり目に、スノーラ達は西側へと駆け出した。
偵察を開始して20分が経過した時、夜光がふとセリアに尋ねた。
「なぁ、姫さん少し聞いていいか?」
「なっなんでしょうか?」
「何?」
セリアとセリナは共にディアラット国の姫君。
そのため、2人は互いに自分のことだと思い、つい返事をしてしまった。
「いや、俺は妹の方に聞いてんだけど」
「そうなの? 姫さんなんて呼ぶから間違えちゃったよ」
「そりゃ、悪かったな」
「ううん。 誤らなくてもいいよ!・・・そうだ!」
セリナが何か思いついたように両手を合わせた。
「じゃあこれからは名前で呼ぼうよ!私の事はセリナって呼んで? お兄さんの事は夜光って呼ぶから」
「そっそうか」
「セリアちゃんはどう?」
セリアは照れくさそうにもじもじするが、頷いて了承はする。
「わっ私もせっセリアでいいです。 あっあと、もしよろしければやっ夜光さんと呼ばせていっいただいてもよろしいでしょうか?」
「別に構わねぇけど」
「あっありがとうございます」
「・・・それで、セリアちゃんに何を聞こうとしたの?」
「大したことじゃないんだが、さっきの3人はアストってのに慣れてんのか?」
実は先ほど2チームに別れた後、スノーラ達が向かったのは子供の遊具がたくさんある子供広場。
木製の遊具ばかりなので、火の手が最も強く危険な場所。
逆に夜光達が偵察しているのは、釣り場で人気のある川。
水辺ということもあり、火の手は最も弱い場所である。
スノーラ達は「子供広場には我々が行きますので、夜光さん達は川辺の偵察をお願いします」とだけ言い残し、せっせと子供広場へと走って行ったのだ。
「そうだよ。 スノーラちゃんたちはね。私とセリアちゃんよりかなり前からこのチームに入っているの。だから、アストに関しては私達より詳しいの。 私はたぶん2週間くらい前に入ったばかりだから、てんで素人なんだけどね」
「わっ私は1週間前に入りました」
つまり、ここにいる3人はアストになって日が浅い新人ということで、スノーラ達は自分達に気を使ってくれたのだとようやく理解できた夜光であった。
炎の中に入ってから40分、水辺にも関わらず、なぜか火の勢いがさらに強くなっているように感じる。
そこへ、通信が入り、マスク内のモニターにゴウマが写った。
『みんな、偵察の方はどうだ?』
その質問と共にモニターに現れたのはスノーラであった。
『子供広場はくまなく調べましたが、影はいませんでした。 夜光さん達の方はどうですか?』
「影どころか焼死体にも出会ってねぇよ。 それより騎士団ってのはどんな消火してるんだよ!?
火の勢いが強くなって暑苦しいったらねぇ!」
報告と共に騎士団に対するクレームを入れる夜光。
その時「きゃっ!」と悲鳴を上げたセリア。
慌ててセリアの元に駆け寄る夜光とセリナが見たのは、足を滑らせて川に落ちてしまったセリアであった。
川に飛び込んだセリナが「大丈夫?」と声を掛けると、セリアは「はっはい。 ご心配をお掛けしました」と、謝罪の言葉を述べつつゆっくりと立ち上がる。
幸い川は浅く、身長が低いセリアとセリアでも立つことができた。
「全然気にしないで。 私はセリアちゃんのお姉ちゃんなんだから。妹を心配するのは当たり前だよ」
えっへんと言わんばかりに胸を張るセリナ。
ほのぼのする姉妹の会話に、夜光が呆れたその時、数メートル離れた川上から大きな水音がした。
「なっなに!?」
パニック起こすセリナと怖くなって固まるセリアを見て、自分で確かめるしかないと思った夜光は、
「お前らはここにいろ。 俺が見てくる」と2人その場に残し、川に飛び込んで水音がした方に向けて歩き出す。
歩き出してすぐ、大きな何かが流れてきた。
「なっ!! こっこれは!!」
それを見てさすがの夜光も驚いた。
流れてきたのは首のない女性の死体だった。
首からドクドク流れる血が川を赤く染める光景に思わず目をそらす夜光。
だがその瞬間、夜光の脳裏にある光景が蘇る。
「お前ら! すぐここから離れるぞ!!」
嫌な予感がした夜光は、セリアとセリナに向かって逃げるように告げる。
「おい、国王!」
川辺から離れた後、夜光はすぐさまゴウマに通信を入れる。
『どうした? 何かあったのか?』
「死体を見つけた! 影ってのがいるかもしれねぇ」
夜光の連絡を聞き、ゴウマは周囲に待機しているスタッフ達に指示を出す。
スタッフ達はメインルームの機械を操作し、広場周辺を調べるが、影の反応ひない。
『こちらのレーダーには影の反応はないようだが・・・』
「俺はいると思う」
夜光の言葉を信じる確証はないが、普段やる気のない彼が真剣な目で訴えてくるその姿勢を見て、ゴウマは信じることにした
『わかった。 スノーラ達にはワシから連絡しておく。君達はすぐにイーグルでそこから逃げるんだ』
そう言うと、ゴウマは通信を切った。
「とっとにかく、逃げよう!」
冷静さには欠けるがようやく我に返ったセリナ。
夜光とセリアの手を掴むと、全速力で走り出した、
だが彼らは知らない。走り去る3人を見つめる赤い瞳を......。
どうにかイーグルのところまで戻った夜光達。
まだスノーラ達が来ていないようだが、夜光は構わずイーグルで逃げようとする。
しかしセリナのが「みんなが来るまでダメ!」と夜光をその場にとどまらせた。
その時、周囲の炎から赤い人型が何十体も現れた
「なっなんだ?」
パニックになる夜光たの元に、再びゴウマの連絡が入った。
『今、夜光君たちのそばに影の反応が出た。 だが、反応が弱い所を見ると影兵のようだ』
「影兵?なんだよそれ」
『影たちが作り出す、分身体だ。 形は本人そっくりだが、その能力や力は本体より大幅にダウンしている』
影兵達は剣を構え、ゆっくりと夜光達に近づく。
そこへ、突如銃声がしたと思ったら、影兵の一体が頭を撃たれていて、そのまま消えた。
夜光達が銃声の方向に視線を向けるとそこに現れたのはスノーラ達だった。
素早くスノーラはかばうように夜光達の前に立ち、「ご無事ですか!?」と3人の無事を確認する。
「スノーラ!!」
数体の影兵を蹴散らしながら夜光達の元に駆け寄るルドとライカ。
夜光達6人が再び集まった時には、すでに数体の影兵達に囲まれていた。
そこからさらに、炎の中から影兵がどんどん出てくる。
「もう、片付けるしかないんじゃない?」
そう言いながらライカは武器であるピルウィルを広げる。
「・・・ゴウマ様、戦闘許可をください。 今、我々が逃げても、消火活動を続けている騎士団が危険です」
『しっしかし・・・』
渋るゴウマにセリナも「お父さん、みんながいるから大丈夫だよ!」と爆炎杖を構えた。
それに続き、セリアも腰にある護絶を抜く。
2人の言葉とセリアの闘志にゴウマも折れ、ゆっくりと口を開く。
「・・・わかった。ただし、こちらで危険だと判断したら、強制的にホームに懐柔する!」
ゴウマの忠告を聞き、夜光もやむを得ず素手で構えた。まだ、武器がない上シェアガンには慣れていないからだ。
そしてアスト達は一斉に散らばり、攻撃を開始した。
まず、スノーラは冷静に1体ずつ影兵の頭を正確に打ち抜いていった。スノーラの銃はリボルバー式なので、何発か打てば弾の装填を行う必要があるがスノーラは弾が切れると、腰にある弾をわずか3秒で装填し再び影兵を打ち抜いていった。どうやらかなり銃に慣れているようだ。
「おらぁぁ!!」
ルドは力強く豪快に斧を振り回し、影兵を粉々にしていった。
スピードがやや遅いが、攻撃範囲が広いので一撃で2、3体は倒している。
「遅い!」
ライカを素早く移動し、鉄扇で影兵を次々に切り裂いていった。
まとめて遅いかかってきた場合は鉄扇を開き、影兵に向けて扇ぐと強い風が吹いたと思ったら、影兵達の体があちこち切り裂かれていた。
「燃えちゃえぇぇぇ!!」
セリナの場合は錫杖を魔法の杖のように振り回すと、小さな炎の玉がいくつも出現し、周囲に散る。
影兵に当たると一瞬で灰になるものの。、ほかのアストにも当たりそうになるので、命中率は悪いようだ。
「やぁ!」
セリアは手にしている剣で影達を斬り倒しているのだが、その剣筋がとても鮮やかで、まるで、ダンスを踊っているかのように優雅でもあった。いつもおどおどしているイメージだが、セリアは、昔から剣の修行を行っており、腕は一流剣士と同格とも言われている。
「おらぁぁぁ!」
夜光は素手で影兵を倒していた。もともと喧嘩がかなり強いため、
実力が全く違う影兵の攻撃など一発も喰らうこともなく倒していった。
「ラスト!!」
最後の影兵を夜光が蹴り倒すと
「これであらかた片付いたようですね」
そう言いながらも辺りを警戒するスノーラ。
「まぁ、軽い運動にはなったかな」
ルドはもの足りなさそうに呟いていた。
「セリアちゃん。大丈夫? 怪我とかしてない?」
セリアに駆け寄り、身を案じるセリナ。
「はっはい。私は大丈夫です。 お姉様こそ、おっお怪我はありませんか?」
「全然大丈夫だよ!」
元気である証拠にわざわざVサインをするセリナ。
「ねぇ、それよりいつまでこんな暑い所にいる気?」
鉄扇で自分を扇ぎながらライカがみなに尋ねた。
確かに、いくらアストを装着しているとはいえ、長い時間火事のそばにいては少しくらいの熱さは伝わる。
「一旦、戻ろうぜ? 俺らには火事なんかどうすることもできねぇし、赤いのだってどこかに行っちまったしな」
夜光の提案にスノーラは頷き、
「そうですね。 確認もしましたので、一度ホームに戻りましょうか」
夜光達はイーグルに乗り、ホームに帰還した。
帰還後、騎士団による3時間の消火活動によって広場の火事は鎮火した。
笑騎「なあ、夜光。次の話からハーレムの序章が始まるらしいやないか」
夜光「そうみたいだな。最初はライカだったか?」
笑騎「かぁぁ! 羨ましい!俺も美少女に囲まれてハーレムを味わいたいわ!」
夜光「ハーレムハーレムって、あんなの出てくる女がちょろいだけだろ?」
笑騎「なんちゅうこと言うねん! 全ハーレム信者に謝れ!!」
夜光「ちょっと親切にしたり優しく声をかけるだけで惚れるんだぜ?そんなの男にとってはただのカモだろ?」
笑騎「お前にハーレムになる資格はない!!俺に代われ!!」
夜光「あのなぁ、俺がハーレムになろうとしてんじゃなくて、作者が勝手に俺をハーレムにしてんだよ」
笑騎「・・・作者ぁぁぁ! 俺をハーレムにしてくれぇぇぇ!!」