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マインドコミュニケーション

今回は、少し長くなりました。

それと、いつも後書きがつまらないなと思ったので、面白半分で主要キャラで小話を作ってみました。

よろしければ読んで下さい。

 障害者支援施設、ホームにて心界の文字や世界観など、最低限の知識を身につけるために誠児と夜光は訓練生と共に文字の読み書き等の基礎訓練を受けることにした。

ある日、ゴウマに呼びだされた2人は、デイケアプログラムの1つ【マインドコミュニケーション】を夜光に担当させることを聞かされる。

スタッフの仕事などしたことがない夜光に1人でプログラムを任せるのは無理があると誠児は反対するが、なんと夜光自身が仕事を引き受けてしまった。



仕事を引き受けた夜光は、ゴウマからプログラムに必要な書類(文字は日本語に訳されている)を受け取り、書類に目を通すために施設長室から出て、誠児と共に就労支援の訓練生用の休憩スペースに来ていた。



「・・・よかったのか?引き受けちまって」


誠児が心配そうにそう尋ねると、夜光は書類に目を通したままこう返す。


「わざわざ仕事を用意してくれたんだから素直に甘えようぜ? 1から仕事を探すのも面倒だし、お互いに同じ職場にいた方が都合いいだろ?」


「でも、デイケアのスタッフなんてできるのか?

ゴウマ国王が、お前にアドバイスすることを許可してくれたのは、せめてもの救いだけど。 それでも不安はあるんだよな」


一通り書類に目を通した夜光は無造作に書類をテーブルに置き、タバコで一服する。


「この書類見る感じ、デイケアスタッフってメンバーとゲームをしたり、いろいろ話すだけの楽そうな仕事じゃねぇか?」


それを聞き、誠児は深いため息をついた。


「あのなぁ、デイケアってのは、生活管理能力の向上と人との交流に興味を持たせることが目的なんだ。それはそう簡単なことでじゃねぇんだぞ?ゲームとかコミュニケーションってのはあくまでも目的のための手段だ。お前わかってんのか?」


「・・・」


「お前、概要しか頭に入ってないだろ?」


「・・・」


 書類に目を通したのは事実だが、目から入った情報は夜光の脳にほとんど伝わっていなかった。

再度読み直してはみるものの、全く理解できず、最終的に誠児が書類に目を通し、内容をかみ砕いて夜光に伝えると言う方法で解決した。



「よぉ~。 お待たせ」


休憩スペースに入ってきたのは、待ち合わせていた笑騎。

ホームのそばにあるスタッフ専用のアパートの空きが見つかったので、そこへ案内してもらうことになっている。

笑騎はいやらしくニヤニヤしながら、夜光の肩を肘で軽くつつく。


「聞いたで?夜光。 専属スタッフになったんやて?

しかも、マインドコミュニケーションやろ? かぁぁぁ!羨ましいわ!!」


笑騎の言葉の意味がわからず、「羨ましいって何がだ?」と誠児が首を傾げる。


「こう言うことだからじゃねぇか?」


 そう言って夜光は書類の束の数枚かを誠児に渡した。

見てみると、それはマインドコミュニケーションのメンバーの情報が写真付きで載っていた。

それを見た途端、誠児は笑騎の言葉の意味がすぐわかった。

メンバーは全部で5人。

しかも全員、10代の少女だった。

書類の写真を見る限り、全員かなりの美少女だ。

笑騎のニヤついている理由に呆れて肩を落とす誠児だったが、書類の中に気になるものを見つけた。

「・・・おい。 夜光。 メンバーの中の2人って前に会ったお姫様じゃないか?」


「・・・みたいだな」


マインドコミュニケーションのメンバーの中には、この国の姫であるセリアとセリナも入っていた。


「よくよく縁があるみたいだな」


そこへ、笑騎が口を挟んできた。


「なにが縁やねん! この5人はな? 俺がホームで2年かけてチェックした女の子の中でもめっちゃレベルが上なんやで?」


「お前、普段なにやってるんだ?」


誠児の質問を無視して、笑騎はおもむろにポケットからメモ帳を取り出す。


「俺の調査によるとやな? その5人の平均バストは90センチ超えの巨乳! しかも、みんな男経験なしで、今も彼氏おらんという男にとって理想の子たちや!あとな・・・」


聞いてもいない情報を長々と話す笑騎に呆れつつ、誠児が「お前、どこからそんな情報を仕入れたんだ?」と尋ねると、笑騎は不気味な笑みを浮かべ、「まぁ、俺の機密情報とでも言っとくわ」と何か深い闇を感じる返答を口にする。

誠児はこれ以上追及するのが恐ろしくなり、「そうか、わかった」と会話を撤退した。



「それにしても、羨ましいわ。5人の美少女に囲まれるなんて、

完全にハーレムやん!」



 1人テンションが上がっていく笑騎を無視し、誠児はこっそり夜光に耳打ちをする。


「夜光。 いくらメンバーが、かわいいからってみんなデイケアメンバーだ・・・手を出すなよ?」


「少しは信用しろよ」


 夜光は強面な顔に似合わず、女性経験が豊富。

今まで、何人もの女性と関係を持ったことがあり、年齢層も10代~40代と幅広い。

ただし関係があったと言っても恋愛関係ではなく、性的な欲求を発散し合う体だけの関係でしかなかった。

昔は女性と関係を持つために、援助交際や強姦と言った犯罪にまで手を染めていた。

もちろん今の夜光はもうそんなことはしていないが、女性に対するだらしなさは変わっていないので、誠児は心配しているのだ。



 話を終えた3人は笑騎の案内でスタッフ専用のアパートへと移動した。

アパートの外装は少しボロボロだが、まだまだしっかりしている。

部屋の中も少し汚れているが、キッチンやトイレ、風呂場もある。

広さも2畳といたって普通のアパートだった。

「誠児のアパートと大差ねぇじゃん」

と不満そうな夜光に誠児は

「贅沢を言うなよ。俺達のために住む所を提供してくれたんだ。国王に感謝しないと」

「・・・わかってるよ」

こうして、住む所を確保できた夜光と誠児だった。

その後は、マインドコミュニケーションをどのように進めていくかを笑騎の情報を元に、誠児と夜光は話し合いを始めた。

しかし、笑騎の情報はほとんど女の子の情報ばかりで、

当の本人の夜光は居眠りばかりで、誠児だけが真剣に考えていた。



翌日……。


 この日はマインドコミュニケーションの初日である。

結局、昨日の話し合い(と言うより誠児の考え)で基本的なことを誠児がメモに書いて、そのメモを見ながら、夜光が頑張ることしか思いつかなかった、


 マインドコミュニケーションの場所は、笑騎に案内してもらった。

誠児も部屋の前まで付き添った。

その部屋は昨日、地下施設の入り口があった場所であった。

「ここがマインドコミュニケーション。通称マイコミの部屋や」

「・・・略し方あったのかよ」

部屋の前に着くと、誠児は最終確認を行った。

「それより、夜光。 メモのことは頭に入れたか?」

「・・・少し」

「少し入れば上出来だ。いいか? 夜光。デイケアで一番忘れちゃいけないのが、メンバーとの交流だ。とにかく、メンバーと仲良くすることが大切だ」

「・・・要は、小娘共の相手をしてやればいいんだろ?」

「悪い言い方だが・・・まぁ、そういうことだ」

後は夜光に任せることにした。

「ほんなら誠児。俺らはほかに仕事があるからな。 行くで?」

「あぁ。 頑張れよ? 夜光」

そう言い残し、誠児は笑騎と共に別の仕事場に向かった。


1人残された夜光は、覚悟を決めてドアを開ける。

 


 ドアを開けると、そこにはは昨日まで何もなかった部屋が一変、大きなテーブルや複数の椅子、本棚と言った家具が置かれ、テーブルを囲むように椅子に座っていた5人の少女達が部屋に入ってきた夜光に視線を送る。

最初に夜光に話しかけたのは、セリナだった。

「えぇ!! おじ・・・じゃなくてえ~と・・・お兄さん!!

どうしてここに!?」

「(今、おじさんって言いかけたな・・・)俺がこのプログラムの専属スタッフだからな」

「へぇ~、そうなんだ。 じゃあこれからよろしくね」

握手を求めるセリナにしぶしぶ握手をした夜光だった。



 そして、夜光は誠児のメモ通りに、まず自己紹介をするためにできるだけ部屋の真ん中に移動し、メンバー全員が見える位置についた。

そして、最大限にほがらかな顔して言った。

「え~と。 本日から、マインドコミュニケーションの専属スタッフに着いた。時橋 夜光です。みなさん、どうぞよろしくお願いします」

軽く頭を下げ、あいさつした夜光。セリフは完全に棒読みだが。

「え~と・・・次に、1人ずつ自己紹介してもらう。右側から時計回りに自己紹介してくれ」



 最初に自己紹介したのは黒髪の長い髪をサイドポニーテールにしているクール系の美少女だった。

「はい。私はスノーラ ウィーターと申します。このプログラムでコミュニケーションのことを学ぶために自分にできることを精一杯の努力しようと思っています。 以上です」

かなりしっかりした自己紹介だった。次はセリナだった。

「じゃあ、次は私だね! 私はセリナ ウィルテットです! ラジオパーソナリティーを目指して毎日頑張ってます! 肩書きはお姫様だけど、そんなの気にしないで気軽に話しかけてね!」

元気いっぱいの自己紹介だった。

次は茶髪のショートヘアをした活発そうな美少女。

「オレの名前はルド ロイズ。 まだデイケアってのはよくわかんねぇけど、みんなよろしくな!」

これが所謂ボーイッシュというものなのかと首を傾げる夜光。

そして次はセリアの番だ。

「あ・・・あの。 せっセリア ウィルテットと申します・・・みなさん、どっどうぞよろしくお願いします」

セリアなりの精一杯の自己紹介だった。

最後は、緑の長い艶やかな髪をした、目つきがきつい美少女だ。

「あたしは、ライカ バンデス。別に馴れ合うつもりはないから、名前だけでいいでしょ?」

単調のそれだけ言うとライカはそっぽを向いてしまった。

夜光は「(・・・生意気なガキだ)」と内心思いつつ、余計な問題を起こすまいと、強引に笑顔を作った。。


 メンバーの紹介を終え、夜光は次のステップへと進んだ。

「じゃあ次は、交流を深めるために”これ”をゲームする」

夜光が見せたのは、黒いボールだった。これはここに来る前にあらかじめ誠児が笑騎に用意してもらっていたスポーツ系のデイケアで使用するボールだ。

「ルールは簡単。このボールを相手にパスする時に相手の名前を呼ぶだけだ」

夜光の提案(正確には誠児の提案)したゲームに疑問を持つルドが

「なんでそんな簡単なゲームなんかするんだ?」

その疑問には意外にもスノーラが答えた。

「おそらく、我々がお互いの名前を覚えるためのゲームだろう。ただ、名前を聞くより、実際に名前を呼んで、さらにボールをパスすることで名前の印象を強くしようという考えなのだろう」

「まあ、そういうことだ(・・・そうだったのか?)」

「なるほど」

ゲームの意味は置いておいて、早速ゲームを始めた。


 なお、名前を呼ぶ時は、名字ではなく名前を呼ぶというルールを設けた。

最初はみんな、あまり名前を覚えておらず、ボールをパスする時に名前を呼ぶのを忘れたり、名前を間違えたりもしたが、ゲームを始めてしばらく経つとみんな次第に名前を覚えていったため、そんなミスはほとんど起きなくなった。


 ゲーム開始から1時間後、慣れないゲームに疲れた夜光達は10分間の休憩を取ることにした。

それぞれ冷蔵庫にある飲み物を飲んだり、本を読んだりと適当にくつろいでいる時、突然マインドブレスレットが鳴り響いた。

夜光たちがマインドブレスレットのカバーをスライドさせると、画面に映ったのはゴウマだった。



『みんな、すまんが至急、メインルームまで来てくれないか?緊急の話があるんだ』

「急になんだよ?」

『すまないが時間がない。説明は会って話す』

それだけ言うとゴウマはすぐに通信を切った。

「なんなんだよ。いきなり」

「わかりませんが、とにかくゴウマ国王の言う通り、地下施設へ参りましょう」

スノーラは部屋に飾っている桜の絵を傾け、地下施設へのドアを開けると、足早に地下施設へと向かった。

「あっ! 待ってよ! スノーラちゃん!」

「先に行くなって!」

慌ててスノーラを追いかけるルドとセリナ。

それに続いてライカもつまらなそうに入っていった。

残されたセリアは「あっあの・・・」と何かを良いだけにもじもじしていた。

おそらく「いきましょう」と言いたいとのだろうと察した夜光は頭を掻きながら、「・・・仕方ねぇ」とセリアと共に地下施設へと向かった。



 地下施設に入った夜光が向かったのはSF映画のような巨大モニターやいろんな機械のある部屋だった。

ここはアストのサポートと影の動向を調査するために作られた”メインルーム”。

有事の時は、アストの集合場所にもなっている。

一昨日ゴウアに案内された際に、「ここだけは覚えていてくれ」と念を押されたので夜光の記憶に残っていたのだ。



 全員がそろったことを確認したゴウマはさっそく本題に入った。

「時間がないので手短に説明する。 ホームから数キロ離れた広場で火災が発生した。幸い死亡者の報告はないが、火の勢いが強いので、騎士団は総力を上げて消火作業に入っている」

「俺らに消火の手伝いをしろってのか?」

説明の途中で夜光が割り込んだ。

「いや、消火と避難誘導は騎士団にまかせる。君たちに頼みたいのは広場の偵察だ」

「偵察?」

「そうだ。その広場には、火災が起きるような物は置いていない。それなのに、大きな火災が起きている。人為的に火を着けたのは明白だが短時間でこれだけの火災を起こせるのは・・・」

ゴウマがふと夜光と視線があった。

その瞬間、夜光の脳裏にある光景が浮かんだ。

「・・・まさか、俺が遭遇した奴か?」、

「まだ断定はできんが、もし、君が遭遇した影の仕業なら、消火作業している騎士団が危険だ」

「・・・では、影の仕業と確定した場合は戦闘に移行するということでしょうか?」

スノーラの質問に対し、ゴウマは強く否定した。

「違う。 君たちに頼みたいことはあくまで偵察だ。

現在の広場はまだかなりの業火に包まれている。いくら騎士団でもその中で影を確認するのは不可能だ。だがアストなら、火の中にいようとも問題はない」

「・・・それはよく知ってる」

実際に夜光は鎧を装着したおかげで火事や影から助かっている。

そして、ゴウマは夜光達に視線を配りながら強い口調でこう告げる。

「絶対に無理はするな。もし危険と判断した場合は速やかに撤退することしてくれ!」

「それはいいけど、数キロ離れた広場までどうやっていくんだ?」

夜光の言う通り、走ったのではかなり時間がかかる。

馬車や車でも火事の起こった広場に行くのは危険だ。

「そのことなら大丈夫だ。 みんな着いてきてくれ」

そしてゴウマの案内で作成会議室から出て、少し歩くと・・・


「・・・なんだよこれ?」


 着いたのは大きな格納庫だった。そして、夜光たちが見て驚いたのは

「これがアスト専用移動メカ《イーグル》だ」

そこには、見たこともないタイヤのないバイクのような乗り物があった。

ハンドルは普通のバイクと同じだ

ほかにもモニターがついていたり、明らかに銃器らしきものもついている。

「・・・ここ本当に異世界か?」

環境がどんどんファンタジーから離れていくのを感じ、夜光は自分が異世界に来ているのか疑問に思い始めた。

それは、さておきゴウマが説明を続ける。

「この《イーグル》は精神力で動く最新型の乗り物だ。

飛んで移動するものだが、乗り心地は馬と変わらん」

「(・・・自転車とかバイクと言わないのは異世界らしいな)」

「操縦方法はアストのヘッドモニターで説明する!

みんな、《エモーション》してくれ!」

一瞬、夜光には意味がわからなかったが、周りを見た瞬間、理解した。

セリアたちは自分たちのマイブレのエモーションパネルを押し、マイブレから『リンク!!』の音声と待機音が響き渡り、そして、マイブレのカバーをスライドさせ閉じると『エモーション!!』の音声と共にセリアたちの体が一瞬光に包まれ、光がやむとセリアたちは全身鎧プレートアーマー姿となっていた。

「やった~! 装着できた!」

1人ぴょんぴょん飛びはねて、はしゃぐセリナのアストは九尾の狐型のアスト【炎尾えんび】。

武器は爆炎杖ばくえんじょう

「・・・装着感は問題ないようだな」

アストの調子を冷静に分析するスノーラのアストは雪女型のアスト【蒼雪あおゆき】だ。腰にはリボルバー式の銃【グレイシャ】が装備されている。

「おしっ! 前に装着した時より軽くて動きやすいな!」

とパンチやキックで空を切るルドのアストはくだんという牛の妖怪がモデルの【剛角ごうかく】。砕撃轟さいげきごうという斧が武器。

「さっさと片付けて、帰らせてもらうわ」

と手首を動かしたり、肩を回したりして準備運動をしているライカのアストは天狗型のアスト【旋舞せんぶ】。【ピルウィル】という鉄扇が武器。

「・・・」

無言でキョロキョロしているセリアのアストは猫型のアスト【妖雅ようが】。しっぽが2本あるので猫又がモデルのようだ。武器は護絶ごぜつという西洋剣。

どうやら、全員のアストは日本の妖怪がモデルのようだ。


「夜光君。君も頼む」

ゴウマに言われ、自分もできることを思いだし、

「・・・あぁ、そうだったな」

夜光がマインドブレスレットのカバーを開き、エモーションパネルを押すと、マイブレから『リンク!!』の音声と待機音が鳴る。

そして、カバーを閉じると『エモーション!!』の音声と共に夜光の体が光に包まれ、闇鬼となった。

「・・・んっ?」

夜光はラジオ局での鎧の違いに気づいた。前回は鎧が重くて歩くのもやっとだったが、今はほとんど体と一体化しているようだ。

「なるほど、少しは動きやすいな」


 6人はイーグルに乗り、アストの頭に内蔵されているモニターで操縦方法を確認する。やはり、操縦はだいたいバイクと同じだ。

右ハンドルを回せば進み、離せば止まる。ハンドルを下に下げたら上昇、上に上げたら下降する。ハンドルにはミサイルボタンもある。モニターはレーダーになっている。これを使えば目的地までいけるようだ。


そして出撃用のハッチが開くと、ゴウマが最後にもう一度目的を告げる。

「もう一度言うが、今回の目的は偵察のみで、影を倒すことではない。

万が一危険と判断したら、すぐに逃げるんだ。特に夜行君、今の闇鬼には標準装備の【シェアガン】しか装備されていない。くれぐれも気をつけてくれ」

シェアガンとは、ラジオ局で夜光が使用した銃のこと。

「言われなくても逃げる」

「・・・では、気をつけるんだぞ?」

6人はそのままハッチから外に出て、大空を飛び去って行った。


「頼んだぞ・・・」


 不安はあるが、アスト達を見送るゴウマの瞳には、彼らに対する強い信頼の光が灯っていた。

夜光「・・・ふと、思ったんだが、マインドブレスレットってタイトル、変えた方がいいんじゃねぇか?」

誠児「なんだよ急に?」

夜光「あれってラジオ局の話の中盤くらいまで作者ですら存在を忘れていたんだぜ?そんな存在感が薄い物をタイトルにできるか?」

誠児「じゃあお前、どんなタイトルがいいんだ?」

夜光「・・・シンプルに異世界とか」

誠児「シンプルすぎて何の話か想像つかねぇよ」

夜光「突然、異世界に来て神様に選ばれてしまい、しかもデイケアスタッフとして働いているのにハーレムまで作って、その上世界まで救うなんて無茶ですよ!・・・でも、やるしかないんですね。とか」

誠児「長いわ!!」

夜光「これくらい、最近のラノベなら普通だぜ?」

誠児「じゃあ、どう略すんだ? その長いタイトル」

夜光「・・・異世界」

誠児「・・・結局それかい!!」

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