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獅子の猛攻

久々に戦闘シーンを書いて、改めて苦手意識が強くなりました。

かと言って、日常のシーンが得意という訳ではありませんが・・・。

 レオスとの決着をつけるために、再びクキの森へと向かった夜光達。

新たなアスト【流孫】にエモーションできるようになったキルカが加わることで戦力がアップしている。

そしてついに、レオスとの決戦の時が来た。


「おらぁぁぁ!!」


 先に動いたのはレオスであった。

金棒を力の限り振りかざし、勢いよく振り下ろした先にいたのは夜光。

「くっ!」

夜光は避けようとはせず、振り下ろされた金棒を両手で受け止めた。

そのあまりの力によって、夜光の足はひざ下まで地面に沈んでしまった。

「うぉりゃ!!」

だが夜光は倒れることなく、金棒を勢いよく押し返した。


「何!?」

本気の一撃に耐えたどころか金棒を押し返した夜光の力技に驚き、一瞬態勢を崩してしまった。

アスト達はその隙を見逃すことなく、一斉に武器を構えて攻撃を開始した。


「でりゃぁぁ!!」


 雄たけびを上げながら、ルドはレオスの腹部に全力の一撃を喰らわせた。

「ちっ!」

痛みはあるものの、レオスはひるむことなく、ルドの顔に左ストレートを入れた。

「ぐっ!」

ルドは後方にふっ飛ばされたものの、すぐに体制を立て直した。

再び向かってくるルドを迎え撃とうとするレオスだったが、背後に突然衝撃を受けた。

振り返ると、そこにいたのはトーテムを構えたキルカであった。

「はっ!」

キルカは目にも止まらぬ速さで、レオスの喉や脇腹など、急所を的確に突いていった。

「くっ! すばしっこい奴めっ!」

キルカの攻撃自体には大したダメージはないが、その攻撃感覚はかなり短く、攻撃した直後に同じ個所を再び攻撃する戦闘スタイルを取っている。

大したダメージではないとはいえ、急所を何度も攻撃されるのは、さすがのレオスも冷や汗が出てしまう。

「貴様が遅いだけだ。 それより良いのか? 我ばかりに集中して」

キルカの言葉を聞き、レオスはハッとキルカに向けていた注意を周囲に向けたが遅かった。


「「おらぁっ!!」」


 態勢を立て直したルドと夜光がレオスに突撃し、ジャンプしたルドはレオスの頭に斧を振り下ろし、夜光は腹部目掛けて、剣を薙ぎ払った。

「ぐはっ!」

攻撃力が最も高い夜光とルドの同時攻撃に、レオスはついに後ろへと下がってしまった。

「調子に乗ってんじゃねぇ!!」

レオスがシャドーブレスレットを操作すると、『アークアップ!!』という音声と共に、レオスの金棒と右腕にオーラのような光が纏った。

夜光達は以前、スパイアが同じような機能を使っていたのを思い出し、何をしたのかは把握できた。


「させません!!」


 いつの間にかレオスのそばまで移動していたセリアが、金棒に向けて斬撃を当てた。

金棒にはダメージはないが、特殊攻撃ができるセリアは、アークアップで纏ったオーラを断ち切ってしまったのだ。

「クソッ!?」

レオスは一旦夜光達から離れると、地面を思い切り踏みつけた、

すると、レオスの周囲の地面から数十体の影兵が姿を現した。

「行けっ! 野郎共!」

レオスの合図と共に、夜光達に向かっていく影兵達。


 影兵達の前に立ちふさがったのは、スノーラとライカとセリナ。

「セリナ様、お願いします!」

スノーラがそう言うと、セリナは「わかった!」と錫杖から火球を放った。

だが、セリナの火球は真っすぐには飛ばず、上空に飛んで行った。

そこへスノーラが「ライカッ!」と合図を出す。

「仕方ないわね」

ダルそうに呟いたライカは、その場で高くジャンプし、セリナが放った火球に向かって鉄扇を仰いだ。

すると、強い風が吹きすさび、火球を影兵達の方向へと流していった。

「そこっ!」

流された火球を、スノーラは銃で撃ち抜いた。

風を纏っていた火球は、弾丸による衝撃で爆発を起こし、周囲の影兵達を消し炭にしたのだ。

3人がこの方法で次々と影兵達を倒していくことで、ほかのアスト達は影兵を気にすることなく、レオスへの攻撃を続けることができた。


「こっこいつら・・・」


 夜光達を迎え撃ちながらレオスは自分が押されていることに、うっすらと笑みを浮かべていた。

キルカが加わったことも理由の1つだが、日ごろの訓練やこれまでの戦闘経験、そして何より、仲間がそばにいる心強さと信頼関係が、彼らを強くしているのだとレオスは思う。

以前は疲労した状態でも圧勝した夜光達が、今は互いをカバーし合いながら自分と互角に戦っている。

普通は慌てるような状況ではあるが、本気で戦いたいレオスにとっては、むしろ喜ばしいことであった。

無論レオスも反撃し、夜光達にダメージを与えているものの、前回のように、一撃で倒れるようなことはなかった。


 「うっ!・・・」


 夜光達の総攻撃を喰らい続け、ダメージを蓄積していったレオスは、とうとうひざをついてしまった。

周囲にいた影兵達も全員すでに消し炭になっている。

状況から考えて、レオスが痛手を負っていることは明白であった。


「レオスがダメージを負っている今がチャンスです! 例の攻撃を実行しましょう!」


 この機を逃すまいと、通信で呼びかけるスノーラ。

夜光達は振り返り、急いでイーグルの元へと走ろうとした・・・その時であった……。


「ハッハッハッ!!」


 豪快な笑い声が辺りに響きわたり、夜光達は再びレオスに視線を向けた。。

「やるじゃねぇかお前ら! さすが、俺が敵として選んだだけのことはある。 ”これでようやく俺も本気になれるぜ”!」

意味深なレオスの言葉に、キルカは振り向き様に「負け惜しみか?」と憐れむような言葉を投げかけた。

「そいつはどうかな?」

そう言うと、レオスはゆっくりと立ち上がり、再びシャドーブレスレットを操作する。

すると、夜光達の耳に聞き慣れた音声が飛び込んできた。


『エクスティブモード!』


 音声と共に、レオスの体から尋常でないほどの精神力が溢れ出す。

「うぉぉぉ!!」

地面が裂け、浮かび上がった石や砂が、雄叫びを上げるレオスを取り囲むその光景は、まるで大地がレオスに力を与えているように見えた。


「貴様! なぜエクスティブモードが使える!?」


 強気な態度でレオスに質問を投げつけるスノーラであるが、無意識に体がブルブルと震えていた。

レオスとの力の差を感じ、体が恐怖に支配されたのだ。

周りにいる夜光達もそれは同じであった。


「さあな。 だいたい今お前らが考えるべきことは、この俺様を倒すことじゃねぇのか?」


 質問をとぼけて返したレオスは、ゆっくりと夜光達の元へと歩き始めた。

先ほどとはケタ違いに膨れ上がった精神力の影響か、レオスと向き合っているだけで押しつぶされそうになる夜光達。

蛇に睨まれた蛙のように、夜光達は硬直して動けなくなってしまった。


「くっ!」


 恐怖を振り切り、レオスに向かっていった夜光。

「でりゃ!!」

先ほどと同様、腹部に攻撃を命中させたのだが、装甲と剣がぶつかり合う金属音が、明らかに先ほどよりも鈍くなっていた。

「テメェ!」

夜光はすかさず、両手の剣を乱暴に振り回し続けて攻撃を続けるが、レオスは微動だにしない。


『!!!』


 だがここで、他のアスト達も恐怖を振り切り、レオスに向かっていく。


「ふっ飛びな!」


 レオスは金棒の先端で、夜光の腹部を勢い良く突いた。

「がはっ!」

まるでもうスピードのバイクに突っ込まれたような衝撃で、夜光は"くの字"に折れ曲がり、ロケットのように後方へ直線上にふき飛んだ。


「夜光さん!!」


 セリアが考えるより先に夜光を全身で受け止めるが、勢いが強すぎたため、夜光と共に後方へ数十メートル先まで飛ばされてしまった。


「夜光! セリアちゃん!」

セリナは大声で呼びかけるが、2人から返答がない。

不安と恐怖で心がいっぱいになり、2人の元に駆け寄ろうとするセリナ。


「仲間を心配するのは感心するが、敵に背を向けるのいただけねぇな」


 レオスは右手に持っていた金棒をセリナ目掛けて槍投げのように投げつけた。

スノーラがセリナに向けて「セリナ様!!」と叫びながら、金棒に数発の弾丸を当てるが、金棒の勢いは止まらない。

だがスノーラの叫び声で金棒が飛んでくることに気づいたセリナは「こんなのシールドで!」とシールドを展開するが……。


「がっ!」


 金棒はセリナのシールドをガラスのように突き破り、そのままセリナの腹部に命中してしまった。

セリナは後方にふっ飛び、空中で一回転して地面に落ちてしまった。


「この野郎! よくも!」

怒り狂ったルドを先頭に、キルカ達がレオスに突撃する。

いつもならスノーラかライカ辺りがルドを止めに入る所だが、丸腰になったレオスに攻撃する絶好のチャンスなので、あえて止めなかった。

それに表には出さないが、スノーラとライカも3人を傷つけたレオスに対し、ルド同様怒りを露わにしているのだ。


 レオスを4人で取り囲み、総攻撃を開始するルド達。

レオスは反撃することなく、全ての攻撃をその身に受ける。

だが4人掛かりとはいえ、エクスティブモードで精神力を限界まで上げているレオスに、通常攻撃はもはや通用しない。

イーグルキャノンという切り札のためとはいえ、やはりエクスティブモードが使えないと言うハンデはかなり痛い。

だが問題はそれだけではない。


「(こいつ、一体いつまでエクスティブモードでいられる訳!?)」


 レオスの攻撃によるダメージの蓄積と攻撃による疲労で焦るライカが内心そう呟いた。

夜光達アストはエクスティブモードで精神力を上げることができるのはわずか10秒。

それ以上使用すれば、エモーションが解除され、意識を失ってしまう。

しかしレオスは、エクスティブモードを発動させてから5分以上経過しているにも関わらず、体にまとっているオーラは全く消えていない。

それはライカだけでなく、ほかの4人も疑問に思っていたことだ。

エクスティブモードが解除されない限り、アストに勝ち目はない。

4人はレオスの限界を待って、攻撃にのみ集中していたが、これが間違いであった。


「いい加減、うっとうしいんだよ!!」


 レオスは攻撃を受けつつ、貯めていた精神力を一気に解き放った!

すると、周囲の地面から無数の石が一斉に飛び出し、まるでマシンガンのように4人に襲い掛かった!


『あぁぁぁ!!』


 石の攻撃を全身に受けてしまった4人。

攻撃が止んだと同時に、4人はその場で倒れてしまった。

「うっ・・・」

4人はかろうじて意識を保っているが、レオスの精神力を纏った石を無数に浴びたため、装甲はかなり痛んでいた。


「さっきまでの勢いはどうした? 俺が本気を出したらこの程度なのか?」


 アストを挑発するようなレオスの言葉に、言い返す気力も勇気もないルド達は、自分の無力さをなさけなく思った。




 ホーム地下施設のメインルームで、戦闘の様子をモニターで見ていたゴウマ達。

7人掛かりでも圧倒的な力の差を見せつけるレオスに、スタッフ達は唖然としていた。

「転送システム起動! すぐにアストを回収するんだ!」

これ以上の戦闘は危険だと判断したゴウアがスタッフにそう指示するが……。

「親父さん! 転送システムが動きません!」

女性スタッフの報告に、ゴウマは「どういうことだ!?」と説明を求める。

「先ほどの攻撃でアストの機能が一部破損してしまい、システムに不具合が出たようです!」

「くっ! こんな時に!」

動揺を隠せないゴウマに、男性スタッフがさらにこんな報告を告げる

「親父! アストの精神力が著しく低下しています! このままじゃアストの全機能が停止してしまいます!」

報告を聞いた瞬間、ゴウマはモニターに再び目を向ける。

そこに映っていたのは、レオスに再び向かっていく夜光達の姿であった。

だがレオスにダメージを与えることはできず、レオスの一撃でダウンするも、どうにか立ち上がり、また向かっていく。

これを永遠と繰り返しているだけだ。


「みんな! 逃げろ! 逃げるんだ!」


 通信マイクに向かって呼びかけるものの、通信システムも麻痺してしまい、声は届かない。

ゴウマは助けられない悔しさと自分への怒りで、「どうすればいいんだ!!」と思わずテーブルを叩いてしまう。



 アスト達の運命は、少しずつ敗北へと近づき、その先にある死へと向かおうとしていた。


ルド「くっ! 覚悟はしていたが、ここまでとはな・・・」

スノーラ「あぁ、実力差があることは認めていたが、現実を受け入れるしかあるまい」

ルド「まさか次がオレ達全員死んで終わり、なんてことはないよな?」

スノーラ「さすがにそれは歯切れが悪いだろ」

ルド「そうだよな。 だったらどうなるんだ?」

スノーラ「それは次の話で明らかになるだろう」

ルド「そうか・・・早く更新してくれねぇかな」


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