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狙撃手の日常  作者: 野兎
拠点
92/166

91 家畜?



「ギルドから話しをつけて、しばらくしたら拠点の方にイェイツ夫妻は行くそうです」

 呼びにくい苗字だな。それになんかテンションが高そうだ。


「俺は家畜を買いに行きたいが」

「それならそれ用の人も雇えば良かったですね」

 それは……まあ、終わったことだ。羊飼いなんぞいなくてもわざわざ危険な魔物がはびこる森の中に逃げていく家畜なんていないだろう。あいつらは草があれば満足する。でもトレントの生き血用の家畜だから……どっちも危険だな。

 さて馬刺しをゲットしに行くか。


「NPCの店では馬が買えます。プレイヤーの店では各種魔物が買えますね。どうしますか?」

 わざわざ乗れるし、繁殖も難しいであろう馬を買うつもりはない。


「プレイヤーの店だな」

 それにしてもカラコさんに心当たりはあるのだろうか。俺は露天でも見たことがないが。ペットショップ的なものがあるのか?


「需要は少ないから店持ちプレイヤーは聞いたことがありませんね」

 じゃあどこで買うんっていうんだ。

 ということで連れてこられたのは金色に光る全身鎧の場所。


 名前が、名前が出てこない。なんだかそのままな名前だったような気がするが。


「お久しぶりです」

「あー、今有名な」

 良かった。あっちも覚えてない。

「神弓の射手と勇者」

 あ、思い出した。ゴールデンマスターだ。こいつには色々と……まあ、色々あったな。悪いがこんな商売人のことなんて一々覚えてられるほど脳容量は多くない。許せ。


「んで? 金持ってるんだろうな」

「ギルドを設立して、拠点を買ったのでモンスターを買いに来たんです」

「話が見えないな。まあ、金持ってるんなら買ってけ」

 俺達の前に商品の一覧のウィンドウが現れる。それにしてもこういうやり方でものを売っているのはこいつしか見たことがないな。他の人は皆現物を置いて商売しているのに。何か課金しているのか?


 内容は以外にバリエーション豊富だ。


「生け捕りにしてきてくれたら、ある程度で買い取るぜ」

 ラビットにウルフ、デカイものではストーンクラブまで。その中に気になるものがあった。


 兵隊蜂ソルジャービー

 明らかにモンスターな名前なので養蜂には使えないだろうが、気になる。お値段ざっと20万G。高い。しかし欲しい。俺には買えない。しかし欲しい。


「カラコさん、この蜂……」

「トレントって虫の体液も吸うんでしょうか」

 ……食虫植物かもしれない。もしかしたら。しかしこの口調だと、説得するのは厳しそうだ。


「カラコさん、金貸してくれない?」

「いくらですか?」

 お? 貸してくれるのか?


「18万G……」

「返してくれるなら良いですよ」

「おお!」

「返してくれるなら」

 やたら強調するが、そこまで俺を信用できないか。確かに俺は素材もあまり売らないし、クエストもあまり受けないから金はあまり持っていないけど。ギルドマスターって月いくらでるんですかね?


「ならこの蜂と兎を5匹ください」

 なお兎の値段は1万G。この差だな。空を飛ぶモンスターと1番最初に出てくる雑魚敵の違いだな。


「ほらよ。町中で放したりしたらこっちも言われるから、ちゃんと自分家帰ってから放せよ。モンスターを買うにあたっての注意を追加1000Gで聞けるがどうする?」

 そこまで危険でもないので大丈夫だろう。蜂の危険度はわからないが。


「じゃあ、お願いします」

 そこで払うのか。ウサギの買い方なんて人参やってたら良いと思うけど。


「ラビットは逃げるので注意。跳躍力も高いため、柵も高く。餌は草と肉。比較的人には馴れやすい。始めに序列をしっかり決めることが大切だな。犬と同じだ。そしてソルジャービー。飛んで逃げるから注意しろ。中途半端に傷つけて逃げられると仲間を呼ぶからな」

 了解りょうか……ウサギって雑食だったっけ。トレント用のウサギ。ウサギ用の肉。何だこのサイクルは。しまいにはトレントを主食とする生物が現れるんじゃないだろうか。



「じゃあ、一旦帰りましょうか」

 どうやって買えるんだろう。そういえば俺は町中から拠点に行く方法を知らないな。

 カラコさんが知っているのに、なぜ俺が知らないのだろうか。まさかどこかで説明されていたのか?

 聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥とは言うけれど。カラコさんに関してはもう恥を知られまくってるから問題ない。俺達友達だもんな!


「どうやって帰るんだ?」

 カラコさんの触覚がやれやれという感じで動いたのを俺は見逃さなかった。今更何を思っているのやら。


「シノブさん」

 こちらを向いて真剣な表情をしているが、もしかして突然の告白でもされるのだろうか。全く今のシチュエーションい合っていないとは思うが。そう考えるのが1番自然だろう。あれだ。母性本能がくすぐられたというやつだ。


「ちょっとは話しを聞きましょうね」

「すみません」

 わかってたさ。


 メニューから行けるらしい。知らなかったー。

 ログインした時、どの場所にログインするかもこれで決められるが、今のところ拠点で良いだろう。せっかく買ったんだしな。

 メールが来ている。ダンジョンの攻略の誘い。ユイちゃんからのお誘い。これは行くしかないだろう。サフドからの誘いの時は断ったが、これは行くしかない。断れないな。仕方ない、不可抗力だ。拠点開発は他の人達でやってくれ。


「ってメールが着てたんだけど」

 カラコさんがジト目で見てくる。お? 嫉妬か? 見苦しいな。スキル欄追加の報酬を貰ったのだから良かったじゃないか。


「拠点のことはどうなるんですか」

「それは……その、皆で頑張って」

「シノブさんが買ったモンスターですよ?」

「それも……」

「今日の夜にはアオちゃんとキイちゃんが見に来るんですよ?」


 う、うう……。断るか。すまないユイちゃん。俺は行けん。しかしギルドの拠点ができたら招待するとでも書いておくか。

 すぐに返信は着た。


 ならボクも今日は止めておくよ。拠点、楽しみにしてるよ?



 ありがとうございます。拠点ができたら、色々案内してあげますから。そして勧誘しよう。ギルドには入っていないだろう。姫プレイとか言っていたから、色々と付属品がついてくるかもしれないけど。



 あ、サフドからメールが着た。

 ユイちゃんからメール着てシノブが行かないから、中止って来たんだが、一体あの子とどういう関係なんだ?


 あ、ピグマリオンからも着た。

 ひゅー、モテ男wwww羨ましいぜ。何かパーティー組めないとか思ってたが、女性とパーティー組んだぜwwww。しかも可愛くて巨乳。ロリ乙wwwww。


 はぁ? ふざけんな。あのデブに一体どんな需要があるんだ? あれキモオタだぞ? 俺も人のこと言えないが、俺レベルでの変態だぞ? そんなやつに巨乳で可愛いパーティーメンバーが……相手もオタクなんだ。そうだ。ただVR内で可愛く顔を作ってちやほやされたいやつに違いない。


 やっぱりヒナタからも着てたな。

 シノブ。もげろ。


 短文でよくわかるな。しかし何がもげろと言いたいんだ。俺達の関係をなんだと 思っているんだ?



「メールしてないで、行きますよ」

 カラコさんを待たせてしまっていたな。まあ、これらのメールは無視しても構わないだろう。ゴブリンタロウのメールも確認せねば。時間があるときに。



 光に包まれると、そこは拠点だった。

 拠点の魔法陣の上。ここからギルドに転移できるのは便利だ。ノルセアまでの道もあれば良いのにな。


 裏に周ると拠点の闘技場からは何やら作業音が聞こえ、畑の側には所在なさげなイ、イ、イェンツ夫妻がいた。もう少し日本人に馴染みのある名前にしても良かったのじゃないだろうか。田中夫妻とか佐藤夫妻とか。いや、それはさすがにファンタジー感なさすぎるか。しかし俺はゴブリンタロウという酷い名前を知っているからな。日本風か西洋風にするか決めたほうが良いと思う。


『雇ってもらいありがとうございます。私はイェンツ・ディーン。こっちは妻のネリーです』

『よろしくお願いします』

 誠実そうだな。お似合いの夫婦という感じだ。


「お二人にはこの畑の管理をお願いします。そして家はあれを使ってもらおうかと」

『ええ、あんなものを?』

「改修は必要ですが。では契約書の記入を……」


 カラコさんに任せておけばいいか。 

 さて、俺は蜂を出してみるか。

ありがとうございました。

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