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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
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8 草の正体

 精密操作の恩恵はよくわからない。

 少しは命中率が上がったかもしれない。



《戦闘行動により【発見Lv3】になりました》

《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが2増えました》


 発見が戦闘でも上がるのが驚きだ。

 ここは器用さがどれほど命中率に関係あるのかという検証のため器用を上げる。


名前:シノブ

種族:半樹人

職業:狙撃手 Lv7

称号:魔王の守護

スキルポイント:2


 体力 :90

 筋力 :25

 耐久力:40

 魔力 :50

 精神力:40

 敏捷 :15

 器用 :45(+5)(+2)


パッシブスキル

【弓術Lv4】

【火魔法Lv3】

【木魔法Lv3】

【火耐性Lv1】

【収穫Lv2】

【発見Lv2】

【精密操作Lv1】



 なんというか……おそろしく微妙な上昇率なのだろう。

「もう1レベル上げますか?」

「矢が切れた」

 俺としては矢を20発放っただけでレベル4に上がってるのが怖い。

 矢が消耗品だからだろうか。それとも魔法弓を使っているから成長率が高いのだろうか。

 俺よりもしかしたら戦闘時間が短いかもしれないカラコの1番高いスキルを聞いてみたら思考加速がレベル5だという。


 だとしたらそういうものなのだろう。

 火耐性も全く使う機会がない。最初に取らなくても良かったと思う。



「では戻って矢を補充しましょう」

「その前にドロップアイテム売って、雑貨屋に行こうな」


 仕留めたのは俺なので俺の方にドロップが入っている。しかし倒した数とあっていないので完璧に戦闘に参加しなければパーティーでもアイテムは貰えないのだろう。

 回復役だけ貰えないということはないのだろうな。


「盾役と回復役が欲しいな」

「私が抑えきれる間は大丈夫ですけれど厳しくなりそうですね。いずれはパーティー募集しないと」

 今のところはラビットという雑魚のみで、1匹と戦っている間は他のウサギは襲ってこない親切設計。レベル1の火魔法で死ぬ弱さ。スピードが早いのは回避を覚えろということだろう。でもある程度ゴリ押しでも行けるレベル。

 ウサギにマウントを取ってボコボコに殴っているプレイヤーも見かけたし。


 俺たちは雑貨屋にきていた。ポーションや様々な雑貨が売っている。

『これはオイシ草、ヤク草、ドク草だな。買い取りもできるが』

 雑貨屋の爺さんが鑑定してくれた。オイシそうとかいう謎の植物以外は俺の予想は当たっていた。俺が2種類の植物だと思っていた植物は3種類だった。俺には薬草と毒草の違いがわからない。半端な知識だと毒と薬が見分けられずに死ぬぞ、ということか。


『オイシ草。バターで炒めると美味いんだな、これが』

 残念ながら俺は料理スキルを持っていないし、プレイヤーが踏んでいるであろうそこら辺に生えているこの草は食べたくない。気分的に嫌だ。


 結局入手した草は全て売り払った。そしてその金で新たに石の矢を買い足す。雑貨屋に矢が売っているのは驚きだが、消耗品全般は全て雑貨屋で取り扱っているそうだ。


「ボス戦前にポーションでも買っておきましょうか」

「いや、初心者用ポーションが余ってるから大丈夫だ」

 俺はアイテム欄を操作し、初心者用のポーションをカラコに渡した。


「ありがとうございます」

 矢筒に矢は満タンだし、ポーションもあるし……そうだMPポーションはないのだろうか。


 MPポーションは高かった。

 1本300G。鉄のナイフより高いってどういうことだろう。




「はい、どうぞ」


《カラコさんから【MPポーション×2】が送られてきました》


「あ、ありがとう」

「初心者用ポーションのお礼です」

 ええ子や……この子ええ子や……。

 ゲーム知識もあって、良識もあるこの子がどうしてあんなスキル構成をしたんだろう。

 厨二病だからかな?




 街の周りの名のない平原のあるところに地面が盛り上がって出来た洞窟がある。

 その洞窟の周辺にはウサギがポップしないようになっていて近づけばすぐにわかる。ある程度進むと下に進む階段があって、そこを下ると扉がある。

 そこには【草原の主】であるデカイウサギがいる。

 本体よりも周りで連携してくるラビットの方が厄介。

 全体攻撃魔法があると便利。ない場合はパーティーを組んで雑魚を無視して的確にボスだけを狙っていこう。


「……ということみたいだけど、できるだろうか?」

「私は魔法スキルを持っていませんから、シノブさん次第ですね」

 頭の中でスキルを思い出してみる。


「ファイアフライっていう見たモンスターを放心状態にする魔法があるから、それで雑魚ウサギを無力化。俺が弓でボスを牽制するから雑魚を片付けてくれ」

「雑魚の量によってクリアできるかどうかが難しくなりそうですね」

 カラコの言うとおり、俺がウッドバインドや肉壁となって足止めしている間に雑魚を全て倒せれば勝てるが、俺が死んでしまったら……俺が死んでもカラコなら勝つ気がする。


「安全を考えるならもう一人欲しいところなんですが……」

「助っ人を頼んでもいいけど、ボス戦はやっぱり固定パーティーで撃破したいよな」

「こんな平日でも長時間ログインが可能なほどのソロ廃人はもう先に進んでいるだろうし、大体ソロでやってる人はあまりにもスキルがネタか、時間がなくて固定パーティーが組めない人ばっかりですからねー。今から助っ人を頼むというのはキツイですね」

 俺たちがスキルがネタとか言えないと思う。


「多くの人が草原を抜けたとはいえ、まだ草原で戦ってるコミュ障で弱スキルの人がいるはずです。1人捕まえてきましょう」

「酷い言い草だな」

 しかし俺もこれに同意するしかない。街から草原エリアにでる門付近に行くとまだまだプレイヤーはたくさんいる。





木製機械デウスエクスマキ。パーティー募集中です」

「盾、もしくは回復を求めてまーす」

「長時間ログイン可能な人いませんかー」

「暇人大募集中ー」

 他にも何組かパーティー募集のグループがあったが、どのグループも思うように人員を得られていないようだった。


 ソロでやる人はもうソロでやると決めているか、次の草原を抜けているのだろう。まだ次の街までの道は開けていないものの、草原の主が倒された早さから考えるとすぐに突破されるだろう。



「ここはダメですね。場所を変えましょう」

「そうだなー」

 どこに場所を変えるのか皆目検討もつかないが、カラコには思い当たる場所があるのだろう。ゲーム知識に関しては俺よりカラコのほうが豊富だ。


 俺は良い出会いを期待しながら、カラコの後ろについて歩くのであった。




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