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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
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61 アンパンかメロンパンで迷うのならばあえて大福を食おう

 カラコさんがなぜ新婚さん用の2LDKに目を奪われているのかがわからない。というよりなぜゲーム内でこんな煽り文句なんだ?

 結婚していちゃいちゃできるならいいんだよ。

 だけどこのゲーム健全な青少年もできるゲームだろちくしょう。成人同士でなら許可した相手だけならいちゃつけるっていうのをつけてほしい。


「カラコさん、どうかした?」

「どうもこうもありませんよ!」

 カラコさんが指さしたのはページのほとんどをカバーしている新婚用の下の報酬だった。


 えーと、町はずれの巨大倉庫。地味だな。売る気がなさそう。

 写真もついている。

 たくさんの箱をが積まれている写真だ。全体像とかないの?


「ギルドを作るのにピッタリじゃないですか」

 いやいや、こんな暗い廃工場っぽい場所に集まるのは不良ぐらいなもんだよ。てかこんなところに集まる不良って本当にいるの? 映画でしか見たことないけど。


「い、いやー。こういうのは他の人にも相談して決めたほうが……」

「見てください。この広さ! 町の中なのにこれだけの広さですよ!? フィールドにわざわざ専用のエリア作ってもらうよりもずっとかかる値段も少ないですし、取り壊しもシノブさんがすればいいですし」

 あ、取り壊す前提で話してたのね。納得。

 でもなー。わざわざギルドの拠点に報酬使っちゃうのはなー。と思っちゃうよね。


「他の見てから決めない? 良いのもあるだろうし。ヴィルゴさんは何にしたんだ?」

 ヴィルゴさんが本をパタンと閉じたので聞いてみた。

 何か格闘戦に使えるようなものだろうか。


「好きな魔物一匹を捕まえて調教ができるアイテムだ。使い捨てだけどな」

 うわー、すっげー。自分の欲望に忠実だ。

 ん? ということはパーティーメンバーが増えるわけか。俺のポジションを脅かさない人だったらいいな。

 それにしてもヴィルゴさんレベルの活躍でも使い捨ての道具って、調教の強さを物語ってるよな。たぶんラビそこらのプレイヤーより強いんじゃないかな? たぶん勇者と同じくらい強いよね。


 カラコさんから冊子を取って、パラパラと確認してみる。

 お、スキル上限を増やすものなんかあるじゃん。これって11個スキルをつけていられるようになるってことだよな。これはかなり有用かと思う。

 その他にも性能が良い武器、道具などがあった。


「ん? 精霊石?」

 精霊を強化できるとな? これはカグノにも使えるのだろうか。ロリなカグノも可愛いが、アイネルみたいなのになるならこれにしてもいいかも知れない。


「欲望に忠実ですね」

「ここはゲームだ! 欲望に忠実で何が悪い!」



 カラコさんのようにギルドのために自分の報酬を潰すほど人間ができてるわけじゃないしな。

 しかし使えるとわかってるわけでもない。使えなかったら悲しいからやめておこう。


 蘇生アイテムとか、こういう使い切りのアイテムではなくて長期的に使えるもの……携帯料理セット……いや、ルーカスさんの店の厨房の鍵持ってんだし、そこ行けば調味料も使い放題だし。

 矢が無限に出てくる矢筒。これってどうなのだろう。矢の性能が悪いのかな?


 一定時間のステータスアップに、騎乗用モンスター。転移の石とかもあるし、アイテム欄拡張ねー。どれも魅力的だけど……てか量多すぎるわ! こんなの1日たっても決められないぞ。


「たくさんありますけど、シノブさんは決めましたか?」

「どれも言いけど……一番気になるのはスキルだな」

 そうスキルが報酬でもらえるのだ。

 スキルオーブって名前だけどな。それには通常では手に入らないようなスキルもある。


 氷魔法とかかっこいい。他には闇や光、雷などが取れるようだ。精霊魔法はなしか。

 精霊魔法欲しかったなー。


 スキルオーブ一覧でとんでもないものを見つけてしまった。

 女性運。


 既にハーレムパーティーを築いている俺にはいらないようなものにも見えるが……NPCで女性と仲良くなったことがない。ルーカスさんのところのドジっ子な店員さんとかいるけど、挨拶するぐらいの関係だし。ギルドの受付嬢は俺のことをただの冒険者としか見てないし。


 これさえあれば、NPCの女の子たちともお近づきになれたりするのかな。


「シノブさん。わかってると思いますけど、明らかにネタなスキルは取得しないでくださいね」

 カラコさんに止める権利なんぞない!

 ないけど……冷静になった。もしもデスゲームになった時一番に脱落するのは嫌だ。いや、なったらなったで困るけど。まあ、俺は強いし、死ぬこともないだろうけど。

 考えてるだけでむなしくなってきた。俺はVR世界の住人なんだ。現実リアルのことなんて気にすんなってんだ。


 俺は恵まれている。

 今までリアルでゲーマー女子以外と話したことがあるだろうか。否。

 こうして普通の……いや、カラコさんもゲーマー女子か。


 まあ、冗談は一旦置いておいて。


 人間が爆発している挿絵と共に紹介されている自爆というスキルが気になる。


「そういや、今気づいたけど俺って今スキルポイントがありあまってるんだよな」

「そんなことまで忘れていたんですか?」


 色々取れるじゃん。

 鑑定とか。どうしよ。今更だが取ってしまうか?

 それともまた貯めておくか。


「私は決めました」

「早いな」

 俺と一緒に見ていたのに。まさか倉庫か?


「スキル枠追加ですね」

 これまた無難なものを選んだな。確かに無難で範囲も広いし。

 ああー、俺もこれにしよっかなー。


「よくよく考えたら自分の報酬をギルドのために使うのは馬鹿らしいですしね」

 そうだよな。

 カラコさんも聖人君子ではないってことか。


 パラパラと適当にページをめくるとあるものが目についた。

 ほうほう、これは面白い。


「カラコさん、俺はこれにするよ」

「……正気ですか」

「正気です」

 酷い言われようだな。


 そう俺が選択したのは。


『スキル枠追加オーブと……ゴブリンでもわかる! 生産! 戦闘! 何でも来い講座でよろしいですか?』

 すげー、ギルドの受付嬢さんが少し引いているぜ。


「一体どうしてこんなものを……」

「カラコさん、考えてみてくれ。これはかなり後の方のページに書いていある。ということは実力がある人しか来れない。しかもこんな内容の報酬を選ぶなんて本気で何もわかっていないやつか。ネタだ。しかしただの講座で終わるのか? こういうものは大抵裏イベントに繋がっているんだ!」

 そう、こんな意味深な講座がただの講座なはずがない。

 この後ゲームを進めるうえで貴重な情報が手に入ったりするはずだ。


「……シノブさんがそういうのならいいですけど。ギルドに入る人の一人か二人確保してきてくださいね」

「了解しました」

 人数が多ければ多いほど一人当たりの負担も減るしな。少数精鋭なんて知ったことじゃない。


 講座は明日の午後7時からか……。明日も休日だし、夜だし、来る人は多いはずだろう。

 今日中に報酬を受け取らなければダメな話だが。



「終わったら内容を教えてくださいねー」

 イッカクさんは素材を大量に貰っていた。あれが剣になったり、槍になったりするのだろう。

 イッカクさんといると突然土下座してくる人や、ゆすりたかりが来て大変だ。

 人が来れないような工房にこもっているのもうなづけるな。


「私はこれからラビと一緒に適当な場所に行ってくるが……新しいモフモフの希望とかはあるか?」

 モフモフなのは確定なんですか。


「このパーティーは過剰戦力なので……補助するモンスターがいいかと思います」

 今までで仲間を支援する魔物なんていたのかな?


「ああ、わかった。さあ、ラビ西へ行くぞ!」


 イベント終わったのに元気だな~。卵はどうなるんだろうか。


「シノブさんはどうします?」

「俺は……」


 どうしよう。ポーション作りのために東の森に行くことが今一番すべきことかな。日が暮れても夜目あるからなんとかななるだろうし。


「東の森で採取でもしようかな」

「あ、なら私も行きます」


 これはフラグか。フラグなのか!?

 カラコさんが森の中で触手に絡み取られるorピンチに陥ってそれを俺が颯爽と救いだし、惚れられるか。


 カラコさんに頼ってばかりだった俺。今は俺が助ける側だ。

 触手来い! 触手! ファンタジーの森って言ったら触手だろ?

ありがとうございました。

パンを選ぶ時は注緒なくあんぱんにします。

一章?も、もうすぐ終わりかな。

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