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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
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3 ウサギじゃないラビットだ

ヒロインが出てくるまで後2話ほどかかります。

 草原には大量のプレイヤーがいた。



 無骨な鎧を身につけて両手剣を振り回している重戦士、爆炎を巻き起こしている魔法使い、背中から翼を生やし空中から敵を斬りつける鳥人など。皆それぞれカッコいい服装でスタイリッシュに戦っているが、獲物は皆ウサギである。


 よくもまあ、こんなにウサギがいるものだと感心しながら眺めていると、目の前にウサギが新しく1匹ポップした。


 目があう俺とウサギ。中々可愛い感じのモンスターだ。斬れない人もいるだろう。

 と思っているとウサギが牙をむいて襲いかかってきた。


 牙だ。ウサギの口の中にはびっしりと鋭い牙が生えており、それが異様だ。

 全体的に可愛いウサギなのに、牙があるだけで気持ち悪く見える。


 俺は体を横にずらし、ウサギの突進を……避けれなかった。

 体に軽い衝撃を感じ、体力が少し減る。


 混乱しているうちにまた突進を受ける。体力量的にこのウサギが脅威になるとは思えなかったが、うまくかわせなかったことが混乱の原因となっていた。


 足にガジガジとかじりつくウサギを殴ろうとしたが、かわされた。

 そしてここで気づいた。


「俺の敏捷が低いからか!」

 リアルの俺が持っている機敏さよりも、ステータスとして設定されてる敏捷が低かったからかわしたと思ってもかわせなかったんだ。目では見えているのに体が動かないというやつだな。


 思考を切り替える。

 俺は狙撃手だ。わざわざかわす必要も、殴る必要もない。


「火魔法ってどうやって使うんだ?」


《【火魔法】ファイアボールを取得しました》


 おお、呪文が取得できてしまった。火魔法というキーワードに反応したみたいだな。


「木魔法」

《【木魔法】ウッドバインドを取得しました》



 予想通りだ。

 名前からみてファイアボールは単体攻撃呪文。ウッドバインドは相手を拘束する呪文というところか。


「ウッドバインド!」

 こちらの様子をうかがっていたウサギが地面から生えた木に絡め取られた。暴れているが動きは抑えられている。


「ファイアボール!」

 動けないウサギにファイアボールが炸裂した。

 ウサギの体力が消え、ポリゴン状になって消えていく。



「よしっ!」

 思わず声を上げてしまったが、周りは皆戦闘をして、気づいていないようだった。




《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが2増えました》



 レベル1だからかウサギ1匹でレベルアップした。

 さっきの戦闘から見て魔法の連続使用はきついようだ。

 精神力を上げよう。



名前:シノブ Lv2(+1)

種族:半樹人

職業:狙撃手

称号:魔王の守護

スキルポイント:2


 体力:90

 筋力:25

 耐久力:40

 魔力 :50

 精神力:30(+5)

 敏捷 :15

 器用 :30



 アイテム欄を確認してみると【ラビットの肉】がドロップしていた。

 食料アイテムのようだ。俺には必要のない物だな。どこかで売ろう。


 3匹を倒したところで精神力がなくなった。

 やはり魔法種族ではないようだ。魔力はそれなりに高いようだが、精神力が低くては連発できない。



《戦闘行動により【火魔法Lv2】になりました》



 新しい呪文は得られていない。木魔法がレベルアップしないのは火魔法に比べて必要なスキルポイントが高かったからだろう。




 矢を使ってみる。もちろん毒も使う。


 アイテム欄で毒壺と矢を合成する……ことは出来なかった。

 スキル【合成】が必要らしい。


 必要なスキルポイントは10。レベルを6まで上げなければ取得することはできない。



 俺はここで戦闘手段を失ったのであった。





 街に戻り、通りを歩くNPCに【ラビットの肉】と【ラビットの革】を売れるところを聞く。


 街のレストランと狩猟ギルド。

 レストランでは食材持ち込みをすると安くなるサービスもあると教えてくれたが、俺に食料は必要ない。




 狩人ギルドは西通りにある。それなりに大きな建物だった。今度から西門を使って草原に出るのがよさそうだ。


 狩人ギルドの中は人で賑わっていた。


 空いている窓口でウサギ肉と革を売る。

『60Gになります』

 ウサギ肉が15で革が30。

 これで俺の所持金は260になった。


 今のところ使う予定もないが。

 ウサギに削られた体力も、ほぼ回復している。


 初心者用ポーションもまだある。



 未だに矢の使い方もわからない。

 ふと思いつき、聞いてみることにした。

「すみません、矢の使い方を教えてくれる人っていませんか?」


 教官的なNPCがいると思ったのだ。


『ああ、いますよ。ギルドの2階。第二訓練室で講習をしています』

 親切だ。お使いクエストとか、森のはずれまで教えを請いに行くとかなくてよかった。


 俺は礼を言うとギルドの階段を登っていった。




ありがとうございました。

明日もまた同じ時間に。

主人公は弱いです

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