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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
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18 自由の街 サルディナ

 大トカゲを倒した俺たちはついに次の街へと踏み入った。


 凄い! 人多い! マップで街の一部しか表示されない!


 歩いても5分程度で街の外に出られた始まりの街とは違う。

 石がひかれた街の両側には様々な店が並んでいる。プレイヤーも多いがそれ以上にNPCの数も多く、まさに生きている街といえるだろう。



「まずは冒険者ギルドを探しましょうか」

 NPCに聞くと場所はすぐにわかった。


「冒険者ギルド楽しみですね。巨大な依頼ボードに美人な受付さん、併設された酒場……」

「荒くれ者が集う場所だからな。入って絡まれないように気をつけろよ」


 冒険者ギルドという響きに舞い上がっているカラコをなだめるが、俺も楽しみで仕方がない。





「別に狩人ギルドと変わらないぞ」


 ヴィルゴさんの一言は丁寧にスルーされた。





『冒険者ギルドへようこそ。初めてのご利用ですか?』

「はい!」


 ヴィルゴさんは狩人ギルドと変わらないと言っていたが規模が違う。狩人ギルドを街の公民館だとしたらここは武道館だ。

 様々な武器を持った人たちがいてまさにファンタジーという感じだ。巨大な依頼ボードも併設された食事処もある。受付の他にも何かの施設があるのかギルドの奥へと行く人達が見える。



『冒険者ギルドは様々なクエストを発行していますが、その中でも大きくわけて2つのクエストがあります。討伐系クエストと納品系クエストです。討伐系クエストはモンスターを狩ることで達成できます。納品系クエストはモンスターの素材や、ポーション、採取品などを納品することで達成できます。納品系はギルドに納品するものと依頼人へ直接届けるものの二種類があります。冒険者ギルドには階級ランクという制度があり、依頼を達成することでこれは上がっていきます。階級が上がると冒険者ギルドの様々な設備が無料で使えるようになります。

 皆様方はFでの登録となります。パーティー登録をしますか? パーティー登録をすると階級ランクが最大の人と最低の人の中間のものになります』


 ふんふん。なるほど。どんな施設があるのか知らないが便利そうなシステムだ。




「はい、もちろんします。していいですよね、シノブさん」

「あ、ああ、そうだな」


 忘れていたが俺がパーティーリーダーだったな。カラコさんに任せたほうがうまくいきそうだが。

 ヴィルゴさんはしっかりしているように見えて暇な時にはいつもラビを撫で続けているモフモフ中毒な人だからな。それに大抵は話を聞いていない。俺は意見はしないが、ちゃんと聞いているぞ。もう実質何かを考えるのはカラコさんしかいなくなっている。頼りにしてますよカラコさん。


『ではこの用紙に記入してください』


 ギルドのお姉さんが紙を差し出すと同時に俺の前にウィンドウが現れる。


 名前はシノブで、パーティー名は木製人形デウスエクスマキと。



『登録ありがとうございます。ギルドカード発行まで少しの間お待ちください』



 しばらく待った後、来たのは銀色の名刺サイズのカードだった。


 シノブ 木製人形


 と書かれている。



『クエストの受け方を説明します。あちらの依頼ボードで受けたいと思った依頼にこのカードをかざしてください。そうすることでこのカードに依頼内容が記録されます。依頼内容が確認できるようになります。また依頼が期限までに達成されなかった場合は階級ランクが落ちるなどのペナルティーがかせられるのでお気をつけ下さい。以上で説明は終わりです。何か質問はありますか?』


 魔法の世界なのにハイテクだな。これも魔法を使っているという設定なのか?



「ありません。ありがとうございました」


 カラコさんと共に軽く頭を下げて、受付から離れる。


「これからどうしましょうか」

「私はお腹が減ったな~」

「じゃあ食事にしましょうか。ギルドの中ででも」

 2人は食事をするそうだ。俺は後で外に出た時に光合成でもしようかな。


「じゃあ、俺はギルドの依頼を見てるよ」

「じゃあ、食事が終わったらメールしますので」


 2人はあっという間に人混みに紛れてわからくなった。



 依頼ボードの前にも人がたくさんいるが背が高いおかげで見やすい。

 貼り付けてある依頼の紙はどれも小さいが、注目してみると内容が頭に流れ込んでくる。便利なものだ。


 ……納品系でオイシ草の納品は……あった。


 他人に取られないうちにギルドカードをかざす。すると依頼の紙が消えた。すごいな。

 お、ここじゃ邪魔になるな。移動しながら確認しよう。




 街道を塞いでた化け物が倒されったんだって?

 そのおかげか、客が多すぎててんてこまいよ。

 東にある深い森にオイシ草が生えている。それを取ってきてほしい。

 出来る限り早く頼むよ。

 〈オイシ草×50〉〈納品期限:1日〉〈料理屋エルベの主人〉〈200G〉



 オイシ草が50なら余裕である。そのまま行こうかと思ったがホウレンソウをしなければ。


 納品系クエストで持っているアイテムが依頼にされてたから、依頼人に届けに行ってきます。料理屋エルベです。用事があったらメールかチャットでよろしく。


 これでいいな。さて行くか。


 200Gのためいざ出発。









 ……迷いました。


 通りすがりのNPCに道を聞くとどうやら反対の方向だったようす。



 やっとのことで店にたどり着くとそこには呆れ顔のカラコさんとラビにお手を教えているヴィルゴさんがいた。ウサギも芸を覚えるんだな。知らなかった。


「昼ごはん終わってから一度ログアウトして、店に来たんですが……何やってたんですか?」


「道に迷ってな」


「ギルドで聞けば地図をもらえるのに……」


 初めてのクエストで舞い上がっていたんだな。仕方ない。次からは気をつけよう。


 結局3人で料理屋エルベに入る。依頼の内容通り、中は多くの客で賑わっていた。


 可愛い女の子が慌ててやってくる。

『すみません。ただいま混んでいまして、少々待っていただくことに……』


「いえ、オイシ草の納品をしにきたんですが」


『あ、ありがとうございます。マスターを呼んできますので』


 女の子は早足で店の奥へと向かっていった。

 そしてやってきたのは店の店主だろう。

 メガネをかけた優男風のまだ若いコックだ。

 依頼文的に頑固親父系の店主かと思っていたのだが。



『いやー、ありがとうございます。1番大事な材料がなくなりそうだったので困っていたんですよ』


 オイシ草の束をコックさんに渡す。

 野菜炒めにしたりするのだろうか。


「これって何の料理に使うんですか?」


 奥に戻ろうとしていたコックは少し足を止めて考えた。

『んー、色々ありますが……今日の夜空いてますか?』


 ……俺はノンケだ。男には興味ない。


「はい! 空いています」


 俺の代わりにカラコさんが答えたって……ダメだろ!


『なら閉店は9時だから。その後ならいつでも。深夜は困るけどね』


 メガネコックはそう言い残すとレストランの奥に急ぎ足で行った。



 店を出てからカラコに問いかける。


「一体どういうつもりなんだ?」

「わかりませんか。恐らくこれは特殊クエストですよ。シノブさんのどういうことに使うのかという問いで発生したんですよ。受けないわけにはいきません」


 なるほど。特殊クエストか。



「βの時もあったぞ。街の住人に街の噂を聞くと盗賊団のボスを倒すクエストが始まるとか色々。私はやったことがないが」


 やったことはないのか。



「なら他の依頼をして、その後またここに来るか」

「直ぐ終わると思って依頼は既にもう一件受けてきました」

 さすがカラコさん。


「ファンタジーの定番。ゴブリンの討伐です」


 ……もう矢がないんだけど。魔法で戦えって?


ありがとうございました。

非常にWi-Fiが遅くて書きにくいです。

日々適当に書いているので矛盾点などあったらご指摘ください。

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