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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
11/166

10 ラビットを捕まえよう!

 プレイを始めてからまだ一度もログアウトをしていないことをヴィルゴさんに怒られたため、俺たちは1時間の休憩を挟んでから、北門付近に集まっていた。

 ヴィルゴさんは年上な感じだ。すみません、初対面で変態だと思っていて。



《ヴィルゴさんがフレンドに追加されました》

《ヴィルゴさんが木製機械デウスエクスマキに参入されました。リーダーはシノブです》




「面白い名前だな。半樹人と機械人間で木製機械か。私が入ると木製機械キメラになるのかな?」

 ヴィルゴさんに名前をつけるセンスはないようだ。俺も人のこと言えないが。



 そして俺たちはとある策を実行するためにそれぞれの持ち場に別れた。


「ファイアフライ」

 俺に近寄ってきたウサギに放心状態をかける。北からは次のマップに行けるためプレイヤーが多く通る、のでウサギが少ない。ここを狙う。


「んでウッドバインド」

 放心していたウサギが木に絡み付けられて身動きがとれなくなる。

 ここで俺の出番は終わりだ。

 キーキーと泣き叫ぶウサギを置いてあちら側の感知範囲外まで走って逃げた。あと俺にできることは状況を見守ることだけだ。


 次はカラコさんの出番だ。

「ククク……こんなところに罠にかかったウサギがいるじゃねえか」

 あれ? カラコさん?

「自分の運命を呪い、俺の経験値となるんだな」

 極悪な笑みを浮かべながらウサギに刃を突きつける。


 カラコが凶刃がウサギの喉にとどこうとした時、カラコが横にふっとばされた。

「大丈夫か!」

 我らがヒーローヴィルゴのお出ましだ。

 手に持ったナイフでウッドバインドの拘束を解く。


 ウサギはハッとした顔でヴィルゴを見た。ヴィルゴはナイフを下に落とし、そしてウサギはヴィルゴに走りより……噛みついた。




「カラコ……口調……」

「1回で諦めるにはいきません。最低10回はしましょう!」


 俺達はこの茶番劇を繰り返した。

 茶番劇の間にヴィルゴがレベルアップした。

 俺の火魔法もだ。木魔法はやはり成長が遅い。



《戦闘行動により【火魔法Lv4】になりました》



 何十回試しただろう。木魔法がLv4、火魔法がLv5に上がり、MPポーション2つがなくなった。そして職業レベルも上がった。

 火魔法のレベルが早く上がっているのは、一段階レベルの高い魔法を使っているからだろう。

 そしてカラコさんがどんどんノリノリになってきて、耳の先っぽとかを切り落とすようになった。怖い。



《戦闘行動により【木魔法Lv4】になりました》

《戦闘行動により【火魔法Lv5】になりました》

《火魔法 ファイアレジストを取得しました》

《火魔法 エクスプロージョンを取得しました》

《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが2増えました》



名前:シノブ

種族:半樹人

職業:狙撃手 Lv8

称号:魔王の守護

スキルポイント:2


 体力:90

 筋力:25

 耐久力:40

 魔力 :50

 精神力:40

 敏捷 :15

 器用 :50(+5)(+3)




 呪文の確認をする余裕はない。俺がせっかく取った火耐性涙目って感じの呪文が気になる。

 そして精密操作が確率であることが実証された。次からは精神力を上げよう。早く精密操作のレベルもあげたいものだ。




 ちなみにヴィルゴに襲いかかったウサギはカラコが仕留めている。同族を殺すと友好度が下がるのではないかということだ。




 それからまた時間が経つ。俺は時間を見つけては草をむしっているが、草を見分けるスキルがほしい。品質などもあるだろうし、それよりも生産をしてみたい。ポーションの1つでも作らなければ本気で居場所がなくなりそうだ。


 普段は弓と魔法で補助をしながら暇を見つけて素材採取。そして生産。それが俺の本来したかったプレイのはずだ。次に取るべきスキルは識別だろう。

 薬草を見分けなければ意味がない。スキルポイント足りないんだよな……今度ヴィルゴにポイントためるコツを聞いてみよう。


《行動により【発見Lv4】になりました》

《行動により【収穫Lv3】になりました》


 収穫が上がったので取れる草の品質が良くなればいいのだが、発見で更に新しい草とか見つからないのだろうか。初心者用の草原とはいえ、まだ見つかるかもしれない。



《戦闘行動により【木魔法Lv5】になりました》

《木魔法 グロウアップを取得しました》

《木魔法 ポイズナスフラワーを取得しました》


 植物を育てる呪文と毒の花を咲かせる呪文かな? 試す時間はない。


 そしてついにその時が来た。俺は薬草と毒草の違いを見分けようとしていたが無理だった。



「ヒャッハー、馬鹿なウサギだぜ! こんなところで罠に捕まってるとはなぁあ! 家族との別れは済んだか? 恋人はどうだぁ? さあ消えて俺の経験値とな、グブフォ」

 だいぶ壊れてきたカラコはヴィルゴのぐーパンで吹っ飛んだ。体力も削れているし、ヴィルゴには運営からの警告が来ているだろう。カラコが通報しない限りは大丈夫だと思いたいが。

 しかしそれほどやらなければウサギはダマされないとカラコが力説したのである。


「大丈夫か! 今助けるからな」

 そしてウサギを縛り付けていた木が砕かれ……ウサギはヴィルゴを攻撃しなかった。



《クエスト【調教テイムを成功させろ!】が達成されました。報酬 スキルポイント30》


 パーティーチャットに文章が流れて着る。

 なるほど、ヴィルゴさんはこれでスキルポイントを稼いでいたのか……。



「やったぞーーーー!!!!」

 ヴィルゴが雄叫びを上げる。

「やりましたね! 本当に本当ですよね!」

 カラコの口調も戻っている。

「レベルアップもしたし有意義な時間だったな」

 ボス戦前のいい戦力増加になった。

「私も結構レベルアップしましたよ」



《ラビが木製機械デウスエクスマキに参入しました。リーダーはシノブです》



「安直だな……」

「シンプルイズベストって言ってあげてくださいよ……」

 ヴィルゴとラビは楽しそうに戯れている。もふもふ好きにはたまらない光景だな。ぐへへへへ、俺も混ぜてほしいぜ。


 ヴィルゴさんは急に立ち上がって草原の一方を指す。

「さあ、ラビ。早速レベル上げだ! ボス倒しに行くぞ!」

 あなた戦えるスキル持ってましたっけ?


ヴィルゴさんはモフモフが好きですがそれ以上に戦いも好きです

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