9 新たな仲間 ロマンを追い求めて
新キャラの登場ですね
俺たちは他の門に行くでもなく、街の中でもなく、草原の真ん中にいた。
「カラコさん。ここでパーティー募集をするのか?」
「そうですね。パーティーに恵まれなくてウサギに殺されそうになっている人を助けます。そこで盛大に恩を売って、さりげなくプレイ時間を聞き出して、暇人なら引きずりこみましょう」
なるほど。色々酷いような気もするが、良い案ではあるだろう。
カラコは近寄ってくるウサギを撃退して、役に立たなくて背の高い俺は死にかけているソロプレイヤーを探すことにした。
俺みたいな人のことを木偶の坊をいうのだろう。半樹人だし。
「お、見つけたぞカラコ」
「やりましたね。気づかれないように近くに寄ってから颯爽を現れて救いましょう」
「なんか一方的にやられてるぞ。スキルとか武器とか持ってないのか?」
遠くから見る分には一方的にウサギに殴られているだけだ。
「いいんです。できない新人でも育てればいいんですから。では行きましょう」
カラコも最初の状態から比べて十分に強くなったしな。いや、本当に予想外だ。ここまで強くなるとは……。
カラコは走っていくが、俺はそのスピードに追いつけない。
追いついた時にはウサギは既に消えていくところだった。
「危ないところだったな」
あれ? カラコさん口調そんなんだっけ?
助けたのは獣人のプレイヤーだった。ライオンの獣人だろうか。ケモミミと尻尾がついているだけのよくある獣人ではなく、動物が二本足になったという感じである。アニメのように少々デフォルメされているが。
そして巨乳。獣人だが。獣人だが。
大事なことなので2回言った。俺はケモナーではない。マズルはちょっとご勘弁といった感じだが、惜しいなぁ……。
「な……」
カラコは走って行くが俺はそのスピードに追いつけない。
追いついた時にはウサギはすでに消えていくところだった。
「危ないところだったな」
あれ? カラコさん口調違うよね。
助けたのは獣人のプレイヤーだった。ライオンの獣人だろうか。獣耳と尻尾がついているよくある獣人ではなく、動物が二本足になったという感じである。アニメのように少々デフォルメされているが。
そして巨乳。獣人だが。獣人だが。
大事なことなので2回言った。俺はケモナーではない。
「な……」
わなわなと身を震わせている。
「「な?」」
一体なんだろう。
「何をするんだ!!」
……ウサギに虐められて興奮するタイプの人だったんだろうか。
予想外の反応にカラコも驚いている。
まじかよこいつ、って顔をして一歩引いたのを俺は見逃さなかった。
「死に戻りしそうだったので助けたのですが……」
「治癒魔法とってるから大丈夫【ヒール】」
女性の体をキラキラ光るエフェクトが包んだ。
「ウサギに一方的にやられていたのは何だったんですか?」
「調教だよ」
一方的に虐められていたのに調教とはレベルが高いな。俺にはもう何がなんだかわからない。危険人物だ。もふもふの女性なのにとんだド変態だ。いや、もふもふでも変態はいるか。
だめだ。混乱している。状態異常か。
「ではお詫びとして、手伝わせてくれませんか?」
カラコよ、何を言っているんだ。いや、変態でもいいけど。
「本当か?! それは助かる。私の名前はヴィルゴ。よろしくな」
先ほどまでこちらのことを警戒していたのにやけに打ち解けるのが早いな。
「私はカラコです。後ろのウドの大木がシノブです」
ウドの大木言うな。確かにさっきから何の発言もしてないけど。
「今の時間までやってもダメだったなら、他の方法を考えましょう。作戦会議のために一旦街に戻りましょうか」
「ああ、ありがとう」
展開が早くてついていけない。
カラコさんと一緒に昼飯を食ったレストランで早めの夕食を取ることにした。
「2人はパーティーを組んでいるのか?」
「そうだな。カラコさんがネタスキルで、何だかんだあってな」
ヴィルゴは話してる感じでは全く普通の人だった
変態ではないのかな?
「ネタスキルか。私もネタスキルみたいなものだな。ほら」
ヴィルゴはスキルを見せてくれた。
「こ、これは……」
絶句しているカラコさんの後ろから覗き込む
名前:ヴィルゴ
種族:キメラ
第一職業:戦士 Lv20
第二職業:調教師 Lv1
称号:
スキルポイント:46
体力:125
筋力:100
耐久力:95
魔力 :65
精神力:110
敏捷 :90
器用 :55
パッシブスキル
【調教Lv1】
【治癒魔法Lv4】
【意思疎通Lv1】
【従魔強化Lv1】
【友達作りLv1】
【合成Lv1】
アクションスキル
【捕食融合】 1/3
【捕食回復】
【噛みつき】
【ヒール】
色々とおかしい。
職業が2つあって、スキルポイントが26もあって、ステータスもついでに高い。けどスキル構成に攻撃できそうなものが1つもない。それに噛みつきってなんだよ、アクションスキルにするほどか?
「もしかしてβテストの……」
「ああ、ご明察。職業とステータスとスキルポイントだけは引き継げたから第二スキルで調教師になろうと思ったんだが、全く成功しなくてな〜。ハハハ、やっぱ無謀ってことか」
β版をやっていたのか。それなのにソロというのは、このスキル構成のせいか。それともβでもソロでやっていたのか。
「調教スキルを知らないシノブさんのために説明します。調教スキルとはモンスターとの友好度を上げるとモンスターをパーティーに加えられるようになるスキルです。しかしそもそも友好度というのが謎数値な上に調教成功率は圧倒的に低く、βテスト時点では入れてるだけでディスアドとまで言われていました。あと、パーティーの枠を圧迫するので召喚魔法の方が便利などあって、人気のないスキルですね。β版から調教の成功率が上がったかについては……」
この人、なんでこんなにスキルについて詳しいのに自分のスキルは……いや、もう何も言わないことにしよう。
「私はパーティー枠を埋めるほど調教するつもりはない。それに、このスキル構成だとテイムして武術スキルをとって役に立つようにならない限りはパーティーに入ることが無理だというのはわかっている。でも、どうしてもテイムを成功させたいんだ。私は馬鹿だと言われても馬鹿だと言われてもラビットをテイムするまではやめないつもりだ」
ヴィルゴは熱く自らの思いを語った。何度かパーティーには誘われたがステータスを見せると「スキルを変えろ」とだけ言ってくるそうだ。
ヴィルゴは見定めるような目で俺のことを睨んできた。
「ロマンだな」
「そういうの、良いと思います」
2人の発言はヴィルゴの思いもよらないものだった。
「凄いな」
ヴィルゴは2人のスキルを見て何とも言えない表情をしていた。
ネタというか、いかにも初心者がやりそうというか。
カラコのスキル構成は攻撃に特化しておりバランスが良い、種族との相性もあっている。
効果がよくわからないスキルがあるが、それでも戦えるだろう。
問題はシノブだ。樹人で弓使いは見たことがない。しかも職業が狙撃手というマイナー職。調教師をとっている自分が言えないが。
まだ職業が魔法使いだったら役に立っただろうに……。
この時点でヴィルゴはシノブのことをお荷物だと判断していた。
大当たりである。
「ヴィルゴさん、ヴィルゴさんがラビットをテイムするまで手伝います。もしテイムができた時、私達のパーティーに入ってくれませんか?」
カラコが真剣な表情で切り出した。
「いいのか? 経験値は4人割りにされるから損になるぞ」
「ほのぼのやってるので大丈夫ですよ」
ほのぼの……笑いながらウサギを蹴散らしてた人が何を言っているんだろう。
「なら、よろしく頼む……といいたいところだが、私が1日ログインしてから試し続けても調教できないんだ。かなり厳しいと思うぞ」
「その点にしては策があります」
「策?」
俺が背景に混ざっているような気がする。レストランの植え込みの存在感と変わらん。
カラコは黒髪黒目ですが、課金して色を変えています。