序章
春の爽やかな風がさほりの髪をなびかせる。
ーーーふぅ。
嫌なことがあった。
しかし明日も仕事だ。現実は変えられない。さほりは、立ち上がった。
朝陽がさほりの躰を照らした。朝。身をよじり時計を確認する。午前6時3分。
朝食を抜かし、急いで支度を始める。テレビをつけた。またラッキーカラーだの星占いだのやっている。
外にでた。
ケイは単純にかっこいい。誰がみてもそう思うはずだ。少しSっ気はあるが、私も少しMだからちょうどいいかな。
ケイとの待ち合わせ、公園。付き合いはじめて3日だった。
夜。
ケイの家に泊まるのか。楽しみだなあ。
さほりはケイの後に続いて家に入った。シンプルな男らしい部屋。黒いベッド。趣味のいい家具。
ーーーなんか飲む?
ーーー今はいいや。
さほりはケイとバラエティ番組をみて、夜が過ぎようとしていた。
ーーーひゃっ!
さほりはわき腹をつつかれた。くすぐっさのあまり声を出してしまった。
ケイはほろ酔い気分で楽しそうだ。
ーーーねえ。SMごっこ、やらない?
瞬間的な不安。焦り。期待。
ーーーえ?私ドMじゃないし!
ーーーSMプレイじゃないよ。たださほりを縛りたいんだよ。