第五話「初めての魔法」
「はぁっ、はぁっ…」
私達は間一髪でモンスターをかわした。正確にいえば、俊くんが助けてくれたんだけどね。
「あのぉ〜。もうそろそろ下ろしてくれない?」
私は俊くんにお姫様抱っこされてたの。
「うわぁぁ。……ごめん。」
「?なんで俊くんが謝るの?助けてくれてありがとう。」
「///俺はお前をサポートしなきゃいけないし…///」
「そっか。…よーーし!セイルちゃん!魔法の呪文教えて!」
「え〜とぉ〜…いろいろあるんですけどぉ〜。てきはぁ〜炎タイプなのでぇ〜、水の属性の呪文を教えますねぇ〜。」
「うん!よろしく!」
「『ウォーターサイリング』ですぅ〜。今の、知世様ならこの呪文が一番かと…」
「分かった。」
スゥーー
私は大きく息を吸った。そして右手の人差し指を前に差し出した。
(俊くんに助けてもらった分、私も頑張るんだ!)
『ウォーターサイリングーーーーーーーーー!」
ブォーーー!
知世が出した指の先からたくさんの水が出てきた。それをモンスターに向けた。
「いっけーーーー!」
その水はモンスターの体を優しく包み込んだ。そして、綺麗な花が降ってきた。
「きれーい…」
「あいつは自分の世界に戻ったんだ。」
「自分の世界?」
「ああ。この世界ともう一つの世界。これを結ぶのが『サウタント』だ。サウタントの中には、『マリアンド大陸』はもちろん、『エクスピア大陸』、『ポリトール大陸』なんかもある。」
「たくさんあるんだね!」
「そして、こっちの世界にモンスターを送っているのが、『グドロ大陸』別名『暗黒大陸』の女王『ヤナリア』だ。」
「ヤナリア…」
「かなりの力を持っている。モンスターを転送しているぐらいだからな。さっきのやつじゃ比べ物にならない。」
そんなに大変なことを俊くんは今まで背負っていたんだ。ただのチャラ男じゃないんだ…
「モンスター達は本当はいい子なんだよね!私、みんなを助ける!」
すると、俊がニコッと微笑んだ。
うっ、イケメンの笑顔にはかなわない。かっこいい…
「ああ。二人で頑張ろうじゃないか!」
「うん!…ぷっ、あははは!」
「あははは!」
私達は大きく笑った。楽しかった。こんなにも嬉しいこと、大変なこと、初めてだ。
「よーーし!頑張るぞーーー!」