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転校生の彼氏役

作者: lazy rabbit

 今日、転校生が来た。

 容姿端麗で艶のある長い黒髪、しかし冷徹な目付き。

 絶対に人を寄せ付けなタイプだ。綺麗ではあるのだが綺麗以上に怖い。

 そんな転校生と恋に落ちてハッピーエンド......とはいかないギャルゲーじゃあるまいし。

 正直言ってそんな転校生、どうでもいい。

 今、俺が直面している問題はそんなことより重大だ。それは3日前に鍵を無くしたことだ。

 異世界とこの世を結ぶ扉の鍵......ではなく家に入るための鍵だ。どこにでもある普通の鍵。どこにいったんだか。

 最近ため息多いな......自分。と独り言を言ってまた、ため息。

 仕事ずくめの親に電話して鍵はもらったがもし俺が落とした鍵を誰かが拾って家に侵入されたらなんてことを考えるととてつもなく怖い。

 あてのあるところはすべて探したがそれでも出てこない。もう諦めるしかない。ギブアップだ。

 そんなことを考えているともう家に到着していた。家と言ってもマンションの一室をかりている。

 家に入室後は机に座り静かに勉強、ではなく引き出しを開けて大事な物が無くなってないかを確認......あれ......無い、あれが無い。

 自分のパニックメーターはピークに達し、気が動転する。

 鍵なんか探してる場合じゃない! 見つけないとヤバい、どこだ、どこだ、どこだ、ない、ないないないない!


数時間経過。。。。。


 もうおしまいだ、きっと泥棒でも入って盗まれたんだ......

 泣きそう......

 絶望的、この世なんて終わってしまえばいい、終われ終われ!

 そんなことを思っても終わるはずはなく本当に涙がこぼれてきた。暗い部屋の隅に陣取り完全にメガティブモード。

 何分泣いただろうか、いや、何時間だろうか、体力はもう残っておらず歩きたくない。自分を崩れ落ちたビルの残骸とでも比喩しようか。

 そんなことより腹減った......

 時計は泣いてる俺を知ってか知らずか俺をよそに明るい音楽がながれる。現在十時のお知らせ。

 何も考えたくない、すべてが憂鬱になる。

「現実ってやだなーあーあーあーあーあー」

 なに言ってんだ俺。もう少しうずくまっていたい。

 体育座りの状態で膝に顔をうずくめてみる。案外落ち着く。絶望感に浸った時のポーズに認定。

 そんなとき玄関の扉が開く音がした。親が帰ってくるには早い時間。泥棒かな、べつにかまいやしない。あれが盗まれた以上もう大切なものはない(お金は別として)それとも悪魔か、俺を殺しに来たか。なんて中二病的な考え......まあ、べつに今なら殺されても文句は言わないよ、むしろこの感情から解放してくれるんだ、感謝する。

 こちらに足音が向かって来る。そしてドアの前で止まる。ドアノブが回転しドアが開いた。

 入ってきたのは、あらまあ、悪魔さんではないですか。頭の中で予想していた一番入ってくる可能性のない人が入ってきた。電気をつけてないが窓から射し込む月明かりで少し部屋の中は明るい。

黒のワンピース、闇に溶け込むような長い黒髪、大鎌は持ってないが邪悪なオーラがその身を包んでいる......ような気がする。俺、オーラ見えないから。

 どうしよう、死んでもいいと思ってたくせにいざとなると死にたくない。

「やだ、死にたくない、さっきのは冗談だから! 殺さないでくれ!」

 無言のまま近寄ってくる。俺の目の前で止まった。勇気を出して見上げると目がこちらを向いている。目があってしまった。この目は人を殺す目だ。命を容赦なく奪う冷徹な目。

 怖すぎて涙が止まってしまう、完全に硬直していて放心状態の自分。悪魔の手が頬にのびてくる。

 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!

「やだっ!」

 パンッ!

「いったっ!」

 叫んだ瞬間、頬に激痛がはしった。俺これで死ぬの! 悪魔にビンタされて死ぬの!

「しっかりしろ!」

 悪魔の大声が鼓膜を大きく振動させた。

 あれ、日本語? 悪魔が? しっかり日本語をしゃべった? 教養のある悪魔だ。最近は魔界でも日本語の授業があるのだろうか? 日本語も有名になったものだ。日本人としての誇らしさを感じる。

「麻薬でも飲んだのか! バットトリップか!」

 耳に刺さるような悪魔の叫び。

「うるさい、うるさい!」

 怒鳴った瞬間、いきなり顔が固定された。両サイドから頬をおさえられ首が動かない。終わりだ、このまま頭突きでされて死ぬ!

「私だ、今日来た転校生だ!」

 悪魔の顔が目の前に......あれ、悪魔じゃない......この目付きは転校生の顔だ。

 なにこの状況、このタイミング、なぜ転校生がここに? しかも顔をおさえられている自分......キスする気か? いや、べつにこんなにも綺麗な人にキスされるのならいいけど、それともこれって夜這いか......え......マジ......怖っ......

 妄想がふらんでいく。

 パンッ!

 妄想が膨張して破裂した音ではなく、またもやビンタ。勘弁してください。

「しっかりしろ、私が誰だかわかるか」

「転校生だろ?」

「頼みを聞け」

「なんでいきなり上から目線!?」

「金をだせ」

 不法侵入+金の要求=転校生だから許せる......これはないな。

 不法侵入+金の要求=転校生だけど行為が泥棒だから許さない......ふつう金を渡さないよな、自分よ、こちらが正論だ。

「おまえが私の要件を拒否する権利はない」

「なんで断言、俺の人権どうなってんの! 金を渡すわけないだろ!」

「......」

 お、反応しない、これは勝ったな、以外とおしに弱いやつ。

「俺が警察に通報しないうちに帰れば許してやる」

 決まった。これで泥棒を撃退したぞ、どうだ俺の話術、敵無しだろ。

「もし......私が......なにかご奉仕したら......この家から......追い出さないでくれる?」

 おいおい! なんで上目遣いなんだよ! そして両手を前についた前傾姿勢! このギャップ可愛すぎる。反則だ反則。デレはずるい。そうか俺を誘惑してるんだな、俺を見くびるな、そんな蠱惑的な仕草に惑わされる俺では......俺では......ある!

 やはり自分には正直でいたい。

「どんな、奉仕をしてくれるのかな」

 ここはあえてダンディに。

 パンッ! 

 ビンタ、しかも三度目、プラスさっきのより強力。頬がちぎれるかと思った。

「奉仕なんて嘘に決まっているだろ、これだから男は嫌いだ」

 俺は男代表でもないのに男全員が批難さてしまったようだ。世界中の男のみなさんすみません。

「もし、私の頼みを達成できたのならお前が今探している二つを返してやる」

 は? こいつなに言ってるんだ。今日来たばかりのこの転校生が俺の今探してる物を持ってる? そんなことは絶対にありえない。本物の悪魔でもないかぎり無理だろう。

「お前...」

「今度私のことをお前と言ってみろ、裸でコサックダンスを踊らせるぞ」

 なんか意味不明なことを言いはじめた。

「じゃあ、なんて呼べばいい? 名前か? それとも悪魔とでも呼んでほしいか?」

「名前はダメ、もっと私を敬う呼び方をしろ」

「お前を敬う要素がどこにある」

「裸でコサックダンスさせるぞ」

「正気か?」

「......裸でコサックダンスは......冗談だ」

 最後に舌打ちが聞こえた気がするが気のせいということでスルーしておくか。まあ、個人的には悪魔が一番いいと思うがここは普通に呼んでやるか。俺って優しいな。

「転校生でいいか、転校生で呼ぶぞ」

「うん......まあ......わかった」

 腑に落ちないようだがしぶしぶ了解してくれた。

「決まったところで本題に戻るぞ、転校生、まず俺の探してるものを知っているのか?」

 知ってるはずがない、鍵は親にしか言ってないし大切なあれは誰にも言ってない。

「鍵だろ」

なぜ知っている! 親にしか言ってないはずだぞ!

「確かにあっている、しかしだ、もう一つを答えてない」

「言ってほしいのか」

「言えないくせに」

「お前が書いた小説だろ」

「ハハハ......なに言ってんの俺が小説だって、hahaha......断じてありえへんねんなー!」

「完全に動揺してるな、それを聞いたうえでどうする? まだはむかうか?」

 こうなれば最後の手段。女子を殴るのは気が咎めるが暴力で解決してやる!

 俺は拳を握り転校生の腹めがけておもいっきり殴った。

 あ、外した。

 その瞬間、首が360度回ったと思うぐらいの強烈なカウンターパンチをくらった。どうやら俺は女子に勝てないようだ......弱すぎるな、自分。

「お前......見た目以上に弱いな......」

 悲しい人を見る目をされてしまった。

「同情してくれるのか......」

「お前に同情するくらいならこんにゃくに同情したほうがましだ」

 なぜこんにゃくなのかツッコミをいれたくなるがこれ以上話がそれると話が一向に進まない気がするのでやめておこう。

「俺は金を渡すつもりはないぞ」

「じゃあ、この小説、学校にでも持っていって目立つ場所におくか? いや、インターネットで公表するか、たしか、小説を投稿できるいいサイトがあったはず」

「それはやめてくれ! 頼む、何円払えばいいんだ」

 今日は人生で一番運の無い日だ。もうどうにでもなれ!

「だいたい一万くらいかな」

 その金額を聞いて愕然とした......俺はそんなに所持金を持っていない。毎日金欠状態だ。でも、もし渡さなかったら俺の小説が......しかし持ってない以上渡すことができない。

「いや......その......」

「まさか、持ってないのか」

「え......なんと言いますか......無い袖は振れないと言いますか......」

「仕方ない......もう一つ頼みがある」

転校生が長めのため息をついた。

「やらなきゃダメ?」

「当たり前だ」

「ですよね......」

 当たり前ではないと思うのだが弱みを握られているので手も足も出ない。自分の情けなさを痛感する。

「私の彼氏をやれ」

 唐突に意味不明な命令が悪魔から下された。


 路地を走っている。

 暗くて狭い、油断すると横の建物に肩がぶつかる。足元にはバラエティ豊かな生ゴミたちが散乱。前には悪魔、ではなく転校生が走っている。

 いきなり彼氏をやれと言われ、ついてこいと言われ、最終的に近道を行くと言われ、現在にいたってしまったわけだが未だにどこへ行くのかも何をしにいくのかも教えてもらっていない。

「通りに出る」

 転校生の声が聞こえた瞬間、自分が光に包まれた......というのは言いすぎだが眩しくて目の前が真っ白になった。

 目をこすり辺りを見回す。そして呆然としてしまった。光に包まれたなんてやさしい表現をした自分を心の中で馬鹿だと罵った。回りの看板が卑猥な色を放ち、感じたことの無い空気に肌が拒絶する。

「転校生、なんだここは」

「転校生ではない彼女だ......だいじょぶだ、歩いていればすぐに慣れる、私だって気分が悪いんだ静かにしろ!............お姉ちゃんは慣れてるのかな......」

 最後に言った言葉を俺は聞きのがさない。俺はたまに耳がいい。

「お姉ちゃん? 姉がいるのか?」

「......」

「どんな人なんだ?」

「......性格が良くて運動神経も頭もいい」

 そう言ってなにもしゃべらなくなり早足になる。俺は頑張って隣を歩く転校生に歩調をあわせた。

 路地を走って体力が限界に近いのとホテル街の空気でめまいがする。

 吐きそう。

「ここだ」

 転校生が立ち止まり左の建物を指差した。

 想像はしていた。ホテル街に来るくらいだ、ホテルに入るに決まってる。でもここまで想像通りだなんて......なにする気だ......落ち着け、俺。心を乱すな、冷静に、冷静に。

「私の話を冷静にしっかりと聞け」

「ちょっ......ここって......つまり......あれですよね......あれをする場所やないですかい......」

「なに動揺しているだ? 言っておくがお前とセックスしに来たわけじゃないぞ」

 こいつ平然とした顔で一瞬たりともためらわずあの単語を言いやがった!

「耳をかせ」

 転校生の顔が耳に近ずいてくる。

 女子にここまで近ずかれたことはもちろんない。心臓が不自然な脈拍をくりかえし血液が奔流となって体をめぐる。

「あの......なんですか」

「お前をここにつれてきたのはラブホテルに入るためだ、大人っぽく振る舞え、初心な考えは捨てろ、いいな、部屋に入ったら次のことを言う」

「わ、わかった」

 そう言うと俺の手を奪うようにつかみ、手を繋がせられた。


 異常なまでに汗をかきながらチックインをすませなんとか部屋に入室。

「よし、お前には無理だと思っていたが上出来だ」

「一言よけいだ、で、ここまでなにしに来たんだよ?」

「ここで待っていろ、お前の役目はチックインだけだ」

「今からなにをする気だ?」

「お前には関係ない」

 転校生の目には、いつも以上の鋭さが感じられた。人を寄せ付けようとしないその目。転校生の冷徹な視線に刺され動けない。

 ドアを開け出ていってしまう。

 止められない。視線に刺されて動けないというのはもちろん隠喩なわけで普通に動けるがどうせ俺の力では転校生にかなわない。でもついて行くことはできる......だがしかし、ここはラブホだ、もし転校生についていってなにかヤバいことをやりはじめたらどうする気だ、ここで言われた通り待っているか......悩みどころだ。

 部屋を見回してみる。

 おしゃれで小さなテーブル、テーブルの上にあるガラスの灰皿、二つあるイス、黒の薄型テレビそして大きなサイズのベッドに枕が二つ......

 行くか行かないかを考えているときには自分の好奇心がドアを開けていた。

 転校生が正面のそれほど長くない廊下を右に曲がるところをとらえた。気が付かれないようにあとをつける。転校生が右にまがる。俺は素早くそして静かに走って行き壁に張り付いた。一呼吸おいてかどからのぞいてみる。転校生は手前から二番目の扉の前に立って深呼吸をしてから静かに扉を開け入って行った。抜き足差し足で扉まで近ずく。

 ここまで来て躊躇してしまう。部屋に入るのか、入らないのか。

 悩んだ末、扉に耳をあててみた......聞こえない、まったく聞こえない。

 開けるか......でも入ってばれたら......まずいことになる。もし部屋の構造がさっきの部屋と同じならベットが奥にあり入ってすぐ右にトイレがある。トイレにうまく隠れることができればもしかしたらばれずに話を盗み聞きできる。待て待て、だいたい俺は別に転校生についてこなくてもいいんだぞ、今ならまだ部屋に戻れる。好奇心だけでこのストーカーに近い行為をしてきたがここから先はいくらなんでもリスクが大きすぎる。好奇心はもう十分満たされたんじゃないか? もうそのくらいにしとけって。

 その時、部屋の中からどなり声がした。

 転校生の声じゃない、まったく別人、男性の声だ。扉を開けていないのに聞こえる声。尋常ではなく異常なまでに憤怒しているように感じられた。

 考えるより先に体が動く。右手で扉を乱暴に開け足に一瞬で力が入る。自分の足ではないと思うくらい一気に加速し跳躍する。奥には三人、転校生に若い女性と眼鏡をかけた中年男性、転校生の正面に到達したとき男性が転校生を狙って手に持ったビン降り下ろす。

 ビンの中の液体が大きく揺れる。おそらくこの液体はテレビのコマーシャルでよく目にするウイスキーだろう。怒り狂ったと言うにふさわしい表情をしている男性と目が合う。

 こんなにスローならビンを止めることができる。頭の中でどう止めるかを計画するが肝心の体は計画が実行できない。

 頭部に激痛がはしった。体がじゅうたんの上に落下する。

 頭皮でなにかが這うように蠢く、そのまま額を移動し、暗赤色の液体がじゅうたんに落ちる。

 まぶたが重い。目にうつる男性の靴がぐにゃりと歪む。

 限界だ。


 最悪な寝起きだ。

 白のカーテンを透過して痛いほどの日差しが顔面を直射する。

 これまで感じたことのない、頭痛。しかし気分はホテル街より幾分かましだ。

 起きようと思ったとき腕に異様な重さを感じた。

 目を向けてみる。腕を確認したとき、重いと感じたのを心の中で軽く謝った。

 目を閉じているせいかいつもの怖さは微塵も感じられない。この寝顔には誰もが癒されるだろう。背中を流れる艶やかな黒髪が日差しのせいで茶髪にも見える。

 なんとなく触れようとそっと手を伸ばしたとき目が開いた。

「おまえ、なにをする気だ」

 起きると悪魔に早変り、さっきの寝顔が嘘のようだ。転校生の寝顔を写真で撮っておきたかった。

「どいてくれるかな」

 転校生が俺の腕に視線を落とし、一瞬焦ったような表情を見せ、俺の腕から飛び退いた。

「昨日の夜は......あの......その......ご......ごめ......」

「謝りたいのか?」

「そんなわけっ......ない......」

「いいよ、別に謝らなくたって転校生のせいじゃない」

 もしかしたら勝手な想像かもしれないけれど、転校生が横で眠っていたということは気絶した俺に付き添っていてくれたんだろう、そんな人を責めることはできない。

 自分でよく思うが俺は優しさに弱いタイプだ。

「聞きたいんだけど、いいか」

「内容による」

 俺は一息ついた。

「転校生、前はどこに住んでたんだ?」

「聞いてどうする気だ」

「俺の想像していることがあってるか間違ってるか知りたいだけ」

「......隣街だ」

「教えてくれてありがとう、あともう一ついいか」

「なんだ」

「俺の部屋に忍び込んで俺の小説を奪ったよな、そして今度は俺がいるときに部屋に来た、そのときお金を要求したけど最初に忍び込んだときにお金を奪えばよかったんじゃないか?」

 転校生は少し黙ってから言った。

「もし、忍び込んでお金を奪ったら泥棒みたいだから聞いてから奪おうとした」

「普通に犯罪行為だよ!」

 まさかそんな返答をされると思ってなかったでおもいっきりツッコミを入れてしまった。

「あ、そうだ、俺の小説と鍵、返してくれよな」

「今日の夜、返しに行く」

 そこから特に会話をせず数分たって転校生が帰ろうと促したのでやけに重く感じる体を起こしホテルから脱出した。

 宿泊代金を払うときの転校生からはただならぬ殺気が漂っていた。


 おそらく転校生の姉は援助交際をしていたんだろう、それを知った転校生が姉を助けにいったんだと思う。

最初はなんで転校生一家がまだこの町に来たばかりなのに転校生の姉は顧客を作れたか不思議に思ったけど隣町に住んでいたのなら顧客がいてもおかしくはない。

 転校生の姉が援助交際にはしった理由はおそらくまわりからの期待がストレスになったんだろう。転校生は姉のことを性格が良くて運動神経も頭もいいって言っていたし。

こんな推理、というか、まあ、ただの予想だけど、もしあってたとしても転校生に言うべきではないと思うし間違ってるならなおさらだ。転校生の姉と男性の関係は結局俺には分からず終いだ。それにあの女性は転校生の姉ではないかもしれないし。

 そんなことを考えて登校しているともう学校に到着していた。

 小説と鍵を返してもらってから約1ヶ月、あのときを最後に転校生とはまったく話をしていない。

 転校生が転校してきて約1ヶ月たったが未だに友達がいないようでいつも静かに小説を読んでいる。完全にこっち来るなバリアをはっていて近ずきがたい。

 転校生の方に目を向ける。俺の席は一番後ろの廊下側、転校生がいれば確実にわかる。

 あれ、いない、いつも登校してくるの早いのに......風邪でもひいたのか? 以外に虚弱とか、萌えるな。

 軽い妄想で脳を活性化させているとき右のドアがいきなり開いた。いきなりもいきなり、瞬間的に一瞬でオープンした。

「あげるから」

 転校生が登場し、くしゃくしゃになった紙くずを投げられた。

「俺、ごみ箱じゃないんだけど」

「心配するな、可燃ごみだ」

「俺を燃えるごみのダストボックスだと思っているのか!」

 朝なのでまだ生徒が少ないがそれでも生徒はいる。そんな中でおもいっきり大声を出してしまった。

 まわりから向けられる視線から目をそらそうと努力していると転校生は廊下を走って行ってしまった。

 なんだったんだ?

 とりあえずくしゃくしゃの紙くずを広げてみる。書いてあることが意外すぎて少し笑ってしまった。

 そのあと時間は何事もなく過ぎ、担任の教師から転校生が遠いところへ急に転校したみたいなことを聞き学校が終わった。

 帰り道でくしゃくしゃに丸まった紙くずをまた広げ、そこに書いてあるメールアドレスにどうでもいいような話を送ってみる。

 一分ぐらいすると『転校生じゃなくて名前で呼べ P.S. 鍵盗んで悪かった』と返信が来た。

読んでくださってありがとうございました。


面白いのを書きたいなと思いつつ書いていたら、あらまあ、なにこの展開という感じになってしまいました。

なんでしょうこの微妙な推理......すみません。

なんでもかまいませんのでなにかアドバイスがあれば嬉しいです。

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