八話 「イッヌ」
安音は、久々に散歩をすることにした。
「ふんふふーん」
上機嫌に、何もない道を歩いた。
暫くして、一匹の犬に出会った。
「ガルルル」
その犬は、安音に威嚇した。
「わんわん......」
「ワンワンワン!」
「ひっ......」
安音は、急いでアパートへと走った。
「ひっ、ひいっ」
「ワン!ワン!」
手前まで来ると、家賃を払っている優子と大家がいた。
「た、助けて!」
「あ、安音。ちょうど良かったじゃないっすか大家さん」
「なんか、逃げてねぇか?」
「あ、イッヌ」
「やばくねぇか?狂犬病とか」
「あれは、多分地域犬の類っすね」
「つまりは、どういうことだ?」
「ワクチンとか打たれて、そのまま放された犬ですね。ただ、人襲ったんでサッ処分かな」
「呑気に話してないで助けてよぅ!あぁーん!」
二人を見た安音は絶望し、大粒の涙を流した。
「大家さん、出番っすわ」
「は」
優子は、大家を蹴り出した。
「ギャアァ!」
安音は、優子に飛びついた。
「ひくっ、うぅ......」
優子は、優しく安音の両肩に触れた。
「安音、家賃払おっか」
「大家は......?」
「あ」
「うぐぁ!ぐおあああ!」
「安音、お茶入れるよ。待ってよう」
「大丈夫なの?」
「脂肪あるから、平気平気」
全治二週間。




