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五話 「ヤニカス」
アパートの一室から、煙が出ていた。
「おい、優子」
優子の住むアパートの大家が、外にいた優子に話しかけた。
「あ、大家さん。どしたんです?」
「あの部屋の、穂なんだが......」
「あーあー」
「なんだよ、まだ何も言ってないって。回覧板が止まっててな」
「自分で行けばいいじゃないすか」
「優子はしっかり者だし、あいつに話通じると思ってな。どうだ?」
「やーっすよ。自分で行くしかないっすよ大家なんすから」
「せめて一緒に......」
「お姉さんは?」
「今、いなくてな」
「......しゃあなしっすよ。タバコ一箱」
「おう、わかった」
タバコ一箱を条件に、優子は大家とその部屋に向かった。
ピンポーン。
「穂ー?」
優子が呼ぶと、穂はすぐに扉を開けた。
「あ、く......」
優子と大家は、そのタバコ臭に声が漏れそうになった。
「穂、回覧板が......」
「あ、わすれへた」
穂は、タバコを二本吸いしていた。
「はいこれ、じゃ」
穂は回覧板を大家に渡し、扉を閉ざした。
「......」
「......大家さん。私、禁煙しようかな」
「いいと思うぞ」




