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三十一話 「命の戦いを」
「優子......」
「わかってるよ、穂」
優子と穂の両者が睨み合う。
「販売機には供給されていない。全部売り切れ。これが最後。優子には悪いけど、譲りたくはない」
優子は下を向き、呼吸を整えた。
「穂、ごめん......。吸うよ。この先も、これからも」
「それは、私も同じだ」
普段無気力な二人に、灼熱の勝負心が燃えたぎる。
傍に、二人の陰があった。
「えー、司会、解説を務めるのは、この私安音と......」
「野美子です」
優子と穂の戦いの観戦者である。
「タバコ一箱を巡った戦い。野美子さん、この展開どう思いますか」
「働け」
「ですって!優子さん穂さん!」
「黙れ」
安音が右手を上げる。
「では!開始――」
その時、大家の軽トラが、バックで優子たちを轢いた。
運転していたのは、大家姉だった。
大家姉が、窓から一声放つ。
「働けや」




