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二十七話 「プレス機優子の右手」
ある日。
優子の部屋の前に、大家姉がいた。
「優子、ちょっといいか?」
「なんすか」
「前流しそうめんやったじゃん?あの竹処分したくて」
「手伝えと。大家さんは」
「弟は今ガソリン補給してる」
「てか、捨てる必要あります?」
「腐ってる」
「あー」
「お小遣い千円。あと野美子と寝たら三万」
「いらんす。千円だけで」
優子は、竹樋運びを手伝うことにした。
「てか、なんで私なんすか。安音は」
「お前には悪いと思ったが、他のやつ誰もいなくてな」
その日、他の者は全員バイトがあった。
暫くして、大家が帰ってきた。
「後ろに積んでくれ」
「あいよー」
軽トラの荷台に、竹樋を運ぶ。
「大家さんも運んでくださいよ」
「悪い優子。ちょっと疲れて......」
「何?」
「ちょっと休ませて――」
「波ああ!!」
優子は、持っていた竹樋を右手で半分に粉砕した。
「うっ!?」
「はいは?」
「は」
「はい!」
「は、はい」




