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二十五話 「大家の過去」
「スパァ」
「おい、そこでタバコ吸うな」
「ごめんなさい。そしてくらえっ」
穂は、リングの形の煙を大家に向けて放った。
それは、大家の顔面に直撃した。
その時、大家の脳内で、子どもだった頃の記憶が再生された。
「あんた、酒買ってきな」
「えぇ。今は――」
「何言ってんだ!あぁん?お前みたいなゴミ産んで、ここまで育ててやったんだ!ありがたく私のために動け!」
威圧的な顔から、タバコの臭いが放たれる。
「チッ、ゴミが。お姉ちゃんに頼むわ――」
「う、うぅ......」
「お、大家......?ごめん、気分悪い?」
「だ、大丈夫だ。気にするなっ――」
それから穂は、大家を見つけると、反対の向きでタバコを吸うようにした。




