二十二話 「イッヌ、再び」
「ワン!ワン!」
「えぇ〜ん!」
安音は、また犬に追いかけられていた。
「うわぁあん、だずげでぇ!」
アパートの外には、コンビニに向かおうとしていた大家と大家姉、そして優子と野美子がいた。
(いけ、いけ......!)
「優子......ねぇ」
「あ、また安音追っかけられてる。別のイッヌ」
(犬やめろぉ!)
「あれ、また地域犬か?」
「いや、あの感じガチの野生犬っすね」
「じゃあ、ワクチンは?」
「ないっす。大家さんでも逃げた方がいいっすね」
「マジか」
野美子は、優子の腕を引っ張る。
「ねぇ優子、逃げようよ」
「でも、安音がなぁ。大家さん、死んでくれます?アパートも遺産も引き継ぐんで」
「流石に無理だろ」
「ぐっ、私に任せろ」
大家姉は腹を括った。
安音が、大家姉を通過した。
残るはイッヌである。
(二人の幸せを見たい!だが、ここで守らねば二人は悲しい結末を迎える。死ぬのは私だけでいい!死ね私!)
「ぐ、姉さんに体は張らせられない!」
「弟......!」
犬は二人を無視し、安音に飛びついた。
そこに、優子が足で遮る。
犬は、優子の足首に噛みついた。
「優子ぉ!!」
ゴキ!
「お、お前......」
「......ギャウ!」
犬の歯は欠け、犬は逃げるように走り去っていった。
「なああぁ!優子死んだぁああ!」
「野美子、大丈夫だよ?」
「ああぁ......え、へ?」
「優子!大丈夫か!?」
大家は、ベッタリと汗をかいた。
「私、最強だから」
「あ、そうだった。びっくりした」
優子と大家姉は、何事もなかったように再び歩き出した。
「......は?」




