十一話 「可哀想」
実輝の部屋。
優子と野美子と安音と実輝は、実輝の部屋で飲み会を開いた。
「野美子、どっちがいい?」
「んなぁ、どっちも」
「はい、どうぞ。実輝、クッションある?」
「あ、昔のぬいぐるみなら」
「それちょうだい。安音、野美子が寝て体冷やさないように、一応毛布持ってきて」
「あい」
「野美子はかわいいねぇ」
「そんなことないなぁ」
「あ、私部屋からなんか食べれる物持ってくるね」
優子も安音も、野美子をとても大切にした。
(なんで、私には酷かったのに、野美子さんには優しくするんだろう)
実輝は、その態度に少し疑問を抱いた。
「あの、安さん。なんでそこまで野美子さんに優しいんですか?」
「え。うーん......」
暫く、沈黙が続いた。
「脅されてます?」
「いや、違うよ。なんかね......」
「ただいまー」
優子が、プリンと煎餅を持って戻ってきた。
「あの、優子さん。なんで、野美子さんにはそこまで大切にするんですか?」
「あぁ、それね。可哀想だから」
「可哀想だから?お酒飲んでるのがですか?」
「安音は言わなかったんでしょ。野美子はね、昔に無理矢理性処理道具にされて、高校中退してるんだよ」
「え」
「お酒飲まないとフラッシュバックするから、ほとんど毎日飲んでるわけ。野美子はもうだいぶ酔ってるから話したけど、本人の前では言わないでね」
「え、ええ。はい」
「野美子、プリンあるよ。あーんする?」
「優子、いつもありがとうなぁ」
「うん。野美子も、いつもありがとう」
優子は、野美子のためにプリンの蓋を開けた。
実輝は、それをただ眺めていた。
「あ......」
「......実輝、酒くれ」
安音と実輝は、胸糞悪い酒を飲んだ。




