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001. 楽しい一時と、切り離すことのできない問題

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・作家名および作品、作品名等、実在のものとは一切関係ありません(※天空雑貨店を除きます)。

 外は夕陽が眩しく輝く頃、私は一つの作品を室内に差し込む光にかざしてみた。


 傾ける角度や光の具合で変化する、カボション内部の波打つ虹色――。


 ダメにしてしまった資材はどのくらいだったでしょうか……。何度も失敗し、それでも諦めずに実験し続けた甲斐があったわ――!


 思っていた以上のクオリティに、自分でも驚いてしまい、声が漏れ出てしまいました。


「コレだわ――!」


 まるで本当に不思議な力を持っているみたい。硬化後しばらく経っているからカボションはもう熱を持っていないはずなのに、何故か暖かく感じる気がする。


 とても幻想的な雰囲気を醸し出すソレはまさに、ドラゴンの吐息をそのまま閉じ込めたようで――――




 私、藤崎真美(ふじさきまみ)はハンドメイド好きな大学一年生。

 SNSでは本名から少しもじって『トウマ』という名で活動しています。


 作ることが大好きで……高校生の頃からはUVレジン系ハンドメイドの虜。


 透明な液体がUVの光で硬化する、それはまるで魔法のようで……その存在を知った瞬間から、私の心はウキウキし通しなのです。


 最近は、今作っているもの『ドラゴンブレスライカ』のため、インスピレーションを得るために龍にまつわる神社仏閣を巡るのが週末の日課。

 もうじきやってくる夏休みには、京都の方へも足を伸ばそうと考え中で……。


 そんなある日の就寝前。私はいつものようにSNSのグループチャットへ参加していました。


 チャットグループには、手描き模様のレジンアートを得意とする碧空さん、ネイルスタンプを使った独自技術で作品を仕上げている天空さん、丁寧な仕上げでみんなの注目を集めているハナさん、繊細なワイヤーパーツをレジンに封入した作品を作っているシオンさんなど、個性的な作家たちが集まっていました。


碧空『そうね、()()っていう感じは否めないけど……どうして起こっちゃうんだろうね、こういう問題――』


 ハンドメイドのことから、最近起きた事件に至るまで、話題は止まることがなく


天空『ハンドメイドをはじめてしばらくしたら、誰もがそういうことに気づいて、似た作品がないか、とか気にかけながら作っていくものなのかなって思ってたんだけど……』


 今の話題は最近巷で起きた「模倣した、してない問題」になっていた。


ハナ『私もです。毎回ドキドキしながら検索して、結構作るのを諦めちゃったりもしてますよ〜』


 皆さんの意見がだいたい一致しているようで、この方々とずっと仲良くしていきたいと感じていた私は、ほっとしました。


 けれど、シオンさんだけは書いたり消したりを繰り返しているのか、無言のままで……。だから、私は思い切って書き込んでみました。


トウマ『そういえば……最近ちょっと気になるアカウントを見つけてしまって気になってるんですけど……』


 そう、しばらく前にそのアカウントを見つけてしまい、気になった私は過去の投稿を遡ってみたりもしていて。ある種の核心のようなものを感じていました。


トウマ『シオンさんの、昔の作品と似た雰囲気の作品を作ってるアカウントを見つけたんですけど――知ってます?』


 シオンさんが何かを書き込んでいることが見えて全員が彼女の言葉を待っているようでした。


シオン『……もしかして――ライチョチョコさん?』

トウマ『そうです! 私が見かけたのは、宇宙模様が背景の、ワイヤーのパーツと鉱石レジンが使われたネックレスだったんですけど――』

ハナ『そのアカウント……私も見かけたかも』


 シオンさんの今の作品は、背景を入れないクリアタイプの物ばかり。けれど、初期の作品で吸い込まれるような宇宙模様を背景にした作品があったことを覚えていた私は、そのアカウントが気になってしょうがなかった。


シオン『あの方の作品も素敵だよね、同じワイヤーパーツ使いとして親近感を感じてるよ!』

碧空『とうとうシオンちゃんのに似た作品も出てきたか〜』

ハナ『ハンドメイド界、どんどん人口増えてるみたいですしね……』


 人口が増えれば増えるほど、似たような作品は増えていくのだろう……けれど――


シオン『気にかけてくれてありがとうね、トウマちゃん。私は気にしてないから、大丈夫だよ』


 ……本人が気にしてないのなら、これ以上は何も言うまい。とは思うものの……あのアカウントの作品は「似た雰囲気」のレベルを超えている気がしてならない――


 モヤモヤした感情を抱えたまま、私は『そう……ですか……』とだけ返信をしました。


 その数秒後、


碧空『ま、私たちは気をつけてやっていこうよ! ね♪』


 碧空さんのその言葉で、模倣関係の話題は終わりとなり、次の話題が振られてきました。


碧空『そろそろさ、次のイベントが近いじゃない。みんなは今どんな作品作ってるの? っていうか、何か新作とか考えてる?』


 モヤモヤは残るけれど、せっかく切り替える機会をいただいたのだ。私も頑張って切り替えよう。そう思った私は、つい先日成功した「ドラゴンブレスライカ」の話を切り出しました。


トウマ『私が次に作ろうとしてるのは……新作というか何というか。コレなんですけど――』


 そう書き込んだ私は、先日できたばかりの物の写真を何枚かグループチャットに載せる。


碧空『おぉお、何コレー! すごい不思議で綺麗! え、もしかして……これ全部同じ物の写真……⁉︎』


 半年以上前にネット上で見つけたガラス製のソレ。似たような物がレジンで作れるのでは? そう思った瞬間から製法の案が頭の中を駆け巡っていて。完成した今、ようやくこの人達にも明かせる、と私は話を続けました。


トウマ『そうです。ドラゴンブレスという名前のガラス製品を模した物なんですけど……』

天空『うわぁ、すっごい素敵!

 ドラゴンブレス――へぇ、チェコが原産? ウチのわりと近くじゃん』


 画像と名前を元に、ネットで調べていたらしい天空さん。彼女はハンガリーで活動中の作家さんなのでチェコは近所という感覚なのでしょうか。


トウマ『みたいです。レジンで製作するので、名前はライカをプラスして“ドラゴンブレスライカ”にしようと思ってるんですが……コレがレジンで作れるようになったら、作品の幅が広がると思うんですよ。

 ちなみに、もう少しで自分なりのレシピがもうすぐ完成するところなんです』

ハナ『すごく綺麗〜!』

シオン『深い赤色の中に青色のシラーが見え隠れしてて……ステキ……!』


碧空『もしよかったら、そのレシピ販売して! 買うから〜!』

天空『私も私も〜!』


 販売……⁈


トウマ『え……⁉︎ 皆さんになら、そのまま無料で公開しますよ……?』

碧空『ダメダメ! 時間もお金もかけて確立するレシピなんだから。無料でなんて受け取れないわ! あたしが買った後なら、無料で公開するなりトウマちゃんの好きにして良いから!』


 思わぬ言葉をかけられて、私は返答に戸惑ってしまいました。けれど残りの二人も、ぜひ購入したいと言ってくれて……。あることを心の中で決心して、返答をしました。


トウマ『……ありがとうございます。じゃあ、夏休み中にはレシピが完成すると思うので、もうしばらく待っててください』


 私にとって「作り方を研究して見つける」ことは、呼吸をするのと同じくらい自然なことで。そのレシピを確立して、どうするのかまでは考えていませんでした。


 頑張って確立したレシピ。それをお金を出してまで購入したいといってくれる方々がいる……。それはとても新鮮で嬉しいけれど、どこかむず痒く……

 自分の知らないことや感覚に気づかせてくれるこの人達のことを、大切にしたい。そう、私は思ったのです――――

大遅刻しちゃいましたが!

ハンガリーはまだ月曜夜なので。。。!

(ものすごい無理矢理な言い訳でごめんなさい)


パズル書きタイプな作者河原ですが、最初のピースはここまでで、次のピースまではずいぶん遠く。


なのでリアルに今からこの続きを書きます。

明後日から小旅行に出発なのですが。間に合え木曜日ー_φ:(´ω`」 ∠):_



色々な所であります模倣問題。この問題にどう切り込むのか。ちゃんと解決するの⁉︎という心配は多分自分が一番してます(苦笑


が。最後まで(いけるといいなぁ)お付き合いいただけましたら幸いです!

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