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012. 賊との接触

 はぁっ……はぁっ……!


 バフ系のアーティファクト、私も欲しい……!


 晃生さんと別れてから十数分程。途中一回だけ呼吸を整える程度の休憩をして、私は先を急ぎました。


 目線を上に向けると、木々の葉の向こうに龍石神社の光と、白んできた空が混じり合ってきているのが見えます。


 空がだいぶ明るくなってきている――。

 龍石神社の光も、朝焼けに紛れてしまいそうですね……でもたぶん、もうすぐ石段が見えてくるはず――――!


 かすかに見覚えのある木や岩が見えて、私は走りながら行く先を見据えました。すると、突然大きな破裂音が辺りに響き、付近の鳥達が一斉に飛び立ちます。


 ――この音は――⁉︎


 音に驚きましたが、私はそのまま進みました。


 雑草まみれだけれど、足に石畳の感触――石段はもうすぐそこ――!


 石段に侵食しそうなほどに成長した大きな木々の間を抜けると、石段とその手前の少し開けたスペースに出ました。すると――


「逃げろ! トウマ!」


 晃生さんの叫ぶ声が聞こえました。

 見上げると黒い何かの影が石段の上の方から――⁉︎


 ここまで走ってきて疲労困憊な私は、とても俊敏に動くことはできず、急ぎ虹色の結界を張りました。


 物理的なものだったら、突き抜けてくるかもしれない。けれど、何もないよりは――――!


 ガゴッ‼︎


 何かがぶつかる音と同時に、強い衝撃――


 一瞬何が起きたのかわからなかったけれど、倒れ込む時に背後から聞こえた音に、私は後方の茂みにぶつかったのだと気がつきました。


「――っ――」


 結界のおかげで茂みに突っ込む事はなく、跳ね返って前のめりに倒れた私は、膝を石畳で擦ってしまったようで、そこに痛みと熱さを感じます。


 この結界、地面には届いていない――?


「トウマ!」


 晃生さんの緊迫した声が聞こえました。

 まだ危険は去っていないんですね――


 私は胸の奥にヒヤリとしたモノを感じました。


 賊が一人とは限らない。晃生さんが私を助けに来ることで龍石のガードが甘くなる、それでは本末転倒じゃないですか――!


「晃生さんは龍石を! 守ってください!」


 せめて自分の身は自分で守りたい。そう思ってなんとか立ち上がるものの、ここまで走ってきた疲労からか、足が震えて思うように動きません――


 震える両膝を両手で支えながら中腰で立っている私は……足手まといでしかないでしょう――。

 晃生さんほどとは言わないです……せめてもっと自分が動けたなら――!


 その時です、ポーチがオレンジ色に光り輝きはじめました。


「震えが止まった――?」


 震えていた足はしっかりと地面を踏み締め、力がみなぎっているようにさえ感じます。


 まさか、持ってきたハンドメイド作品のどれかが⁉︎ でも、壊れてしまうからアーティファクトの同時使用は厳禁って――!


 ゴッガゴッ


 結界に何かがぶつかっているのか、軽い音と振動を感じて私は膝から手を離し、上体を起こして周りを確認します。


 すると、黒い布で顔まで隠した黒ずくめの人が、結界に向かって刀を振りかぶっている姿が――


 まずい! 刃物は避けた方が良いって――――!


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