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氷の女王  作者: 中川 篤
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七幕 氷の女王の孤立



 二人が桜おばさんの自宅に戻ると、すでに桜おばさんが南署の人に事情聴取を受けているところだった。おばさんはかなり取り乱していた。オーバーともいえる身振り手振りで、ぼくがいなくなったことを説明しようとするが、警官はちょっとびっくりするくらい冷静な反応だった。


 南署から来たその二人組はまずは桜おばさんに落ち着くように言い、そっれから室内を一通り点検すると、事件性なしとでも思ったのか、連絡先だけ伝えて去っていった。


――「もしこのまま進展が無ければ、ここへ」


       ☆


――「ど、どうしよう……」

 桜おばさんが氷の女王に訊く。

――「どうするって……りこぉ」


 こんな時、おりこうちゃんことリコは本当に頼りになった。


――「ひとまず、待ちましょう。勇作くんの行きそうな心当たりはどこか、ないんですか?」

――「そうだ『作品』……桜おばさんの元居た会社の人が私たちに見てほしい作品があるって……」

――「じゃあ、まずそこに連絡してみようよ」


 氷の女王は皆川さんの連絡先を知らなかったから、横で話を聞いていた桜おばさんがスマホで連絡を取った。長い着信音の後、誰かが電話に出た。「はい」、「はい」、「はい」と桜おばさんは同じ言葉をくり返す。何が話されているのかはわからない。


 氷の女王はじれったくなって、桜おばさんからスマホを奪って、通話を代わった。


――「うおっ、きよちゃんか」

――「ゆ、勇作は!」

――「え、ここにはいないよ~」

――「じゃあ、どこにいるか、心当たりとか、ありませんか?」

――「う~ん知らないなあ~。ごめん! 今、立て込んでてさ。また後でかけ」


 言い終わる前に、氷の女王はスマホを切った。


       ☆


 (最低! 本当にクズ! 使えない!)

 口にこそしなかったが、氷の女王は内心で怒りまくっていた。しかも悪いことに、桜おばさんが、


――「……警察もああ言ってるし、……もしかしたら帰って来るかもしれないから、少し、待ってみない?」


 などと穏健派になってしまった。氷の女王は助けを求めるようにおりこうちゃんを見た。おりこうちゃんも言いたいことはあるようだったが、桜おばさんと同じ考えのようだった。

 ああ。

 そのとき、ドアベルが鳴った。そして声、

――「勇くんいますかー?」




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