男子校の姫はどうしても離れられない【その4】
そのまま2人は学校とは真逆の方向へ歩き出す。
学校の最寄駅から電車に揺られて、少し遠くの街にまで足を伸ばした。
人混みの中、薫は紡の腕にしがみつく。
「怒ってるんじゃないの?」
「紡が迷子になったら困るから…」
「ふーん」
少し気まずそうにする薫だったが、雑貨屋のショーウィンドウに飾られたうさぎの大きなぬいぐるみを見つけると、一転して顔色をパァッと明るくする。
そしてそれを指差すと、「行こっ!」と紡に笑顔を向ける。
紡は「はいはい」と面倒くさげに応えつつも、その視線は薫からは決して離さない。
店内に入ると、薫がうさぎのぬいぐるみのキーホルダーを手に取って、「これ、かわいい!」と目をキラキラと輝かせる。
紡は苦笑いしながらも、薫を黙って見守っている。
「お揃いにしよ!」
「やだ」
「いいじゃん!」
「やだ」
「どうしてー?こんなに可愛いのにっ!」
頬をこれでもかと膨らまし、薫お得意の怒り顔を見せると、紡はやれやれと言わんばかりに手を上げて降参する。
「分かったよ…」
「やったー、お揃いだー!紡も鞄につけてね!僕もつけるから!絶対だよ!」
「はいはい…」
薫は同じキーホルダーを2つ手に持つと、会計まで駆けていく。
その後ろ姿に紡は密かに優しい眼差しを向けた。




