男子校の姫はどうしても誘惑できない【中編】
胸元に大きなリボンのついたパステルピンクのワンピースは裾がふんわりと広がり、その上にフリルがふんだんにあしらわれた白エプロンを着けている。
薫の細く白い足に映えるレースのニーソックスには桜色のリボンのハイヒールが合わせられていた。
フリル、レース、全てが他のメイドとは違い、薫だけ特別な“姫仕様”になっている。
そして薫の地毛である金髪にはくるくると巻いたサイドウィッグがつけられており、美しいツインテールが彼をより一層美少女たらしめていた。
「休憩時間だからせっかくだし、売上に貢献しようと思って!」
「…楽しいか?」
「楽しいに決まってるじゃん!だって紡が執事で僕がメイドだよ? 絶対今からラブコメが始まっちゃうじゃん!」
紡は小さくため息をつくが、口元が僅かに緩んだのを薫は見逃さなかった。
「僕のこと、可愛いー!って思った?」
「いや、えっと…」
紡はちらりと薫を見るとすぐに視線を逸らす。そして頬をぽりぽりと指でかきながら、照れくさそうにぼそりと呟いた。
「うん、可愛い。今日は完敗だな」
「~っ!紡のそういうところ!本当に狡すぎる!」
薫は顔を赤くしながら、頬をぷぅっと膨らませる。
紡に案内された席に座る時にスカートの裾を押さえる動作も細い脚を組む仕草も見事なまでに姫そのものだった。
紡は薫の姫らしさに内心感服しながら、対面の席に座った。




