表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

愛するハーブティー

ラブ・アンド・ピース

作者: 沢崎照

爽やかな夏の恋は、甘いばかりでなく、

優しく美しい涙の哀しみにも満ちている。

たとえ知らなくとも、ルーツを愛そう。

それが、

愛と平和のベースになるのだと信じて。

 雨の季節が過ぎて、日差しが強くなってきた。朝から蝉が鳴き始め、ノースリーブのワンピースを夏物の衣類整理箱から取り出した。白地に向日葵のプリント柄。今年初めて、素足にサンダルを履いた。また、夏が来る。


 大学に入学して、この街に来て以来、夏には故郷に帰らないでいる。毎年、夏休みには、卒業後に就職した今の会社でアルバイトをした。先輩に、両親の友人がいた縁で知った会社であった。父も母も大学時代、この街にいた。


 --- あなたも、お盆には帰省しないのよね。


 先輩と両親は、同じ大学の広島県人会で知り合ったと聞いている。ただ、先輩は広島市内の出身ではなく、両親はどちらも市内で生まれ育った。


 仕事終わり、先輩に誘われて食事に行った。食事中は取り止めなく、仕事や流行の話をしていたが、お酒の時間となり、いつしか大学時代の両親の話になった。


 --- すごく仲の良い二人だったから、地元に帰って結婚するのよね?って気軽に聞いたのね。

 

 父も母も「結婚はできない」と即答したらしい。この話になるまで、二人が「被爆二世」ということを忘れていた。私が夏に帰省しない理由。原爆記念日からお盆まで続く、夕凪の街の暑く重い日々。両親もそうだったのだろう。祖父母が被爆者であった。父も母も健康ではあったが、かなり悩んだらしい。愛しあって結婚しても、子どもへの遺伝が心配だったのだ。


 --- 医療も昔とは違うって、二人の結婚を勧めたの、わたし。あなたが健康に産まれ、育っているのは、嬉しかった。暑中見舞いや年賀状、毎年楽しみだったよ。


 この人がいたから、私は生を受けたのだ。思わぬところに、私を愛してくれた人がいる。このお盆は帰ろう。川沿いを抜ける風。爽やかな夏の匂いがした。


ハーブティ「ラブ&ピース」

ペパーミントが効いた味わいのレモン系の爽やかな香り


ハーブティは、すっきりと爽やかなミントとレモンの味わいのブレンド。ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、マリーゴールド、ラベンダー、リンデンなど。ミントとレモンの爽やかさのなか、リンデンやほのかなラベンダーの香りでリラックス。スッキリ感とともに、しっかりとした味わいを楽しませてくれる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ