結末2
勇者ブレイブの結末を読むとよりおもしろいかと。
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数年前、”勇者“が生まれたその前の年。ヴェンデッダは旅をしていた。
死人であることを隠し、生者に紛れて。
ある日の深夜、ヴェンデッダは自分と同じ存在の気配を二つ感じた。
それだけでは何も感じなかったであろうが、その存在は一つの命、生者のすぐ隣にあった。
ヴェンデッダは少し気になり、様子を見ることにした。
「コープス、そろそろいいかしらね。」
「もう少しまってもいいかもしれないぞ、ライアン」
ベッドで眠る小さな子供は、すぐ隣で自分を喰らおうとする存在にきづかない。
ヴェンデッダは、気まぐれにも助けてやることにした。
仮にも今は、生者として生きて(死んでいるのだが)いるのだから。
音を一切立てずに二人の死人の背後へと回る。
そして一突き。死人の肉体を形成する核を破壊する。
二人の死人は膝から崩れ落ち、小さな子供に覆い被さった。
それがよくなかった。小さな子供は目を覚ましてしまった。
「フェイクお父さん?ハッツァお母さん?」
死人共は名前を偽っているようであった。
小さな子供の思考ではすぐに状況を判断することはできなかったが、自分が憎むべき相手は理解していた。
自分を育ててくれた親、その存在が自分を狙う死人であったことを知らなかったが故に。
小さな体に収まりきるはずもない憎悪を容赦なくヴェンデッダに向ける。
それに気を取られていたからであろうか。ヴェンデッダは、コープスと呼ばれた死人の核がまだ消滅していないことに気づくことができなかった。
その翌年、ヴェンデッダは魔王となる。
そのほぼ同時に勇者が生まれる。
魔王を殺しに行くことに、理由が必要ない存在が。
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そして現在____
魔王となったヴェンデッダと、かつての小さな子供、勇者ブレイブが対峙する。
「追い詰めたぞ、魔王!」
その身に似合わない大剣をこちらに向けてくる。
しかし、ヴェンデッダの意識は勇者にはむいていなかった。
(何故だ、何故ここに居る?!)
その視線の先には、かつて自分が殺したはずの死人、コープスがいた。
コープスはなんの反応も示さず、ただ佇むだけだった。
「愚か者が。」
ひとまず声をあげるが、その心は動揺で満ちていた。
考えることに意識が向き、ヴェンデッダの動きが止まる。
その瞬間、勇者ブレイブがとてつもないエネルギーを発し、突っ込んできた。
ヴェンデッダは再び動揺する。
(強い。)
最初はブレイブを殺さないように軽くあしらおうと思っていたヴェンデッダだが、それはできないと悟る。
(いいぞ!いいぞ!こんな闘いをするのは魔王の座を奪ったときどきぶりだ!)
ヴェンデッダはブレイブに尊敬の意さえも覚え、対話を楽しんでいた。
忘れてはいけない存在がそばに居ることを意識の外へと追いやられることに気づかずに。
それはそのはず、それはコープスの能力であった。
《断罪の刃》
勇者から放たれる攻撃を受け、ヴェンデッダも攻撃を返す。
《暗黒の鉤爪》
感謝の気持ちがあるのは事実だ。だが、昔のことを思い出すと、哀れに思えてくる。
ヴェンデッダは受け入れることにした。
だから、ブレイブが死なない程度の力で攻撃(言葉)を放つ。
演出された相打ち。それが二人の闘いの終わりだった。
ヴェンデッダは満足し、力を抜いて目を閉じる。
そのとき、自分を形成する核に激痛がはしる。
驚き目を開けるが、もう遅かった。
自分の胸に、ナイフが刺さっていた。
言葉を放つ暇もなく、意識が遠のく。
悪意が籠もったコープスの笑みを見るのを最期に。
嗚呼、終焉の結末だ。
感想ください。
コープスもやるかも。




