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次の階層を探して

 俺たちはこの結論を委員長と先生へと伝えに言った。まだ足は腫れあがっており、痛々しい。委員長達が、側にいてくれたようだ。ふとトモキのことを思い出し視線を彷徨わせると、部屋の隅でうずくまり、いつものベッタリのユイとエミは側におらず、ショウタだけが側で励ましているような様子だった。うん、放っておこう。


「気にしないように言ったんですけどね。少し時間が必要なんだと思います」

「あー、まぁそうでしょうね」


 察したようでさくら先生が痛々しそうにトモキのほうへと視線を向けているが、俺はそう殊勝な理由ではないだろうと思う。あえて指摘はしないが。正直そんなことにかまけている時間は俺たちにはない。


「先生、その時間ですが、あまり悠長に構えてられないかもしれないです。今後について相談があるんですが、とりあえず委員長達と一緒に聞いて判断してもらえますか?」

「えっ、私たちも?」

「他の奴らをまとめるのに共有は必要だろ?」

「お願い! アヤカとヒナにしか頼れないの!」

「うーん、メグミが言うならしょうがないかなぁ」

「俺が言った時と反応が違う……」


 俺の提案に渋っていた委員長達も、なぜかメグミがお願いすると素直に聞いてくれるようだ。女子達の仲間意識はよくわからん。聞いてくれるならまぁいいけど。俺とレンの結論を伝え、どう動くつもりかを伝える。


「なるほど、猶予期間の内に、毎日限界である50Pを、それぞれに集めておいて欲しいわけですね」

「あくまで予測ですけど。日にちでリセットされる保証もないです。端末の時間で0時を過ぎてから検証するつもりですけどね」

「でもさ、ヒロトとレンの推測だと、50Pじゃ猶予期間後は足りないんでしょ? どうするの?」

「そうそう」


 委員長ズの疑問に、レンが待ってましたと言わんばかりに前へでた。


「そこで猶予期間という時間を利用するために、先遣隊が必要なんだよ」

「先遣隊?」

「ゲームみたいな設定なんだし、これでDP打ち止めとかクソゲーすぎる。多分先に進まないといけないんだ。エリアわけされているのか、やっぱり階層だったら階段があるのかはわからないけど、だいたいこうゆうのは制限が解除されるもんなんだよ」

「でも、生徒を危険な目に合わせるわけには……」


 レンの熱の入った説明にも、先生は責任感からか弱気の意見だ。でもこのままじゃジリ貧だ。


「先生、リスクの分散のためにも、まずは俺たちだけで行ってくる必要があるんです。3日後にいきなり詰むことのないように、DP集めと物資の確保をしていて欲しいんです」

「でも……」


 先生の視線が悔しそうに自分の足へと向いている。まだ迷いがあるようだが、心配はなさそうだ。


「先生大丈夫、私が危ないって思ったらひきずって連れ戻すから! サトシが!」

「任せろ!」

「……わかりました。不甲斐ない先生ですみません。メグミさん、みんなをお願いね」

「まっかせて!」

「先生とみんなのことは私たちが支えるから、無理はしないでもどってきてね。DP集めと物資の拡充はみんなに投げかけておくから!」


 女子達の結束は固い。それが厄介なことも多々あるが、今回はだいぶ助けられたらしい。俺とレンが問題児っぽい扱いなのが納得いかないが、ここで余計なことを言うと拗れるのも知っている。俺は大人なのだ。


 今後の方針が決定した。俺たち4人が先遣隊として次の階層への階段、もしくはフロアを探索する。どれぐらいかかるのかわからないので、猶予期間が終了するまでには戻る。その間拠点組は稼げるだけDPを稼ぎ、最低限の物資を確保。DPを56Pは残しておくように調整する。この方針は先生と委員長達が全員へと通達した。特に反対意見はなかったらしい。協力しようって意見もなかったらしいが。


 端末時間で0時を目安にDPを稼ぎにいくと、予測通り制限が解除されており、限界値も検証通りだった。端末時間を信じるなら夜のはずだが、昼間と同じように明るいことから、ダンジョンである可能性も濃厚だ。


「対処さえわかればヌルゲーだなぁ」


 俺は3人と離れた場所で目をつむり、しばらく経ってから首筋をペシリと叩くと幻惑蝶を倒す。さて合流するかと歩き出した時に絡んだ蔦を引きちぎり、独りごちる。これを繰り返してすぐに50Pになり、いくら待っても蔦も蝶も沸かなくなった。初見殺しというだけだったな。


 すぐに俺たちは戻り、制限リセットを先生に報告すると、薄い毛布に包んで目を瞑る。固く冷たい床のせいか、それとも未知へと向かう恐怖か興奮か、なかなか寝付けないうちに、セットしておいた端末の目覚ましが鳴った。


 さぁ、冒険の再開だ。

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