情報整理と今後
あけましたね。おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします!
俺が目を覚ますと、目の前にサトシの顔があった。
「ホブゴブ↓リン↑?」
「おーい、起きたぞー!」
なぜかいい笑顔で力瘤を作ったあと、レン達を呼びに行った。褒め言葉と勘違いしてないかあいつは?
「よっ、目覚めはどうだ?」
「結構寝てたけど大丈夫?」
なんとなく周りの視線も感じたが、すぐに興味を失ったかのように視線は外れていく感じがする。まぁ、いつも通りだ。レンがミジンも心配してなさそうな声で、メグミが心配そうに俺の顔を覗きこんだ。ちょっと近い。
「んー、体いてぇ」
「きゃっ、ちょっとー!」
硬い床に薄い毛布一枚で寝ていたせいか体の節々が痛い。気恥ずかしさからメグミの頭を軽く押しのけると、上半身を右へ左へと捻ってほぐす。
「筋トレするか?」
「しねぇよ!」
なぜ体が痛いと言うのに、筋トレをするのか。真面目に心配している顔で言うからサトシはタチが悪い。筋肉をいじめ抜いて悦にひたる趣味はないわ。
「んで、俺が寝こけている間に進展あった?」
「おぉ、大アリだぜ。説明はレン様に任せとけ」
「よろしく〜」
「頼んだ!」
なんか色々話したそうにしているレンに話をふると、説明をぶん投げできると他の2人も嬉々としてレンに話を促した。ふぅーん、ほぉーん。……なるほどねぇ。
「インベントリに、譲渡条件か、それに幻惑蝶の出現条件に獲得DPの制限? 俺どれぐらい寝てたん?」
レンから出た情報の多さに若干の混乱を覚えつつ疑問をなげかけると、半日ぐらいは寝ていたと返答がある。情報を求めた時に、端末で時間がしれることがわかったらしい。
「レン働きすぎだろ?」
「へへっ、まぁな」
「ちょっとちょっと! 女子達は私が仲介したし、検証にだって付き合ったでしょ!」
「うむ、身体を張ったのは俺だな!」
半日で集めた情報の多さに思わず心の声が漏れたが、協力してことにあたっていたらしい。
「ま、家宝は寝て待てっていうしな」
「「「リアルに寝てたやつに言われるとちょっとむかつく(な)(わ)」」」
3人に頭を軽くこづかれる。今更ながら無事に戻れたことに嬉しくなり顔を合わせて笑い合った。
「インベントリはまさにゲームっぽい機能だな。譲渡に関しては抜け道あり。契約に近いか。幻惑蝶の条件と獲得DPなんてよく調べがついたなぁ」
インベントリは端末を介すれば誰でも使用可能。他人のものはしまえない。容量は現状不明。DPを使用しないとアイテムは譲渡できないと思っていたが、DP意外に方法があるとわかっただけでも儲け物だろう。しかし、判断は何がしているのか疑問だ。端末から声が聞こえたらしいからパンドラシステムだろうか?
「幻惑蝶は1人かつ、誰からの視界にも入っていない時限定で現れる。か、よくわかったなぁ」
「レンが条件を指定して1つずつ試して行ったの」
「地面に寝そべるとか、悪態をつくとかしたぞ!」
「なぜ?」
「いや、トモキが初犯だし?」
「言い方! しかも俺もなってたんだけど!」
「おう、だから走り回ってもらったり、転んでもらったりもしたぞ」
「あっ、そう……」
レンがドヤ顔をして答える。あらゆる可能性を試したんだろう。サトシはあっけらかんとしているが、メグミはげんなりとしているのが表情から見てとれた。思わず同情の眼を向けると、苦笑いしていた。お疲れさん。付き合わされたほうはたまったもんではなかっただろうな。そんな苦労を知ってか知らずかレンの説明は続いた。
「友好的に協力をお願いした結果。1人あたりが入手できるDPは50P。2人で行動している場合合計100Pまで取得できる。片方が30Pで、もう片方が70Pを取得しても、片方が100P取得だったとしても、蝶も蔦も出現しなくなった」
「うーん、そのあと別行動したら?」
「だめだった。半端で別れても蓄積は変わらない。これが意味することわかるよな?」
「あぁ、そうだな」
「えっ? どうゆうこと?」
「うーむ、また2人だけでわかったような感じをしているな。説明を求む!」
このクラスで友好的な人数なんて少ない。多分協力という名の買収でもしたんだろうな。いまのところわかっている情報から、3日間が終わったら1日に最低限必要なDPは56Pは必要となる。協力しても1人50Pだと足りない。つまり……。
「「俺たちは次の階を探さないといけないってこと」」
俺とレンが同時に答えを伝えると、サトシは仏頂面で、メグミは嫌そうな顔をして階段を見つめた。