街へ③
魔力回路の増強の為、ソウは地面に座り自身の魔力を体中に巡らせるように両手を合わせて集中する。
魔力の発生器官はちょうど心臓にある。
魔核が心臓に着いてるのは発生器官があり強力な魔力を保有しており長い年月で魔核へと結晶化する為だ。
では人間には魔核は存在しないのかと言えば否であり中には魔核を保有している人間もいる。
大体の人間は魔力量が少なく結晶化することなどは無いが稀に魔力量も多く結晶化して魔核を保有する人間も現れる。
そういった人間は軒並み外れた身体能力を持ち強者と呼ばれる存在へとなる。
「ふー、それじゃ始めるか!」
まずは体の中心から左手に魔力を移しそれを右手に移す。
中心に戻した魔力を右足へ移しまた左足に移す。
これを徐々に魔力量を増やしながら素早く行っていく。
最初は何ともなかったが徐々にピリピリとした痛みを感じるように最後には魔力を通した身体に電流が流れたような衝撃を感じるようになってからソウは1度魔力循環を止めた。
「なるほど、確かにこれは夜にやるべきだ…」
痛みと痺れの残る身体を摩りながらソウは呟く。
「痛みは多少残るがそれ以上に痺れが酷いな…動けなくはないがこの痺れで動いたりはしたくないな」
正座の後の痺れを感じながらソウはそのまま横になった。
(明日には村か街を見つけたいな…通行料などのお金はないけど良く魔物の皮や素材などで通行料の代わりにしてくれる異世界ものもあるし大丈夫かな?一応光魔法の結界を張ってあるしこのまま寝ても大丈夫だと思うが…)
ソウは多少の不安を感じながらもあれこれと考えている間に徐々に眠りに入っていった。
徐々に空が白みはじめてきた頃、ソウは身体の冷えから目を覚ます。
「うぅ…寒い………」
身震いしながら目を覚ますと焚き火の火が消えているのが見えた。
「いつの間にか眠っていたのか……結界は…異常はないな」
身体を起こしながら焚き火にもう一度火を付けて枯れ木を投げ込む。
水魔法で水を出し口を濯ぐと冷えた身体を温めるように暖を取る。
「あら、早めのお目覚めね」
そう言ってルビーが話しかけてきた。
「寒くて目が覚めたんだよ…素朴な疑問だけどルビー達は眠るのか?」
「力が急激に減ることがなければ眠ら無くても特に問題ないわね。実際昨日は私も周囲の警戒をしていたし」
「そうだったのか。ありがとうルビー」
「べ、別にあんたの為にやったんじゃないわよ!ただの暇つぶしよ!」
そう言うとルビーはしばらく返事をしてくれなくなった。
ルビーの機嫌を直して出発の準備を終えソウは小川沿いに歩き始める。