街へ②
魔核の吸収も終わりソウは街へと向けて歩きだす。
「この辺に街なんてあるのか?」
「主様が生きてた頃にそんなモノはなかったはずよ」
「その辺りはわからないのか…まぁ歴史では川沿いに街は出来るっていうからしばらく川沿いに下っていくか」
ソウは川の位置を確認しなが森の中を疾走する。
「そういえばルビー創造魔法での制約は魔法を使う本人だけなのか?」
「必ずしも本人の制約とは限らないけど別の人での制約となるとその制約はより厳しくなり下手したらその人の生命さえ奪う可能性があるわよ」
「つまりは生贄と一緒ってことか…自分への制約だけで頑張るよ」
ソウは自身の為に他人を犠牲にするやり方はちょっと気が引けるなと考えながら周囲の様子を観察しながら質問する。
「創造魔法は便利だけど魔法を使うには毎回あんなに魔力を使うのか?」
「初めの創造に魔力を多く使うけど2度目からはそこまでではないわ。それでもソウの魔力ならの話だから普通の人にはまず使うことは出来ないわね」
「そうか、ならやるべき事は決まってるな」
「ええ、まずは魔力量と魔力回路の強化ね。夜にでも教えてあげるわ」
「何で今教えてくれないんだ?」
「教えたらソウはすぐに試そうとするでしょ?そうすると困るもの」
ここでの魔力強化のやり方を聞いて試したら困る理由を想像すると嫌な予感しかしないのでソウは少し力を入れて走るようにした。
森を走ること3時間ソウはやっと森の出口へと到着する。
森を出ると草原が広がっており目印にしていた川は小川と呼べるくらいになっていた。
森を出るまでに幾つかの魔物と遭遇しそうになったがその度に気配を殺したり全力疾走で走り抜けるなどして戦闘を回避していた。
「何で戦わないで逃げるのよ?あなたは龍族なのよ!」
「って言われても地球の記憶があるからな。戦闘よりもこの世界をもっと見たいんだよ」
ソウは森の出口にあった石の上に座りながら応えた。
「森の出口に近づくに連れて凶悪な気配は無くなってきてたし一先ず今日はここで野営かな。」
ソウは見晴らしの良い場所に移動しながら枯れ木を集め始める。
「異世界でキャンプとか緊張するな」
集めた枯れ木を立てかけるように起き火魔法を発動する。
焚き火がちゃんと燃えるのを見てから影収納から狼の肉を取り出す。
肉を風魔法でちょうどいい大きさに切り分けて枝に刺して程よい距離で炙っていく。
「狼の肉なんて食べたことないけど大丈夫なのかな?まぁ多少の毒は効かない身体になってるし目の前に肉があるなに食べないのもな…」
最初は警戒していたが肉が焼けるにつれて香ばしい匂いが漂ってきた。
「このまま肉の匂いが森の方にいくのは怖いな…」
ソウは風魔法を使い匂いを外に出さないドームを創る。
そうこうしてる間に肉が焼けたのでソウは目の前に肉串を持ってきてかぶりつく。
「……うっま!! なんだこれめちゃくちゃ美味しいぞ」
あまり味には期待していなかったソウだが余りの美味しさに夢中になって食べ始めた。
夢中で食べているソウにルビーが教えてくれる。
「魔物は魔力の強さで美味しさが決まるの。仮にも魔核があった狼だものその辺の魔物よりも美味しいはずよ。」
狼の肉を食べて満足したソウは寝る前に魔力強化のやり方をルビーに聞く。
「基本的に魔力量は魔核を吸収していけば体内の核も復活していき魔力量も増えていくわ」
「そうなるとやぱり強い魔物と戦わないといけないんだな?」
「そうね、でも今のソウだと魔力回路が細いから高出力の魔法を出そうとすると回路を傷つけてしまうわ」
「そうならない為に回路を大きくするわけだな」
魔力回路の説明は意外と単純だった。
魔力回路は修復時に強く太くなっていくので流す魔力を少し大き目に流して回路を少し傷つけで回復によってより大きくしてくのだそうだ。
ただ魔力回路を傷つけるのは結構な痛みを伴うのと回路を大きく傷つけてしまうと元に戻らなくなるので最初は特ににしなくてはならない。
特にソウは魔力量はすでに結構多いのでより慎重に行わなくてはならないとのことだ。