反省会と防具⑨
勢いよく扉を開けて入って来たのはソウが想像していた兄弟のブルタリ本人だった。
ブルタリの後ろには兄を馬鹿にしたような目で見ている弟のクローティの姿があった。
ソウが居たことに驚いたのブルタリが大きな声を上げる。
「ソウ!!こんな所で何してるんだ!まぁいいか!勝負しようぜ!」
(やっぱりこいつは脳筋だ・・・)
ソウはブルタリの予想通りの発言の流れを無視して弟のクローティへ話しかける。
「お前たちは何しにここへ?買い物か?」
ブルタリは自分が無視されたことに困惑などはせずに周りで騒いでいたのをギランの爺さんにハンマーで殴られて大人しくなっていた。
クローティはソウの質問に対して目を少し細めて少し薄ら笑いを浮かべて答える。
「いえ、買い物では無く武具の修理です。バカタリのガントレットは誰かさんにボコボコに殴られて凹み過ぎましたし、私のサイも少々欠けてしまいましたので」
その言葉を聞いたソウは思い当たる節があるが敢えて惚けて聞いてみる。
「そんなに強い魔物がいるのか、街の外は危険がいっぱいだな・・」
クローティはソウの惚けに気づいてはいるが敢えて触れずに返す。
「そうですね。街の外の魔物も危険ですが最近は街の中にも危険があるかもしれませんので注意してください」
「ああ、気を付けるよ。ありがとう。」
クローティにそう告げるソウはギランの方を向き防具の出来上がる日にちを聞く。
「2日あれば坊主のサイズに合わせてやるからその時にまた来い。その時はダンとサナのうまい飯も一緒に持って来い。そしたら少し値引いてやる」
その言葉を聞いたソウはギランにお礼を言おうとしたがブルタリが起きそうになったのでそのまま頭を下げて扉を出る。
クローティもブルタリが起きてまた騒がしくなるのを嫌がったのか自分の言いたいことは言い終わったからか何も言わずにソウを通してくれた。
扉を出たソウが一息付くと中からギランの怒鳴り声が聞こえてきた。
「あれほど大切に使えと言ってるのになんじゃこれは!!」
心当たりがあるソウは一目散に走ってギランの店を後にした。
ギランの店に防具を預けてから数日たち無事に防具を手に入れてからもソウは四苦八苦していた。
「違う!違う!ここはちゃんと磨かないとすぐに変えなきゃいけなくなるんだぞ」
ダンからの怒声にも似た声で指導を受けているソウは思った。
手入れの仕方を教えてくれなんて言わないでメンテナンス魔法を創れば良かったと・・・
ダンさんとサナさんの料理を持ってギランの店から防具を着て帰ってきたソウは早速ダンに装備姿をお披露目した。
「おぉ、随分と立派な姿だなソウ!防具も新品の頃のようだ!」
「ギランさんがちゃんと手入れしてあったから取り換えるパーツも少なくて儲けが少ないってボヤいてました」
ダンは感慨深かったのかソウの姿を見て涙が出そうになっていたがギランからのその言葉を告げると堪えきれなくなったようで後ろを向いて肩を震わせていた。
ダンが落ち着いてソウの方を見たのでソウはダンに装備の脱ぎ方とつけ方を見てもらった。
平和な日本で暮らしていたソウはもちろん防具のつけ方など知らないので付ける時はギランに手伝って貰ってやっとつけたのだ。
ダンの助けを借りて装備を外して付ける作業を練習して何とか一人で付けられるようになり落ち着いているとダンは布切れと油みたいなのを持って戻ってきて言った。
「ソウ、武具の手入れの仕方を教えてやる!」
ソウも武具の手入れをするのに少し憧れがあったので二つ返事で了承したがそれが間違いだった。
長年大切にしていた武具がまた新品のようになって戻ってきたので熱の入りようが凄かった。
何とかダンの指導に耐えて夕食を済ませたソウは明日のランクUP試験のことを考えて眠りに付くのであった。
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