双頭狼 討伐④
目の前に出現したのは体調2m程はある犬型の魔物だ。
なぜ魔物だと判断しのかと言うと顔や体はソウが見た事のある犬型の動物にそっくりなのだがその部分は地球では見た事がないからだ。
もちろんアニメや漫画などでは見たことがあるのだが頭が2つある犬型の動物はどう見ても魔物だ。
ソウは少し戸惑っていたが戦闘とは全く別のことを考えていた。
「えーと何だっけ、ケルベロスは頭が3つだったし……そうだオルトロスだ」
ソウが地球での名前を思い出した瞬間、目の前のオルトロスと命名した魔物は咆哮を上げた。
「グオォオォオ!!!!」
ソウを弱い獲物と思い込んだのだろう、オルトロスは咆哮を上げると共にすかさず左右に移動しながらソウへの距離を詰めてきた。
「クソ、想像より速いな」
ソウは距離を詰めてくるオルトロスの動きを見ながらオルトロスの攻撃の瞬間を見逃さないようにした。
オルトロスはソウが逃げないことを認識し20cm程の口を開け勢いを付け飛んだ。
ソウは自身の首へと向かって突き立てようとしてきた牙を左に避けながら右上から剣を胴体へ向かって振り下ろした。
「グウウゥ」
肉を切り裂く感覚が手に伝わり若干躊躇うソウだが胴体への一撃によりバランスを崩したチャンスを逃すまいとオルトロスに向かい再度一撃を叩き込もうとした。
だがオルトロスの右前足が振り上がったのを見てソウは一旦大きく距離をとった。
オルトロスはソウが距離を取ったのを見ても構わずその尖った爪を振り下ろした。
ソウはオルトロスの意味の無い行動を不審に感じたが次の瞬間には目の前に鋭い音を立てながら何かが迫ってくる感覚がするのだ。
ソウはその音を聴きながら嫌な予感がして咄嗟に左に飛んだ。
次の瞬間にはソウが避けた後ろの木に大きな切り傷が付きメキメキとした音を立てているのを確認したソウは態勢をら立て直して剣を構える。
「やっぱり魔物なんだな…魔法まで使ってやがる…しかも見えないのが厄介だ」
内心で驚愕しながらオルトロスの様子を観察する。
オルトロスも目の前のソウに付けられた傷が想像以上に深くその場を動かずにじっとソウを睨みながら威嚇の唸りをあげている。
オルトロスにしても目の前の餌だと思っていた動物に反撃を位驚いている。
またソウは深手とは思っていないがさっきの一撃は内蔵付近まで達しており普通の剣であれば出血が止まらずにオルトロスは間もなく絶命していたであろう。
しかしソウの剣は赤龍の逆鱗から創り出せれた剣なので当然火属性を持っている。
魔力を流すことで刀身が熱せられ最終的には炎を纏うことも可能な武器である。
ソウ自体は緊張していないと思っているがやはり初めて戦闘によって緊張しておりさっきの反撃の際にも魔力を無意識に刀身まで流しておりオルトロスの胴体部分を焼き切っていたのだ。
オルトロスに取っては焼かれたことにより傷口が多少塞がり出血が少なく済んではいるがそれでも内蔵までダメージがあり動けないと言う状態だがソウはそれには気が付かなかった。
ソウにしてみれば避けながら入れた一撃がオルトロスに大ダメージを与えているとは考えてなく次の攻撃に備えその場で剣を構えている。
(さっきの一撃も結構深く入った気がしたけど血が余り出ていないな…しかし思った以上に恐怖心無く戦えているな)
ソウは魔物が想像以上に体力のある存在だと感じどうやって倒すかを考えつつオルトロスを観察する。
ソウに取って魔物は未知の生物であり解からない以上、目の前のオルトロスを最大の脅威として自分から攻撃することへ慎重になり膠着状態となる。
(とりあえず動く気配は無さそうだが迂闊に近づけばさっきの魔法の餌食に…魔法そうか別に剣で攻撃しなくても…やっぱり自分も緊張していたんだな)
オルトロスもこのまま動かなければ自分が死ぬことを悟り雄叫びをあげ右前足を振り上げた!
「グアアァァァォ!!」
右前足を振り下ろした瞬間さっきとは違い複数の鋭い音がソウに向かって迫ってきた。
ソウはすぐさま剣に送っていた魔力を止め変わりに右手と左手に魔力を込めて周囲に光の結界を創った。
迫ってきた不可視の魔法が光の結界に当たり弾ける音がする不可視の攻撃は左から1つ、中央から2つ、後ろから1つと音を立てやがて音はしなくなった。
すかさず人差し指の第2関節まで貯めた魔力で【水弾】をオルトロスの顔目掛けて放とうとしたが既にオルトロスは絶命していた。