訓練⑦
ソリドが脱落してからのセイバーズの立て直しは早かった。
ハンドは何とかピリオを倒して3対1の状況を作りたかったが叶わなかった。
「なんだコイツはアレだけハルバードを振り回して起きながらまだ動けるのか……」
ハンドはハルバードによる攻撃を回避しながら不意打ちを喰らわないように疲れた所を仕留める作戦だったがピリオの底知れぬ体力によりその作戦は失敗した。
ピリオを倒せないと判断するとハンドは2対1での攻撃を受けないように一旦2人から距離を取り後衛の2人の元に戻った。
そのタイミングでクローティもピリオもハンドを追うことをせずに2人で周りを警戒しながら相手の様子を伺う。
ハンドが2人の元に戻ると弓士のアーチから謝られる。
「済まない。ソリドへの助けが遅れた」
「ソリドがクローティにこだわって少し距離を離していたのだから仕方ない。それに何度か牽制の矢は放とうとしていたけどクローティが上手いこと射線に俺が入るようにしていたりしたからな」
「そうですよ。そんなこと言ったら私は何も活躍していませんから立場がありません。」
そう言ったのはパーティの回復士のリカだ。
回復魔法の使い手は貴重なんだが前のパーティでは甘やかされたのか余り戦闘には参加していなかったらしい。
彼女は回復士としてはそれなりに優秀なのだがパーティでの戦いには少し不慣れなので今回の戦闘にも参加させている。
「偉そうに言うな!何度か回復魔法のタイミングが外れていたぞ」
そう言うとリカは申し訳なさそうに俯いたが次の言葉を聞くとその表情は一変した。
「だが何度かタイミングがいいのはあったぞ」
この世界の回復魔法は傷の再生等は出来るが無くなった腕や足を生やすことは出来ない。
またある程度の原型があれば手や足などをくっつけることも出来るが時間が経ちすぎたりしてしまうと後遺症が残るケースがある。
だから回復魔法が使える者は貴重ではあるが冒険者である以上戦闘に参加しなくてはならない。
戦闘に参加したくない者は協会や治癒院等で治療を行う者がほとんどだ。
協会ならある程度の所からは守って貰えるが養える人数にも限界があるのと協会に入った場合は最低でも5年から10年は出られなくなる。
治癒院の方が人数に制限は厳しくあり治癒院の収入以上の人数は雇うことが出来ないり
また場所によっては貴族からのしがらみもありちゃんとしていない所だと回復士が貴族に攫われることや寄付金をチラつかせ夜の奉仕をさせるなんて話もあるらしい。
なので協会には入りたくない者やちゃんとした治癒院に入れない者は冒険者になるものも少なくはないらしい。
リカもその1人でタギアツの治癒院がまともなので入ろうとしたが人数が超えており入ることが出来ないで冒険者になった。
最初はセイバーズでは無く別のパーティに入って居たがそのパーティが解散したのでウチに来たのだ。
そんなやり取りをしているとアーチが割って入る。
「しかしどうする?普通ならクローティにハンドでピリオにアタシだけどアイツらも流石にそれはやらせてくれないだろ」
「そうだな。だからといって相手に合わせる必要は無いからな!相手の嫌がることをやりながら勝負を仕掛けよう」
そう言うやいなやハンドは2人の所へ向かって駆け出す。
最初に動いたのはクローティでハンドが距離を詰めるのに対して自身も距離を詰めてくる。
「何だ勝負を諦めたのか?」
そう言いながら攻撃を繰り出そうとするハンドだが微かな違和感に踏み込むのを止める。
「やはり気付きましたか……」
ハンドが進もうとした先には鉄線が貼られておりあのまま手を振り下ろす動作に入っていたら丁度腕の位置に鉄線が当たっていただろう。
「幾ら回復魔法があっても腕を切り落とされたら直ぐに集中して治さないとくっつかないぞ……」
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