訓練①
ギラン爺さんにスクリューキャップの説明をしたソウはダンは宿屋に戻っていた。
説明を聞き終わったギラン爺さんは早速制作に取り掛かってソウもダンも置いてけぼりだったからだ。
しかし宿に戻ったソウとダンを待っていたのは試食で置いていったパンを食べた客達からの質問と追加注文の嵐だった。
これはレナが自分が作ったパンを他の人に食べさせてしまったことから始まりその美味しさに誉められたレナがそのまま残りのパンを食べさせてしまったからだ。
あの年齢の子が自分が作ったパンを自慢したいのは仕方ないので怒ってはない。
それに怒ってしまうとパンを置いたまま離れたサナさんにも責任が出てきてしまうのでとりあえず残りの材料で作れるだけ作り振舞った。
そして新たに作るには材料が必要な為、作れるようになったら事前にちゃんと告知することでちょっとした騒動を治めた。
ソウはパン作りでヘトヘトになったが夕食を済ませて部屋で魔力回路の拡張を行ってそのまま寝てしまっていた。
翌日は朝食の席でも数名の客に早く材料を取ってくるように急かされたり告知はかなり前からしろなど言われるので急いで食べてギルドに向かった。
ソウがギルドに着いて扉を開けて中に入ると依頼を見ていた何人かはソウの方を見てまた視線を依頼ボードに戻す者とソウをそのまま見続ける者など様々だ。
酒場で騒がしかった何人かもソウを見て仲間に小声で話始める者も居た。
『何だか凄い視線を感じるな』
『それだけ目立ったってことなんでしょ?』
『多分そうだけど賭けの件で恨まれたりしてても嫌だな…』
ソウは少し緊張して真っ直ぐ受付に向かいリアナに話しかける。
「リアナさん、こんにちは。ラルグさんは資料整理終わってますか?」
「こんにちはソウさん。ラルグからソウさんが来たら試験を行った会場に来るようにって伝言を預かってるわ」
「分かりました。リアナさん何か俺凄い視線を感じるんですが恨まれてるんでしょうか?」
ソウが視線のことを尋ねるとリアナは少し可笑しそうに笑い教えてくれる。
「恨まれてると言うよりどうやってソウさんに話し掛けるか窺っているのよ。私にも何人かが取り成しを頼んで来たもの」
「それはラルグさんと互角に戦っているように見えたからですか?」
ソウの疑問にリアナは答える。
「そうね。少し手を抜いていたとはいえギルドに入ったばかりの少年が仮にも元A級と互角に戦い勝利したなんてなれば注目されるわよ」
ソウ自身もそれを感じていたが実際に戦った感じとしてもラルグはまだまだ実力を隠しているのは伝わっていたのでソウは慌てて否定しようとしたがそれより先に声が割って入る。
「お前がソウか?俺らとパーティを組もうぜ!」
そう言ってソウに話しかけてきたのは対象的な感じの2人組だった。
1人は赤髪短髪の男でいかにも喧嘩が好きそうな見た目をしている。
もう1人は青髪のロングで髪は後ろで縛っているが人懐っこいような顔の裏でどこか闇がありそうな感じだ。
「あっ、えっとどちら様でしょうか?」
ソウがぎこちなく返すとさっきとは別の人物が答える。
「すいません。このバカが話をすっ飛ばしてしまい。私はクローティでさっきのバカはバカブルタリです。」
そう言いながら目を細めて笑ってくる。
すると最初に声を掛けてきた方がクローティの胸ぐら掴んで言う。
「いつも言ってんだろ!俺の名前の前にバカは要らねーってよ!俺はブルタリだ!バカブルタリじゃねー!」
「なら初対面の彼にいきなりパーティを組もうと誘う前にやることがあるでしょう!彼が怪しんでましたよ」
「いいじゃねーか!向こうの奴らみたいに何も言わずに見てるだけより声掛けちまった方がよ」
「確かにそうですが、順序があると言っているのです」
2人の怒鳴り会いがヒートアップすると周りの冒険者への悪口もヒートアップしてきて話を聞いていた冒険者達にも少し殺気が出てきた。
「はい、そこまで!」
そう言って2人の言い合いを止めたのはソウが会いたかったラルグであった。
サブタイトルは変えるかもしれません。
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