図書館とパン作り⑨
『うわ、ルビー見ろよ本物のドワーフだ!街中でも見掛けたけど近くでやっと見れるぞ!小さいけどやっぱり腕とかは筋骨隆々って感じなんだな……』
『アナタ獣人を見た時も同じような反応してたわよ』
『しょうがないだろ。元の世界には空想でしかいなかっただから』
『はいはい、それも聞いたわ。それより早く体を乾かしなさい。ソウは大丈夫でも獣人さんは風邪を引いちゃうわよ』
『確かに…ルビーこの話はまた今度するからな』
『ソウの話が長いから嫌よ』
そう言うとソウが話し掛けてもルビーは返事をしなくなった。
仕方なくソウは風魔法と火魔法で温風を作り濡れた体を乾かしてからギランさんの店に入る。
その時にダンさんに少し驚かれたがダンさんは深く追求せずそのまま一緒に乾かされた。
ギランさんの店に入るとそこには様々なモノで溢れていた。
武器や鎧が置かれていたり生活雑貨のような鍋やフライパンなども置かれている。
現代だったら雑貨屋になるのだろうが場所が路地裏にあり外観も普通の路地裏に扉があるだけで看板などもなく外からパッと見ただけでは店と解らない状態だ。
「ダンさんこの人が俺をここに連れてきた理由なの?」
「そうだ!ソウこのギランの爺さんは昔は王都で店を出したこともある凄い鍛冶師だったんだけど今じゃ色んなモノを作ってる偏屈な爺さんだ」
「だったは余計じゃ!わしゃ今でも凄い鍛冶師じゃ!」
そう言ってダンさんを叱るギランさんは確かにパワフルなお爺さんだった。
「なんじゃ小僧!お主ワシを今爺さんと馬鹿にしたじゃろ」
(な、なんだ。ドワーフは心でも読めるのか?)
「いや、全く思ってないですよ!」
ソウは心の中でパワフルな爺さんとは思ったが顔には出さずに答える。
ギランさんは疑わしい感じで見てきたが何も言わずにこちらを見ていたがそこにダンさんが割って入ってきた。
「爺さんに作って欲しいモノがあるんだ。ちょっとソウと相談して作ってくれないか?もちろん報酬もちゃんと出すよ」
ギランはダンを横目で見てからソウを見て言う。
「ワシは自分が作りたいと思うモンしか作らんぞ」
ダンさんはその言葉に慌ててギランさんの元に近づいて再度頼み込む。
「それが出来たらサナの夢を応援出来るんだ!頼むよ爺さん」
「サナの嬢ちゃんの夢は応援したいがそれだけはいくら頼まれてもダメだ!わしゃ王都の店を畳んだ時に本当に作りたいモノ以外は作らないと決めたんだ」
ギランの迫力にダンは言葉を続けることが出来ずにソウを見る。
ソウは少し疑問に思ったことを聞いてみる。
「作りたいと思って貰えれば作って貰えるですよね?あとこの辺りにある武器以外の木の細工とかもギランさんが作ったんですか?」
「もちろんじゃ。最近は鍛冶以外のことにも興味がわいて色々と作っておる。ワシが作りたいと思えるものならもちろん作る」
そう言うギランさんは実に堂々としており凄い風格を感じた。
「そうしたら木製の筒を作って欲しいです。」
「木製の筒?そんなのそこら辺に既に作ってるだろう!」
ソウの発言にギランは威圧を込めて睨み付ける。
ソウはギランの圧を全身に受けるが何事もないように説明を続ける。
「この筒でもいいんですが蓋はコルクでは無く溝を掘って木の筒同士を密閉出来るようにしたいんです」
ソウはギランにスクリューキャップの説明します。
ギランは興味を持ったのかスクリューキャップの概要を聞くとブツブツとこれは鉄でも代用出来るなど言って考え込んでいます。
ダンが気になってギランに尋ねる。
「ギランの爺さんソウの言ってたすくりゅーきゃっぷは作ってくれるのか?」
「じゃっかしー!言われんでも作るわい。だがソウと言ったか?今まで誰も作ったことがないその蓋の知識をどこで学んだ?」
そう言うギランの目は先程より鋭く殺気まで飛んできた。
これにはソウも一瞬殺気を放ちそうになったが堪える。
(またこのパターンか…上手い言い訳、言い訳…)
「えっと元々は俺の魔法の師匠が考えていたことで実際に師匠が作って使ったことがあるから……」
そう言うとギランは一応納得してくれたのか殺気を引っ込めて話始める。
「ふはは、木製の筒を作ることは難しくないしスクリューキャップも作ってやるわい。どのような材料や寸法で作りたいか詳細を教えてくれ。」
そう言うとギランはソウが希望する仕様について説明し、寸法やデザインの詳細を伝えたそばから木製の筒を製作する計画書をその場で描いてくれたのだった。
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