図書館とパン作り⑦
(これ初めて作るにしては意外と上手いんじゃないか)
そんなことを考えているとダンさんとサナさんに肩を掴まれる。
「ソウ、このパンのレシピを教えてくれ!いや教えてください。」
「もちろんタダでとは言わないよ。金貨5枚いや8枚、少し待ってくれるなら大金貨1枚までなら払うよ!」
「ちょっと落ち着いてください……お金を取るつもりはないですよ……」
ダンとサナの剣幕に少し怯えてそう言ったが2人に更に凄い剣幕で詰め寄られる。
「あんた正気かい?このレシピがあれば王都にだって店が出せるのにそれをタダでなんて!!」
「そうだ!そもそもこれはお前の村の秘伝のレシピじゃないのか?こんな簡単に人に見せていいのか?」
ダンさんに肩を掴まれて揺さぶられているとレナが足に抱きついてきて叫ぶ。
「おにぃーちゃんをいじめちゃダメー」
その言葉にダンさんの妄想が爆発した。
「はっ…まっ…まさかレナを嫁に寄越せと言うつもりか……ダメだ、ダメだ、それだけはダメだ!」
(あーダンさん凄い妄想しちゃったな……これはちゃんとした説明をしないと収まらなそうだな……)
ソウは少し遠くを見ながらなるべく無理のない説明を考え始める。
「えーこのレシピには今のところ俺の魔法が無くては作れない酵母ってモノが必要なのでレシピを教えても作れないです」
客席に皆で座ってソウが話を始める。
その言葉にダンさんとサナさんの2人は顔を見合って少し肩を落とす。
ちなみにレナはパンを3個程食べて満腹になったのかサナさんの膝を枕にしてお昼寝している。
「ただ魔法がなくても酵母は作れるようにはなると思うのでそれに協力して貰うのが対価です。酵母が出来たら半年位は酵母の作り方を教えずにこの宿だけでさっきのパンを作って売るのじゃダメですかね?」
その言葉に再度顔を見合わせてからサナさんが質問してくる。
「半年たったらどうするんだい?」
「酵母の作り方を売ってこのパンを誰でも作れるようにします」
ソウが伝えると今度はダンさんが質問してくる。
「つまりウチは半年間で固定客を掴まなきゃいけないのか?」
「そうなりますね……個人的には酵母で作ったパンをどこでも食べたいので……」
ソウが素直に答えるとサナさんから不気味な笑い声が聞こえてくる。
「フッフフ……つまりソウはウチらの出してたパンが不味かったってことかい?」
「いえ、決して不味かった訳ではなく好みに合わなかっただけと言いますか……」
ソウは怒られるのかと思いながら答えたがダンさんとサナさんの反応は意外だった。
「はっははは!確かにあのパンと比べたら今のウチのパンは不味かったろうな!」
ダンさんが笑いながら答える横でサナさんが腕まくりしながら答える。
「確かにあのパン食べたからじゃ他のパンじゃ満足出来なくなっちまうよ!半年も他の店より試行錯誤の時間もあるんだ1番美味しいパンにしとくから半年たったら気にせず売っちまいな!」
ソウは2人の言葉に少し気が楽になり2人に再度お願いする。
「ありがとうございます。とりあえず酵母を創るのにご協力お願いします!」
「その酵母…?とかを作るのを手伝いはするけど色々として貰うのはこっちなんだから堅苦しいのはよしてくれ」
ダンさんが照れ笑いしながら答えてくれたがサナさんから少し不安げに質問される。
「酵母作りの為の手伝いはどうすればいいんだい?私達に出来るのかい?」
「とりあえず酵母の作り方を教えるのでそれに合う場所の確保と道具の用意ですかね?あともし必要なら道具の作成もしないとなんで作れる人の紹介と経過観察ですかね?」
「道具は何が必要なんだい?」
サナさんが前のめりに聞いてくる。
「木のボウルでも大丈夫なんですが蓋が閉まるモノがあればそっちの方がいいですね。あとは清潔で風通しが良くて温度があまり高くならない所があれば……」
ソウがそう答えるとダンさんがすかさず返答をくれる。
「ウチで風通しが良くて清潔な場所となると厨房が毎回綺麗に掃除するし風通しがいいな。ボウルはあるけど予備は無いから……ギランに頼むか!」
そう言うとダンさんは立ち上がりソウの腕を掴んで引っ張りソウに言う。
「行動は早い方が良い!ソウ今から行くぞ」
ソウは腕を引っぱられながら街に連れてかれるのだった。
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