図書館とパン作り⑤
図書館の内部に驚き立ち尽くしていたソウだがルビーの言葉で行動を開始する。
『早く目的のモノを探さないと日が暮れてしまうわよ』
『そうだな、俺の元いた世界の図書館でこういうのを見たことがあったから少しビックリしたんだ』
そんな話していると前から本を山積みにした女性が歩いてくる。
『あれ、絶対前見えてないよな』
『進んでるんだから見えなくても大丈夫な道なんでしょ?』
本を山積みにして居た女性はソウ達の横を通り過ぎる際に1度こちらを見たがそのまま受付嬢の元に行ってしまった。
『本の貸出はしてないはずだからあの本を写してもらうのかな?』
そんなことを考えているとルビーからのお叱りを受ける。
『ソウ、早くしないと本当に時間が無くなるわよ』
ソウは頭を掻きながら目当ての本を探す為に図書館の中を歩き始める。
『やっと見つけた』
そう言いながら手に取ったのは魔法大全と書かれた本と魔物大全の本だ。
『この世界の歴史やこの国の歴史の本は割と早く見つけたけど魔法と魔物は1種類系が多かったな』
『自分に使えない魔法を知っていても意味がないからなのと魔物は数が多いから種類分けしたんでしょうね』
『俺みたいに何個も魔法を使えるのは居ないのか?』
『居なくはないでしょうけど少ないのは確実ね。それもその本に書いてあるんじゃないの?』
『それもそうだな。とりあえず読んでみるか』
………………
読み進めるとソウは大きくため息を吐きたくなった。
この世界の歴史に関してはやはり人族の書物なので龍の認識と大きく齟齬があった。
まず世界は神が創った所から始まり最初に人間を創りそこから亜人種を創ったとされていた。
そして魔物は人間達に魔核を与える為に神が与えてくれたというような解釈だ。
国の歴史ではハンマール王国では亜人種に関して特別酷くは書かれてないが他の国では1番最初に人間を神が創ったので頂点は人間で亜人種は人間を支えるべきだという国もあるとのことだ。
そして薄々は感じていたがこの世界でも1日は24時間で30日が1ヶ月でこれを12回繰り返して1年の計算だ。
閏年や31日になったりしない分こちらの方が覚えやすいと思ってしまった。
そしてこれは違和感が凄かったが1週間は6日単位となっていて火水風土闇光で表される。
これを5回繰り返すと1ヶ月経過ということだ。
時間は鐘の音で教えてくれており6時、12時、18時、24時と6時間毎になる鐘の音で時間を知る。
魔法に関しては魔核がある魔物がやはり強い魔法を使えるとのことで魔物にも人間にも複数の魔法を使えるモノが居るがそれは稀であること。
そんな感じで読み進めているが本の内容が戻ったり全然別のことが書かれているページがあったり本が分厚いのもあり読むのにかなり時間が掛かっていた。
『とりあえず本を写すのはOKなんだから写すか!』
『写すって言ってもすごい量よ。全部書き写すの?』
ルビーが心配そうに聞いてくるがソウは余裕の笑みで答える
『こんな時こそ、創・造・魔・法の出番でしょ!』
そう言って受付ブースに紙を貰いに行く。
受付に着くと最初の受付嬢では無く山積みの本を抱えていた女性が受付ブースに座っていたがソウ達に気づくと会釈して問いかけてきた。
「おかえりですか?それでしたら銀貨4枚を返却致しますね」
そう言った彼女をソウは制して言う。
「いや、まだ帰らないけど本を写す用の紙が欲しいんですが」
「かしこまりました。10枚で銀貨1枚になります。書き写す人員も呼んで来ましょうか?」
「あっそんな大した量ではないので大丈夫です」
そう言って銀貨1枚を渡すと急いで本の場所に戻る。
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