図書館とパン作り②
部屋に戻ったソウは部屋の備えつけの小さいテーブルに買ってきたゴーリンを出してカットする。そして貸してもらった壺を煮沸消毒して水魔法で水を入れる。
『さて、煮沸消毒する必要があったかはわからないが準備は整ったな』
『一応材料があるんだから失敗はしないと思うけど酵母の作り方とか原理は大丈夫なの?』
『作り方はさっきも言ったけど原理は詳しく知らないけど確か発酵させるんだから微生物の働きで……腐ったら腐敗で有益なら発酵ってくらいかな』
『まぁとりあえず試してみたら?』
『そうだな』
そう言ってソウは創造魔法の発動を行う。
(確か果物が水に使っている状態で微生物が発酵させるんだから時間が少し進んで最後炭酸が出るんだっけ?)
『ソウ!!止めなさい!』
酵母の発酵方法を考えているとルビーの叫び声が聞こえ次の瞬間には魔力が予想以上に抜ける感覚が襲ってきてソウは片膝をついた。
『な、なんだ素材が揃っているのに想像以上に魔力が減ったぞ』
『それはソウが時間に干渉したからね。まだ時の流れに沿っていたから大丈夫だったけど時の流れに逆らっていたら今の魔力量でも危なかったでしょうね…私の説明不足ねごめんなさい』
『いや、俺も作業工程をしっかりと説明して無かったし一応何とかなったから謝らないでくれよ。それより時間に干渉って言うのは俺が時間を進めようとしたことか?』
『ええ、まさか時間に干渉するとは思ってなかったから…原料を抽出して微生物って言うのを活発化させるんだと思っていたわ』
『確かにその方法もあったな…考えつかなかった』
そう言ってソウはルビーから時空魔法に付いて教えてもらう。
ルビーの話では時空魔法自体は存在していてルビー達に初めて会った空間も時空魔法で時の流れを遅くしていたらしい。
しかし基本的に時空魔法は時の流れを早めたり遅めたりにもそれなりの魔力を使い、ましてや流れに逆らう止めたり戻したりには大量の魔力が必要になる。
人間の魔力量なら数百人集めて数秒間、干渉出来るかだろうとのこと。
今は物体に対しての時間干渉だがこれが生命の場合には更に魔力が必要になる。
『つまりはそんなすごい魔法をいきなり使おうとして魔力が大分減ったわけか…』
『ええ、もう少し魔法に付いて説明するべきだったわ』
『まぁ何とか酵母液は出来たから良しとして幸いラルグさんの訓練は2日後からだから明日位にギルドの資料室や図書館とかあればこの世界の勉強しよう』
ソウはルビーが落ち込まないように出来るだけ明るくそう伝えた。
2人とも今のこの世界ではソウはまだ異世界2日目だしルビーに関しても主であった龍以外との生活は初めてだし人間の世界はほぼ何も知らないのだ。
つまり2人ともこの世界の初心者なのだ。
ソウの言葉にルビーは答える。
『ええ、このままじゃソウがいつ死んでもおかしく無いから私がサポートしてあげるわ!魔力切れを起こさないように魔核の吸収と魔力回路の特訓は更にビシバシいくわよ!』
ソウはルビーとそんなやり取りをしながら部屋から出て食事を取るために1階の食堂に降りていく。
食堂に着くとレナが目一杯の笑顔でソウをカウンターに案内してくれるのだった。
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