間話〜ラルグ〜①
間話って難しいですね…
私は辺境の街タギアツのギルドで買取と解体スタッフとして働いているラルグです。
冒険者時代の癖か謎解きなどが少し趣味ですね。
最近の気になる謎が一つ出来ました。
先日ギルドに警備隊のグランが少年を連れて来た時のことでした。
最初はまたグランがほだされて少年を助けようとして連れてきたと思ったのです出してきた素材を見て一瞬ですが表情が引きつってしまいました。
冒険者時代だったら眉ひとつ動かさなかったのですが私も鈍ってますね。
少年が出してきたのはデュアルヘッドウルフの素材で魔核の森で他の魔物と戦って死んでいたのを運良く入手したと言われ素材を調べましたが不自然な点が多かったのが気になりましたね。
まず爪や牙が欠けたりせずに綺麗な点、そして皮に残っていた切り口に沿った不自然な焦げ痕、確かに魔法を使う魔物も居ますが魔法を使う魔物はランクが高くなるので少年が入れる浅い場所に居るとは考えづらい。
それにデュアルヘッドウルフは単体ではCランクの魔物ですが幾ら魔核の森の魔物でも死ぬまいと必死に抵抗してくるCランクの魔物を瞬殺出来る魔物がそんな浅い場所に居るとは思えません。
何より剣で切った様な綺麗な切り口で焦げ痕を付けているのも気になります。
考えられるのはこの少年が商人の息子の可能性。
しかし服の仕立ては良さそうですが格好は少し奇抜ですね。
そらに商人の息子なら商人ギルドでこれを売った方がいいのは分かるはずです。
それとも盗品だから商人ギルドは避けた?
もしくはこの程度の魔物なら余裕で狩れる実力の持ち主なのか?
少し興味が沸きました。
少年とグランにデュアルヘッドウルフが本物である点を伝え買取かを尋ねると少年は何事も無いように買取金を聞いてきました。
盗んだモノなら本物と聞いて少しは安堵したりするかと思いましたが普通でしたね。
やはり商人の息子なのでしょうか?
余りに普通でしたので少しの間考え込んだ振りをした後に金額を教えた所、少年は少し狼狽えましたがグランが邪魔をします。
グランはどうやら金額が少ないと感じたみたいですね。
グランと少年にこの素材がどれくらい状態が良く何故その金額か説明すると少年は自分のバックに視線をやりました。
ふむ、素材の一部を使いバックにしたみたいですね。視線や表情などから色々と読み取れるのでそれ程手だれの商人には見えませんね。
そして魔核の話をした時が1番動揺してましたね。
魔核を持っているのか?それとも価値が分からず捨てたのか?どちらにしろ大した人物では無さそうですね。
ただの運の良かった少年かと思い興味が少し減った瞬間。
少年は一瞬で小銭の計算をして私に伝えてきました。
確かに商人なら計算が出来るモノは多いですがあれ程、表情に出る商人が少し前まで大分動揺していた状態から瞬時に計算したことには少し驚きました。
少年はグランに銀貨を渡してギルドを離れて行きました。
少し謎が残ったのでもしまた素材を持って来たら私が色々調べてみましょう。
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