ランク試験③
ソウの宣言に対して胴元はコインを受け取り観客を煽る。
「他にあのガキに賭ける奴はいないのか?」
その煽りに対して観客席からは笑い嘲笑が出る。
「俺たちのオッズを上げてくれてありがとう!」
「魅力的だが金をドブに捨てるようなことはしないぜ!」
どちらかと言うとソウを馬鹿にする言葉が多かった。
ソウはそんな言葉には耳を傾けず中央に来たラルグを見る。
ラルグはにこやかな表情でソウに話しかける。
「すごい自信ですね…余程腕に自信があるのですか?ソウさんがデュアルヘッドウルフの素材を持ってきた時から気になっていたんですよ」
それに対してソウは答える。
「そういう訳では無いけど少し頑張りたくなったのでね。素材の件は戦って見たらわかるんじゃないかな?」
「では戦ってみることにしましょう。魔法剣士と書かれていましたが剣はどちらに?お持ちでない様でしたらギルドの模擬剣をお貸ししますが?」
(うーん・・・武器がいきなり出てきて驚かれたりしないかな?既に結構目立ってるけど今回は模擬剣を借りておこうかな)
ソウは少し考えてラルグに答える。
「模擬剣を貸して貰いたい」
その言葉にラルグがリアナの方を見るとリアナが模擬剣の場所まで案内してくれる。
ソウは模擬剣の中から赤龍の剣に似た重さの剣を探して何とか似た形の剣を見つけだす。
模擬剣はソウが想像していた木剣ではなく刃は潰してあるのだろうが鉄制の剣だった。
(これは当たったら骨は確実に折れるな…魔法がある世界だから治癒魔法とかが一般的なのか?収納の魔法が一般的かどうか等聞きたいことが多いな)
ソウが戻る時もラルグは変わらず中央に立ってソウの帰りを待っていた。
中央に戻り剣の間合い手前位でソウはラルグに問いかける。
「ラルグさんは武器とか大丈夫なんですか?」
ソウの言葉にラルグは少し笑うのを我慢したが答えてくれる。
「ありがとうございます。私は既に持っているので大丈夫ですよ。試験前に余り武器を見せたくないのですいません」
その言葉にソウは少し考え気付いた。
「あっそうですよね。武器を予想するのも試験の一部ですよね」
「ちょっと調子が狂いますね…このギルドのしきたりで試験は受験者の攻撃でスタートしますので準備が出来たら始めてください」
ソウの答えにラルグは試験の開始方法を告げる。
ソウは試験の開始方法を告げられると軽くジャンプをして屈伸をする。
次の瞬間ソウはラルグに向かって間合いを詰める。
ソウの動作には無駄は無く屈伸の反動を使い間合いを詰め左から右への横なぎの攻撃も決まったと感じたが刀身には身体に当たった関してはせず鈍い金属が残った。
「これは…短剣?」
そう言うとソウはすぐに剣を引き間合いを取る。
ラルグはソウの攻撃に対して両手に持った短剣をクロスして攻撃を防ぐと剣が触れてない方の短剣でそのまま攻撃をしてきた。
「おや大抵の受験者はこれで倒せるのですが…」
ラルグはそう言うと今度はソウへ斬り込んでくる。
そのスピードは早くソウは左足を後ろに引いて半身になって右上からの攻撃を回避する。
「おや、これを反応できますか!やはり興味深いですね」
ラルグの言葉を無視してソウは右上からの振り下ろしを回避すると同時に左したからの突き上げを右手の剣でガードしながら内心で悲鳴をあげる。
(なんだ…ラルグさんめちゃくちゃ強いぞ!短剣の持ち方もクルクル変えるから攻撃の予測が付きにくい)
ソウは一回大きく間合いを空けるように下がると火弾を2発放つ。
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