冒険者ギルド⑥
女将さんに教えられた服屋に来たソウは早速店内に入る。
「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」
店内に足を踏み入れる店員さんが声を掛けてきたのでソウは店内を見渡しながら店員さんに尋ねる。
「俺のサイズに合った服を何着か欲しいんですが」
「かしこまりました。仕立てでは無く中古で宜しいでしょうか?」
「仕立てじゃなくて大丈夫です」
そう言うと店員はソウの肩幅や腕の長さを調べてる途中でソウの服を触り話しかけてきた。
「お客様、珍しい服をお召しですがどこからいらっしゃったのでしょうか?」
ソウは咄嗟のことに少し焦ったが門での返答に合わせながらこたえる。
「遠い田舎から出てきたんだけど来る途中に魔核の森に迷い込んじゃってそこで亡くなっていたパーティの服を貰ったんだ…」
(うーん…色々聞かれても困るからそれなりの言い訳をしたけど要は死体から剥ぎ取ったことになるけど大丈夫か?)
「そうだったんですね。魔核の森に入るパーティなら恐らく高ランクの方だったんでしょう。それなら珍しいモノを着ていても不思議ではないですね」
そう言って店員はブツブツ言ったあとソウに向かって切り出した。
「お客様こちらの服を売って頂くことは可能でしょうか?大銀貨2…いや3枚だします!もちろんその靴もセットで!」
店員の興奮した申し出に対して少し躊躇うがすぐに考える。
(シャツとジーパンはコットン素材だったよな…?化学繊維とかは入ってないと思うけど…チャックは…ボタンだ…靴は…異世界系だとゴムが結構特殊だよな…)
ソウはアレこれ考えていると渋ってると感じた少店員がさらに条件を出してくる。
「くっ、それなら大銀貨5枚でどうでしょうか?」
「それならシャツとズボンを交換するから大銀貨4枚分の服と靴を交換してよ」
ソウの申し出に店員は少し戸惑ったが了承してくれて大銀貨4枚の服と交換してくれた。
「んー着心地は何かチクチクするな」
ソウがそう思っていると店員はソウの服を食い入るように見ながら何かここの縫い方は…どうやってこんな綺麗に…などブツブツと言っている。
ソウは色々と聞かれる前にさっさと服屋を後にした。
服屋を出たソウは異世界風といえばそうなんだけど木こりファッションとあんま変わんないようなと思いながら通りを冒険者ギルドに向かって歩いていく。
通りを歩くことしばらくして冒険者ギルドの前にたどり着いたソウは少し緊張しながら扉を開ける。
(あんまり人が居ないで欲しい…居ても良いけどテンプレは無しで…)
そう思いながら扉を潜ると中には昨日と同じで数名の冒険者たちが酒場や依頼書付近にいた。
ソウは登録場所を探してキョロキョロしながら進んでいると後ろから話かけられる。
「おや、今日も買取ですか?」
そこには昨日買取を担当してくれたスタッフがこちらを見ながら立っていた。
「あっ昨日の買取の.…昨日はありがとうございました」
ソウは名前を知らないので少しぎこちない挨拶になったが受付スタッフは笑顔で対応してくれた。
「いえいえ、昨日はこちらも良い取引が出来ましたので…そう言えば名乗ってませんでしたね。改めまして私、買取担当のラルグと申します」
ラルグさんは優雅に一礼をしてソウに微笑み掛けてくれた。
(昨日も思ったけど紳士な感じの人だよな…すらっとした身体だけどヒョロヒョロには見えないし)
「あっ、こちにちは。えっと今日は冒険者登録に来ました」
そう言いながらソウは仮の身分証をグランに手渡す。
「ソウくんですか、ギルドへの登録でしたらこちらですね。案内しますよ」
そう言ってラルグはソウを登録ブースまで案内してくれた。
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