冒険者ギルド①
顎髭の兵士は名前をグランといい警備隊の部隊長を勤めているとのことだ。
赤髪で身長180㎝程の大きさで年齢25、6歳だろうか?
整った顔をしているが顎髭が似合っていない。
しばらく無言で歩いていたが向こうから唐突に話かけてきた。
「さっきも言ったが冒険者になっても戦争にはさんかするなよ。デュアルヘッドウルフの素材を見つけるだけ運は良いみたいだがお前みたいな成り立ての冒険者じゃすぐに死んでしまうぞ!」
グランは言葉こそ悪いがソウのことを心配してくれているようだった。
「とりあえず冒険者になって安全な依頼を受けて実績を重ねていくようにするよ」
せっかく向こうから話掛けてくれたチャンスなので周囲の中世的な建物も気になったがギルドに向かう道中でソウはグランから情報収集することにした。
「えっと戦争は本当に起きるの?」
「ダナイーム帝国が国境間近に兵を進めているという噂があるので恐らく起きるんじゃないかと領主様も警戒している」
「以前の戦争ではどっちが勝ったの?」
「国境付近まで来たダナイーム帝国の兵をラルグの領主様率いる兵が3日間戦線を守りハンマール王国の援軍が来て引き下がって行った形になる」
「じゃあ次も国境を超えてくるのを撃退するの?」
(ここはラルグの街って名前か)
「前回の戦いでラルグの街兵士はだいぶ減ったからまた前回のような大軍で来られたら戦線を守るのは危ういから今回は冒険者や傭兵を使うだろうな」
「王国からの兵士は来ないの?」
「王国からも兵士は増員されているが余り多すぎても食糧などの問題もあるからな…領主様も頭を抱えているよ…おっとギルドに着いたな」
(まだ色々と聞きたかったが仕方ないか)
少しウエスタン風のギルド外観に興味をそそられたがグランは冒険者ギルドの扉を開けて中へ入っていく。
その後を少し遅れてソウも続いた。
(大抵こういうギルドに入るとテンプレの展開があるけど今回はグランもいるし大丈夫だろう)
中に入ると予想していた通り酒場と併設されたいかにも冒険者ギルドという光景が飛び込んできた。
ただ予想外だったのは中に人は少なく酒を飲んでる冒険者数人とギルドの受付スタッフだろう受付嬢がカウンターの奥で仕事をしているだけだった。
(これはやっぱりテンプレは無さそうだな)
そう思って中を見てると突然ソウは名前を呼ばれた。
「何やってるソウ!早くこっちに来い!」
視線を声のした方に向けるとグランが手招きしておりカウンターの奥には1人の男性の受付スタッフが立っている。
そう男性だ。
受付嬢を期待していたソウは少し残念な気持ちでグランが手招きしているカウンターまで歩いていく。
ソウがカウンターに着くとグランが受付スタッフの男に言った。
「買取を頼みたい」
「かしこまりました。どのようなモノでしょうか?
」
「俺には本物かわからないが余り大きな声じゃいいたくないのでモノを見てくれ」
そう言ってグランはソウに素材をカウンターに置くように促した。
ソウはグランに促された通りカウンターに近寄り素材を出そうとした。
「えっとこれ何ですけど頭が2つある狼の素材で…」
そう言いながらソウが素材をカウンターに置くと買取スタッフの目が一瞬見開かれたがすぐさまにこやかな笑顔で返事が返ってきた。
「確認させて頂きます」
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