いい人と無駄話
「そうだね。この前会っただけだけど、なんだかユーヴェンさん真っ直ぐな性格してるよね」
私とアリオンの様子にくすくすと笑いながら同意するカリナ。スカーレットもそれに同意する。
「確かにそう思うわ」
「そうなのよね。大体真っ直ぐ言ってくるからこっちが恥ずかしくなってくるのよ」
まだ熱い紅茶を飲みながら、ユーヴェンへの愚痴を漏らす。
「ふふ、いい人だよね」
笑いながら言うカリナに安堵を覚えて笑う。
「なら紹介してよかったわ」
「うん、ありがとうローリー。あ、もちろんブライトさんも会えてよかったよ」
そう言ったカリナにアリオンは少し意地悪く笑う。
「ありがとう、メーベルさん。でもついでっぽいなー」
「え!そんなことないよ!ブライトさんもいい人だと思ってるよ!」
アリオンの言葉に慌てて言い募るカリナ。そこにスカーレットが口を出す。
「別についででいいんじゃない?」
「スカーレット!」
カリナは咎めるようにスカーレットの名前を呼ぶが、当の本人は楽しそうに笑っている。
「キャリーは俺に対して遠慮がなくなったな」
「同じ騎士団員として正解でしょ?」
そう笑ったスカーレットにアリオンも頷く。
「ま、そうだな。フューリーともそうしろよ」
しかし余計な付け足しだったのだろう。スカーレットの目が据わる。
「ブライト、あんたはあいつから絡んでくるの知ってるでしょ?」
「知ってるけど。でもフューリーが言うこと聞きそうなのキャリーしかいねぇし」
「カインが言うこと聞いたら苦労してないわよ!あいつ何であんなに絡んでくるのよ!」
「……はは、そうだな」
憶測だがなんとなく事情がわかっているアリオンは視線を遠くにやる。私も余計なことは言うまいと労いの言葉だけをかける。
「大変ね、スカーレット」
「あー、小さい頃は可愛かったのに!」
「まあまあ」
カリナもスカーレットを宥めている。このままでは収拾がつかなくなりそうなので、手を叩いて二人の興味を引く。
「ほらほら、伝達魔法を教えて欲しいんでしょ。これから授業するわよー」
「あ、そうだった」
「そうね、あいつのことなんて考えるだけ無駄だし」
思い出したように言うカリナとフューリーさんのことを切り捨てるスカーレット。
「……無駄……」
ぼそっとアリオンが呟くのが聞こえた。その憐憫が混じる声に私は深く目を瞑った。自業自得だとは思うけれど可哀想に感じてしまう。
気を取り直してカリナとスカーレットに向き合う。
「それじゃあ始めましょうか」
「よろしく、ローリー」
「お願いするわ」
二人の揃った声に笑ってから、話し始めた。




