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伝達魔法


「私達が覚えさせたのよ」


「あいつ、どうやっても遅れるんだよな。家を早く出てもなんだかんだ巻き込まれる割合が多くなって遅れるし。だからせめて連絡してこいって覚えさせたんだよ」


 アリオンと頷きあって学園の頃を思い出す。


「そうなのよ。お陰様で私達も習得に付き合ったから覚えたわよ。便利だからいいんだけど」


 苦笑しながら言う。平民の私達では覚えている方が珍しいため、本を漁り、先生にも聞きながら努力した日々が懐かしい。


「そうなんだ。私達は覚えてないけど、興味はあるよね」


「そうね、私達の周りじゃ覚えてる人いなかったから。覚えられるなら覚えてみたいわ」


 目をキラキラさせるカリナと興味深そうに頷くスカーレット。それにアリオンが答える。


「まあそこまでなんでも、って感じにはいかねぇぞ。魔力を交換して覚えた相手じゃないと送れないしな。それに覚え間違えてると違う相手に送っちまう。ユーヴェンに送ろうと思ってローリーに送ったこと何回かあったよな。あと自分の魔力量によって送れる距離が決まってくる。まあ、それを差し引いても便利だけどな」


 カリナとスカーレットはアリオンの話を聞いても興味が尽きないようだ。期待するように見ている。私は微笑ましいその様子に笑みを零す。


「そうね、覚えるなら付き合うわよ。でもその前にどこか喫茶店でも入りましょ」


「ユーヴェンさんは?」


 カリナが聞いてきたので笑って答える。


「遅くなるだろうから喫茶店が決まれば連絡しとくわ」


「そうだな、伝達魔法は保護結界がある屋内じゃ使えねぇし」


 そう言ったアリオンの言葉に頷いて移動をしようと立ち上がる。


「ええ。まず覚えるにしてもまずはそういったルールと理論からだし、ゆっくりお茶でも飲みながら話しましょ」


 思えばアリオンとスカーレットの話し合いもあるのだ。今の様子からだといらない気もするなぁと思いながら歩き出す。


「へぇー、色々と決まりごとがあるのね」


 スカーレットが意外そうに問いかけてくる。


「そうなのよ、意外とこれを覚えるのも大変なのよね。免許とかはいらないけど、違反してると罰金とられたりするのよ」


 苦笑交じりに言うと、カリナとスカーレットが驚いたように目を丸くした。


「え、そうなんだ!」


「そうそう、便利な分規制も多いんだ」


「へぇー」


 カリナもあまり気負わずにアリオンと話せているようだ。その様子に安堵する。


「ローリーあそこの喫茶店はどう?」


 スカーレットが明るく綺麗な喫茶店を指差す。ガラス張りになって見える店内の様子からはそこまで混んでいないようなので5人でも入れそうだ。


「いいわね、あそこにしましょう」


 そう言って、ユーヴェンにメッセージを送ろうと伝達魔法を構成する。術式を描き、その上に魔力を込めた指で言葉を書く。店の名前を見ながらメッセージを書き終えると、描いた術式で包むように纏めていく。球状に纏まると、そこから鳥の形へと変わる。亜麻色の体躯と碧の目を持った小鳥が姿をあらわした。


「わあ、すごい!」


 カリナが手を叩いて感激してくれる。それに笑ってこたえると、飛んでいくように手を離す。鳥は羽ばたいて空を登っていった。


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